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ENTERとRETURNのどうでもよい話

先日、同じ仕事をすることになった若い人たちと話をした際に、ついついリターンキーと言ってしまって、それなんですか?と訊かれてしまいました。まあ、そんなどうでもよい話です。

リターンキーって何?

いわゆる↩︎とかENTERとか書いてあるキーのこと。長いことパソコンNECのPCシリーズを使っていたので、気を抜くとついついリターン(RETURN)キーと言ってしまうことがあります。
実際のキーボードは以下のリンク先で確認できます。もっとも、NECのPCシリーズもRETURNだったのはPC-8001とPC-6001で、PC-8801やPC-9801からは↩︎になっています。とは言え、読み方としては「リターンキー」だったかと思います。

ENTERキーとは?

一方で、今時のパソコンは「ENTER」と記載されているか、ENTERに↩︎が併記されているものがほとんどかと思います。Macも今のは↩︎のみです。
まあ、改めて説明するまでもないと思いますが、改行する時や何らかの決定をする時に使うことが多いかと思います。
よくマンガでコンピューターに詳しい人がすごいスピードでキーを打って、最後にパーンと勢いよく叩くのがこのキーですね。

WIkipedia日本語版にもこのキーについての説明が記載されています。

初期は「リターンキー」(改行キー)と呼ばれる事が多かったが、現在は「エンターキー」(入力キー、実行キー)と呼ばれる場合が多い。またメインキーの側とテンキーの側で呼び分けたり使い分ける場合もある。

Wikipedia エンターキー

なお、WIkipediaにはPC-8801はRETURNで、PC-9801が↩︎のみと書いてありますが、ネットでPC-8801のキーボード画像を見ると↩︎のみとなっています。途中から変わった可能性もなくはありませんが、PC-6001,8001では一段分のキーだったのが8801以降は9801含めて二段分のキーになっています。そのため、おそらく↩︎表記のみだった思います。

基本的にはこれらの違いは読み方の違いですが、一部で動作が異なることも。
自分は知りませんでしたが、一部のシステムではフルキー側とテンキー側で異なる動作をすることがあるようです。
そのことをWikipediaでは以下のように記載しています。

Macintosh
いくつかのキーボードレイアウトとオペレーティングシステムでは、エンターキーとリターンキーは全く別の2つのキーである。Macintoshでは、メインキーにリターンキーがあり、テンキーにエンターキーがある。
(中略)
リターンキーは厳密に改行のみ、エンターキーはシェルコマンドなどの実行に使用される。技術的には、Macintoshキーボードにおけるリターンキーは改行コードCRに対応し、エンターキーはLFに対応している。

Wikipedia エンターキー

自分が使っているMacにはテンキーがないため、そういう使い分けがあるのは知りませんでした。
ただ、最後の一文はちょっと微妙な気もします。

CR(キャリッジリターン)とLF(ラインフィード)の本来の意味は、CRが行をそのままでカーソル位置(キャリッジ)を左端に戻す(リターン)ことを指します。
一方で、LFは単に1行(ライン)分を送る(フィード)ことを指します。
そのため本来は1行下げてカーソル位置を左端に戻すにはCRとLFの両方が必要でした。
そのためかWindowsではCR+LFの組み合わせで改行を表していますが、Mac(やLinuxなどのunix系OS)の改行コードはLFだけです。CRは使いません。
実際にどう扱うかはアプリ次第で、アプリによってはLFだけでも改行とみなしたりするし、実際に各種エディタでは自動で判断したり、設定で切り替え可能です。

それはともかく、MacではCRは使わないので、上の説明は少しおかしいように感じます。
あくまで私見ですが、フルキー側のキーは改行とか実行に使うのがメインです。しかし、テンキー側はわざわざ文章を打っている時に改行のために使うことは少ないと思います。普通はひたすら数字を入力するために使うのがテンキーで、そこにあるエンターも1組の数字の入力の終わりを表すために使うのがメインかと思います。そのため、エンターなのかな?と思っています。

ついで:なぜWindowsだけ違う?

正直に言えば、正確なところは分かりません。ただ、タイプライター時代は実はキャリッジリターンとラインフィードは別ものでした。だから文字コードもCRとLFに別れています。大型機で使われていたEBIDICではCRとLFに加えてNL(New Line)もあるそうです。昔ながらの世界ではCRとLFは別物と考えられていたのでしょう。

一方でunix系OSではLFだけで改行となりました。その辺の真意は調べきれませんが、当初は大型機に比べればメモリ容量に制約が多い中・小型機での利用を想定したunix系ではCRとLFを別にする必要性が薄いから1バイトにしてしまえ、というノリだったのかもしれません(あくまで想像の話)。
それよりもメモリが少ないパソコン(マイコン)でまたCR+LFになっているのは謎ですが、まあ原理主義と合理主義の違いかと。

以下の記事にもあるようにWindowsの元になったDOSはCP/Mの影響を受けています。と言うか、WikipediaのMS-DOSの項にCP/Mが8086に移植されなかったのでCP/MクローンOSを作ってしまったティム・パターソン氏をビル・ゲイツ氏がマイクロソフトに引き込んでMS-DOS(PC DOS)を作った話が書いてあります。
ですので、Windows/DOSがCR+LFを使っていること自体は謎ではないと思います。一方、Macは今も昔もunix系OSの影響が強いので、そこからLFのみで改行となっているかと思います。
つまりは、CP/M vs unix系という昔のOS二大派閥の差異がそのままWindows vs macOSの際に繋がっているのかと。
(そもそも、DOS以前のMS-BASICの時代から改行はCR+LFだったはずなので、マイクロソフト的にはそれが普通だったのでしょう)

役割の違いがENTERとRETURNの違い

話を元に戻します。
結局、昔は改行を入力するためのキーがリターンキーでした。しかし、その後、コンピューターシステムの普及に伴ってリターンキーの役割が単なる改行というより、データの終わりや実行の指示を指すようになります。
そこからエンターの方がより相応しいという話になってきたのかと思います。
Wikipediaのエンターキーのところにも書いてありますが、日本では実行キーや入力キーと呼ぶ場合もあります。
(Wikipediaにもあるように、ワープロなどでは改行と分ける意味で実行キーが独立していたりもしたので、そこに至るまでの紆余曲折があったわけです)

まとめ

まあ、要するに自分みたいなおっさんがついつい昔の癖で「リターンキー」とか口走っても、そこは生温かい目で見てあげてください、という話でした。

4月からまた講師案件があるのですが、そこでもまたリターンと口走ってしまいそう。注意しないといけないですね。

タイトル画像について

Copilotの画像生成に適当な指示をしたら訳のわからない画像を出してきました。正直、よく分かりませんがなんとなく面白かったのでそのまま使っています。

拙い記事でございますが、サポートしてもよいよという方はよろしくお願いします。著者のやる気アップにつながります。