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「国家はなぜ崩壊するのか」第3章 その1

第3章 繁栄と貧困の形成過程

<この章のお題>

いかにして、制度から生じるインセンティブによって繁栄と貧困が決まるのか。またいかにして、国家がどんな制度を持つかが政治を通じて決まるのか。

<第3章の副題、まとめ、印象に残った箇所>

38度線の経済学:

1945年米ソが南北分割占領、南北朝鮮に生き別れた兄弟の話。その後1990年までに韓国経済は成長、北朝鮮は停滞。生じた所得格差は10倍。違いはインセンティブ。文化、地理、無知も格差の原因ではない。違いは制度。

収奪的な経済制度と包括的な経済制度:

inclusive institutions vs. exclusive institutions。包括的な経済制度(大多数の人々が経済活動に参加できる制度)は、経済活動、生産性の向上、経済の繁栄を促す。包括的な経済制度は国家を必要とし、国家を活用する。

繁栄の原動力:

包括的な経済制度は包括的な市場を生み出す。自由で公平な場を人々に与える。才能の活かし方や職業選択、教育の自由が繁栄を呼ぶ。収奪的な経済制度はその逆の効果をもたらす。生まれようとする才能を結集できず、農夫や兵士として働き続ける運命を持つ集団から、例えばビル・ゲイツは輩出されない。


必ずしも繁栄が選ばれないのはなぜか:

政治制度と経済制度は社会によって選ばれる。コンゴ王国の場合、モブツの支配下で収奪的制度に。モブツはベルギーへ旅行し、人民はその費用を負担させられてきた。権力者は経済発展により、自身の富を失う可能性があるから、現状維持を望む。技術革新をわざと自国に導入しないという選択をすることがある。産業化の敗者は貴族や職人。例えばラッダイトたち。経済成長は創造的破壊=状況を不安定にすることも。変化に対する不安あり。

コンゴの長い苦悩:

経済成長を後押しする政治体制は、まず中央集権制度。法による秩序が必須。コンゴ王国では、奴隷狩りを自国の王が行い、農業生産物は王とエリートに奪取される。農機を導入するインセンティブはなかった。エリートが政治権力と経済権益を手にしている限り、技術や文字を国民に知らせない方が徳。


収奪的な政治制度のもとでの成長:

上記のような収奪的な政治制度は、長期的にはエリート層に利益ももたらさない結果になる。例外はある。例えばカリブ海(バルバドス、キューバ、ハイチ、ジャマイカ)のプランテーション。ソ連では国家権力を使って産業を発展させた。しかし成長の持続は困難。今後の中国も持続的発展は困難だろう。

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