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「女の子はどう生きるか」 第4章 その1

上野千鶴子著、岩波ジュニア新書、要旨

Q36. 大臣も議員も少なくないですか?

Q.どうして日本では、女性の政治家や大臣が少ないの?議員や大臣の育休などが広まらないのもどうして?

A.日本は女性政治家が極端に少ない。参議院議員では10人中8人が男性衆議院議員では10人中9人が男性だ。理由は女性候補者が少ないから。日本の女性は選挙権を行使する割合が男性よりも高いけれど、被選挙権を男性よりも行使しない傾向にある。それは女性が悪いのか?なぜ女性の議員候補者は少ないのか?

ここでは8つの理由を述べる。

理由1.  日本には、男性優位の社会通念があること。
理由2.  政治家が地域や団体の利益代表のようになっていて、団体が推すのがもっぱら男性だから。女性構成員が圧倒的に多いPTAですら、会長は10人中8人以上が男性。
理由3.  女性の立候補に対する、家庭内抵抗勢力が現れる。その主体は夫と親族。「女性の役割は家事育児」「家の仕事をおろそかにするな」「妻が夫よりも目立つな」という感情等々。子供は母を応援したりするかもしれないが。
理由4.  年齢的要因。女性でも子育ての終わった比較的高齢の人が議員になることが多かったので、例えば現役の政治家が妊娠出産する可能性を誰も想定していなかった
理由5.  選挙がジバン・カンバン・カバンに依存してきたから。漢字にすると「地盤(地域の利益代表者を世襲で引き継ぐ)・看板(知名度)・鞄(見習い時期に議員の鞄持ちをする)」。女性は表に出ることをよしとされてこなかったので立場が弱い。議員は女性も(男性も)ジバンを引き継いだ世襲議員だとなりやすい傾向あり。
理由6.  選挙の仕組みが女性に不利。一人のトップしか当選しない小選挙区制では、女性ではなく男性が選ばれるのだ。学校の生徒会と同じ理屈。一人のトップを選ぶなら男性を好むのが日本社会
理由7.  供託金という制度も障壁。15万円(長村議会)から600万円(国会議員の比例区)など、金額を払った上で出馬する。かつ、一定の得票数を得ないと供託金を全額没収される。
理由8.  勤め人だと当選すれば退職しなければならないことが、議員になる壁を高くしている。

日本の社会と選挙制度自体が、あの手この手で、議員への立候補を阻んでいるのだ。

欧州やアフリカ(note筆者:「アフリカ」を加筆←リンクあり)など、女性政治家を増やした国には、候補者の男女割り当ての導入という共通の特徴があり、日本でも2018年に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」ができた。しかし、罰則はない(note筆者: 罰則なし!?さすがだねー、ずるいねー、姑息だねー、お手盛りだねー(-。-;)ため政権与党は守らなかった。

ならばどうするか?

国会議員を増やす前に、各地の地方議員を増やすことだ。増やすためには議員職をもっとハードルの低いものにすることも可能だ。例えば地方議会をパートタイム制にする。給料も低ければ、副業として行える程度に負担を減らせばいい。地方議会を威張れるための名誉職ではなく、ボランティア活動のようにしてみる。男は自分のトクにならないことはしないから、議員職女性の数は増えるだろう。

Q37. 私が投票したい候補がいない

Q.この前の候補者はすべて男性。入れたい人がいなかったので選挙に行かなかった。いつになったら、選びたい女性候補者が出てくるのでしょうか。

A.なぜ女性候補が出てきにくいかの理由は前問で答えたが、次に問われるのが「女ならだれでもいいのか」と言うこと。本音で言うと、女なら女を応援したいが、女性なら誰でも良いわけではない。男性ボスのお気に入りだと言う理由で、「初めての女性なんとか」に就任する人もいるからだ。

でも、そもそも候補者が少数だと、判断できない。だからまず、「クオータ制」でまず女性議員を増やすのが先決だ。もしこの人を推したい、という候補者が出てこないのなら、自分が立候補してみるのも一手では?25歳になれば立候補できる。徳島市では、2020年4月には30歳代の女性が市長に就任している。

高校生であるあなたの将来の選択肢「政治家になる!」を加えられると良い。

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(以下、note筆者加筆:我々は男女平等に納税している。でも、納税の果実を給与として得ている地方自治体の首長、管理職、職員は■性が過半だ。そして、多くの●性の希望が叶えられないような行政が行われている。例えば、保育所。二人の子供が公立の2箇所の異なる保育園に通う羽目に陥ると、母親(父親は少数)が行う送迎時間は1日2時間に及ぶことに。それでも、「待機児童は少しは減っている」「保育園抽選んい落選しないで通えているだけ感謝しろ」と困りごとを上から目線ではねのけてきたのは、多くの■性市長や市役所職員の立場。

なぜなら■性役人の場合、自分の家庭内で下僕役をやってくれる家人に、なぜか生活の苦労を移譲するから、苦労をする人(そもそも、女性を「人」とみなして良いなら)に対する想像力が働かない。

このように想像力がない人が行う行政のもとでは、市民は日々の苦痛を背負うため、結果的に「この町で暮らし続けたい」「家族を増やそう」などと言う結果にはならない。

●性の市長のもと、「それでは貴女は安心して仕事できませんね」と理解を示して行動した市がある。「保育園に入園できなかった家庭のその後のインタビューと、入園に向けての努力」や「短時間でも託児したい」と言う要望を掘り出して対応するサービスを市民に提供し、2010年に待機児童ワースト1だった状態を、2003年に待機児童ゼロを実現した市(←リンクあり)がある。待機児童「ゼロ」を目指さなくても良いだろ、と言う市役所職員の声に対し「いや、ゼロにしろ」と提案し行動させた結果だそうだ。たったの3年。

この自治体では、2009年以前には保育所の整備もろくにないために、失望した家庭や母親たちが多かっただろう。しかし、●性市長の出現で変わった。こんな首長のもとなら、市民は失望せず、将来家族を増やしたり、住み続けても良いかな、と思えるだろう。

乳幼児の母親たちに「保育園落ちた、日本死ね」と罵倒される国も、首長が替わると「住みやすいところ」になれる日が来るのか?)

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