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Wishの評判が悪いらしいので一言いわせて欲しい

 最近不調とかなんとか、そんな噂が聞こえてくるディズニー。その100周年記念作品である今作。
 正直言って、今回もまたレビュー低迷の未来しか見えない。しかし思い出して欲しい。ピノキオ、眠れる森の美女、今でこそ名作と言われているが、公開当時は大赤字作品だった。ディズニーにも低迷期はある。だがその時の意見は、後にひっくり返ることも少なくない。ならば!

 今ウィッシュを褒めまくっておけば、数年後評価が覆った時多方面にマウント取れちゃうのでは?

 「おい、そこの君!公開当時は駄作だって言ってたからじゃないか!」「おい、そこの貴方!オマージュばっかりで中身がないって言ってたじゃないか!」と、声高らかに言わせてもらおう。
 例えそれが数年後、いや数十年後、はたまたホーンテッドなマンションでセーフティーバーを上下する仕事に着いていたとしても!


 ………茶番はこのくらいにしておこう。今作について、賛否両論である理由は、それなりにわかる。わかるが、少なくとも私は大号泣のあまりマスカラの心配をするぐらいには、この作品に心打たれた。
 これは有名作品は一通り全て見てる程度の、いちライトファンの意見でしかない。でももし、この記事を読んでいるあなたが、少しでも今作に興味を持っているのなら、まずは自分の目で観て評価して欲しい。
 もしかしたら、世間とは違った意見を、あなたは持つかもしれない。


 と書き出しつつ、今回はディズニー初心者の妹も一緒に観に行ったので、彼女の感想も織り交ぜつつ語りまーす!ネタバレ少し含むので注意。

今時の若者初心者から観たウィッシュと、ライトオタから観たウィッシュについて。スタートだ!



歌や映像が良かった点については、もうみなさんご存知だと思うので特に言及しません。福山グニフィコが良かったので、歌だけなら吹き替えがオススメ。
 あと個人的に、吹き替えは原語に比べて情報数が少ない中で、

『So I make this wish
 To have something more for us than this』

 を、原語ではあまり力がこもってなかったところを、敢えて

『諦めることは、ない』

 の「「「ない!」」」と力強く言うことで、歌詞を補完してる生田さんにスタンディング・オベーション。


 そもそも今回の話って、初心者が観て楽しいの?

 これオタク向けじゃん?って私は思ってたけど、少なくともディズニー初心者の妹は面白かったらしいです。

 今回はセルフオマージュ祭開催だったわけですが、妹は当然『白雪姫』も『ピーター・パン』も『不思議の国のアリス』も『メリー・ポピンズ』も、全く観たことがない訳です。
 同じ家で生きてきたのに、ウィッシュを観た後妹に、「私有名なやつ、ほとんど観たことないけど楽しかったよ」って言われた時には、びっくりマーリンでしたよ。そりゃあ、もう。
 「「「観たことないの!?あれも????これも?????」」」って。

 それでも総合的には楽しめたと言う妹の感想から、今回の映画は「別に初心者じゃなくても楽しいかもよー?」って話をしていきます。

 今レビューでよく言われてるのが、アレですね。「セルフオマージュがしたいだけで、中身がない。全て過去の焼き直し」ってやつ。
 妹まだ10代なんですけど、ディズニー通ってなかった人は、当たり前に今回のオマージュ元を知らないんですよね。
 妹がわかったのは唯一「友達は7人いるから小人かなって思った」のみ。

 確かに今回、オマージュを最優先にした結果、ストーリーが薄くなった感は否めません。マグニフィコ王のタペストリーの謎、アーシャがあんなにも強く願う理由。そもそも『星に願いを』に迫る物語とか言ってなかったか?
 この辺りは、残念な部分です。ディズニーファンも、そうでない人も、たぶん少なからず感じる。

 じゃあ、ストーリーが薄くて何が面白いの?って話なんですけど。
妹はオマージュ元を知らない=見る物全部、ディズニーっぽいのに新鮮な作品
だったんですよ。
 は?って言いたいですわね。待って、まだ何も言わないで。その振り上げた拳は、別の場所に向けて。

 妹の知るディズニーって、「ラプンツェル」「アナ雪」のイメージなんですよ。世間でも超話題になった、最近の作品。
 この辺りって、もう我が強くて、どちらかと言うと「御伽話通りなんて、もうつまらないじゃない!」ぐらいの勢いでグーパンチなり、フライパン振り上げたりしそうじゃないですか。
 妹にとって、昔懐かしの御伽話ディズニー、初めてだったんですよ。
 考えてみれば当たり前の話で、「白雪姫も、アリスも、古いし見ようと思わない」「アナ雪は学校で流行ってたから映画を観た」みたいなものなんです。
 だから、今回なんとなく話題性で観に行ったのでウィッシュは、「御伽話の面白さを知るきっかけになった作品」になりました。

 どこかの小さな国に住む、善良な女の子。わかりやすい悪人の王様。悪に立ち向かう勇気。皆と力を合わせて、悪を倒す。今回はそれに、『願い』の大切さを教えてくれる。まさに、昔から今日まで語り継がれたような御伽話。
 そんなストーリーの薄さも、妹からすれば「今回は王道の御伽話だったんだなぁ」でしかなかった。ラストの皆で『願う』シーンはとても感動したそうで。
 ここはまたグリムとペローの違いを語りたいタイプからすれば、納得いかないかもしれませんが、本もディズニーも興味ない人間のリアルな意見の一つとして大目に見てくださいな。仲良くしようよ。
 道徳的な主人公が、わかりやすい悪を倒す。その間に、素敵な歌が、人々の想い、そう言う世間的には『ディズニーらしい』ものが詰まってる。それが新鮮に感じられるんですって。むしろ今回の作品が、昔のディズニーも見てみようかな?のきっかけになった。

 最近日本でもアニメのリメイク多いじゃないですか。そしてそれを観た若い人が、昔の話も観てみようかな?ってきっかけになるじゃないですか。
 ウォルトディズニースタジオも、100年目を迎え、今を生きる子供達からすると、白雪姫やアリスは『古典作品』となっています。喜ばしいのか、悲しいのか。
 製作陣の意図とは違うとは思いますが、今回の作品は、「過去作品を知る」きっかけになり得る話です。

 つまり、


今作、ファン以外楽しくないよって切り捨てるにはあまりのも勿体ないってこと!


 ………ちなみに、「ウィッシュ見るなら、オタクと行った方がオマージュ説明してもらえるから楽しいよ!」って言ってるけど、これも人による。と言うか、オマージュの話がノイズになるかも知れないのであんまりオススメしない。
 今回はオマージュ祭なので、ディズニー大好きな人でも見つけきれないぐらいオマージュがあります。
 今回はむしろディズニーのオタクの方が、「オマージュだけの作品」って思っちゃってる気がする。
 オマージュ元を知らないタイプは上記のような反応なので、「ここはこのオマージュ!」「ここはこの作品!」って言われても、何のことやらです。かえってオマージュの話がノイズになってるので、聞かれてもないのにペラペラ喋りすぎるのは良くないかも(反省)。
 純粋に作品だけを楽しんだ人に、オマージュの話しまくると、作品の余韻が打ち消されちゃうな…って思う人もいるようです。
 こう言う話を聞いて楽しいタイプは、オタクとぜひ一緒に行ってください。私のように、頼まれてもないのに喋り続けます。

 ついでに言うと、ストーリーの薄さの原因は、キャラの背景が語られない点にあると思うのですが、多少仕方ない部分かと思います。

 マグニフィコ王のタペストリーの辺りが、「え?何もなし?」ってなるのはわかる。
 でもアースラ様だって「なんでタコ形態なのか、お城から追い出されたのか」も言及はなし。何かあるのかもしれないけど、主人公は知る由もない。ただ明確に「悪い人」であるには、多くを語ることはできなかったのかなと。
 個人的にもヴィランズは、御涙頂戴の悲しい過去は語られず、もしかしたら事情があるかもしれないが、多くは語られず、ただそこに在るだけの強大な悪である方が好みです。
 アースラ様しかり、ジャファー様しかり。

 あとアーシャについても。過去姫参考に作ってるだろうけれど、どの年代の姫から持ってきたのかで変わるのでは?
 お父さんの話は掘り下げがもっと欲しかったとは思います。でも、過去姫に多いのは、「えっ嘘、そんなに優しいの?天使?」なミス道徳の部分。
 それを大切にし過ぎちゃったのかなーと思ったり。ほら、白雪姫だって、シンデレラだって、優しすぎるぐらいに優しいです。
 アーシャも今回はその辺りを狙って作られたキャラなんじゃないですかね?

 今回は絵本のようにシンプルな物語。大袈裟な脚色もないからこそ、誰でも楽しめる。
 その点含めての、今回は、本当に素敵な御伽話でした!



 ちなみに、映画を観た翌日、「だって〜だってここはロ〜サ〜ス♪」って妹が歌ってて、私は計画通り顔でした。

 あと本当にディズニー知らない人は「ワンス・アポン・ア・スタジオ」の方が、そこまでの感動も面白みもない作品と感じられる人もいるみたいです。
 妹からすれば「顔は知ってるけど、どう言う人かまでは知らんキャラばっかり」だったようで。ちなみにオズワルドとチキン・リトルはわかったそう。妹はユニバのファンなのでオズワルドの歴史を知ってる&チキン・リトルは私の大好きなキャラクターなので。

 ディズニー知らないのに、普通チキン・リトルわかる訳ないだろ!!!! 

                    完


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