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神様は人間に「こころ」を与えた。
それも適当に、目分量で。

満足にもらえなかった、
けれど確かに在ってしまうそれは、
人間の行動のおおよそを決める。

鍋の中にぶちまけた粉砂糖。
今回は甘くなりすぎてしまうかも。

こころが無ければ、人間は簡単だった。
倫理も理念も何もかも、
人間をむつかしくしているのはぜんぶ、
こころなんて名前をした経験則。

こころが無ければ、人生は簡単だった。
相互理解なんて夢もなかった。
不可能をごまかすだけのそんなもの、
なんで人間に与えたんだろう。

まるままオレンジを齧るのはつらい。
そういうことだったんだろうか。

#小説

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