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余白という表現方法

今夜も寂しさを押し殺すためにヘッドフォンの音をフルボリュームにした。あなたに会うときには、そんな気持ちを隠すために、見せる笑顔をフルボリュームにした。
過去作品「you are the one」より

ボクは撮影する際には上記のような物語を設定して撮ることがある。故に、モデルには「演じる」ことを求めるし、ボクも時にはその物語の登場人物の目線としてシャッターを押すこともある。技術論ではなく精神論になってしまうのだけれども、そうするとよい作品ができるような気がする。

しかし、写真は映像とは違って「ひとコマ」であり、音声も無いというように情報はとても少ない。その中でいかに表現を広げていくのかが難しいところだ。それを色や光、そして構図、ポートレートであればモデルの表情(ここで言う表情は顔だけでなく身体全体のことを指す)で伝えることになる。

さて、添付した2枚の写真について少しだけ解説。
記述した言葉に合わせて撮った2枚の写真。対照的なのはモデルの表情だけでなく色も対照的にしたというのは明らかにわかると思います。気づかれないのは余白。これもまた対照的にしている。実は余白をつける場所によって表現されるものがあるんです。モデルに対して前に余白があるか後ろに余白があるかで意味が変わってくる。

左側の写真は「寂しさ」や「不安」をテーマに撮られたものなので、それらを煽るような色をベースに撮られています。また、モデルの前にはほとんど空間がなく、その違和感が見ている側により不安感を与えることになります。

それに対して、右側の写真は「よろこび」や「清しさ」をテーマに撮られたもの。ですので、先の写真とは真逆になっています。モデルの目線に空間が感じられ、さらにはその先には愛しい男性の姿を想像できるようにしています。

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