【書評】交渉力 by Toru Hashimoto

さて、交渉力(橋下徹の本)の本を読みました。

この本は、交渉について書いている本だけれども、ビジネスにおける交渉と前提が大きく異なることが気になった。それは、著者が今回の本においては、ビジネスにおける交渉を「譲ってもいいことは譲ったうえで、こっちが必ず手に入れたいものを手に入れる」という前提にしている。しかし、実際に交渉をするときは、交渉相手は一つの団体ではなく、複数の団体であり、「譲ってもいいことは譲る」という状態にならないように、交渉をするはずだ。(BATNAを用意する)と、言われること。

このBATNAを用意することが、非常に重要なのに、一切その点について触れられていないのは残念だった。

一方で、非常に勉強になったことは、相手に対する仮想利益の与え方だ。先方に高めのボールをぶん投げたり、先方に対して不利益になることを合法的な脅しとして当方からふっかける。その上で、相手の情報を引き出すために、最初投げたボールを少しずつ緩めていって、相手が利益を受けたように感じさせるテクニックは勉強になった。当方としては、最初にある意味脅しような形で交渉のためのボールを投げているので、それを譲ったところでデメリットはゼロである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?