私は遠吠えに「道標」のイメージを持っている。それは旅人にとっての北極星であり、伴走者でもあるだろう。
返ってくる声が「道標」なら、吠える声は「呼びかけ」「発信」。
noteで一連の再建事業をまとめた時、タイトルは「帰山の遠吠え」に最初から決まっていた。
数年前、土砂降りの西穂高岳を山頂から一気に駈け下りてきた山小屋で、頼んだ酒のラベルを見た時に、私の憧憬と渇望はこの二字に集約されると納得したからだ。
「帰山」自分の帰る山、帰りたい山、居るべき山は何処だろう。
七ツ石神社再建プロジェクトの始まりも、思えば「狼像2匹のお家を守りたい」という所から始まった。
家、帰る場所。来た道を戻ることだけが帰るということではない。
まだ見ぬ彼方にもそれは在って、きっと帰りたい場所が何処かにある。
本格的にプロジェクトが動き始めた2017年、ビクトリノックスから限定販売されたこの年の作品名に「The Wolf is Coming Home」があったのも偶然だろうか。
来月発売される籠さんの新著「物忌異談」では、七ツ石神社の登場する話の監修をさせていただいた。
仮題として送付されたデータ、タイトルには「帰還」

帰る、帰すという言葉は肯定的な意味を持って、長くテーマとなっている。
想いを乗せた遠吠えが、誰かの帰り道を照らすことがあるようにと、次の企画も進行中だ。
まだまだ繋がる物語。私も引き続き前方に帰り道を辿っていこう。


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ラジオ出演:bayFM「THE FLINTSTONE」1月17日㈰20時~
内容監修:籠三蔵 著「物忌異談」(収録話「帰還」)2月27日発売予定

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