冬の夜空と野良猫は裏切らない

2019 11/16

夜が早くなった。17時の散歩は俺をとても憂鬱な気分に落としていく。まだ一日は始まったばかりの気分なのに、空はせっせと締めの作業に入ったようだ。冬は毎日俺を取り残すから嫌いだ。宛もなく始まった散歩は、車の下に入り込んだ野良猫を見届けて終わった。

この子にも猫生(人生)があるのだなぁ。やっぱり、飼い猫に嫉妬したりするのだろうか。いや、そもそも飼い猫の存在を知っているのか?飼い猫だろうが野良猫だろうがお互いただの「猫」としか認識してないかもしれない。毛を纏っていても冬は少し寒かったりするのかな。なんにせよ猫は愛しいな。

吐く息は白く、青白く染まった空気が手袋をかすめて通り過ぎてゆく。俺はこの街の夜空をこの冬何度見上げるだろうか。この漆黒の闇と微かな月星の光に何かを求めることはない。しかし、冬の夜空と野良猫は決して俺を裏切らない。照らすでも見守るでもなく、ただひたすら見つめてくれる。

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