「国家はなぜ崩壊するのか」 第2章
第2章 こんなに近いのに、こんなに違う
<この章のお題>
貧しい国々が貧しいのは、地理や文化のためではないし、国民を豊かにする政策を指導者が知らないためでもない。
<第2章の副題:まとめ、印象に残った箇所>
世界の格差の原因とされる3つの説がある。しかしどれも説得力に欠ける。その3つの説とは↓
1) 地理説:暖かい方が生産性が高く、在来種の植物や家畜が多く存在していたからユーラシア大陸は豊かだ、とする説。しかし、アジアは暖かくて農業生産効率も良いはずなのに、現在の東南アジアには貧国が多い。加えて、アジアに日本やシンガポールなどの富裕国が混ざるとなると、地理説では、もはや貧富の差の説明がつかない。
2) 文化説:例えば、宗教や人種によって好ましい労働倫理を持っていないとする説。また、ヨーロッパ系か否かにより貧富に差が生じたとする説。しかし、ノガレスを見れば、違いは文化や人種でも地理でもなく、米国とメキシコの国境が貧富の差を生んでいることがわかる。
3) 無知説:かつての被植民地に貧国が多いのは、現地人が無知であるためだ、とする説。しかし、テクノロジーは植民とともに、植民地にもたらされている。例えばコンゴでは、農機を発達させて生産性を上げることはできたのに、結局テクノロジーを取り込んでいない。知識はあっても活用されないのは、無知とは無関係。
上記の3つの説は、学会でいずれも支配的な説。しかし、本当の違いは、国の制度の違いにある。多くの場合、各地の権力者が、あえて人々の貧困を生み出す選択をしてきた結果である。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?