青少年健全育成条例の概要

 カラオケの入店時間が気になり、広島県の青少年健全育成条例の内容を確認した。だいたいどこの都道府県も同じらしい。

深夜徘徊の禁止

 広島県の条例では、23時以降滞在禁止。16歳未満は18時までとか、日没までとか、その辺は各店舗や市町村の取り決めなのかもしれない。
 青春を邪魔するよく見る条項としては、以下。

青少年とは、未婚で18歳未満の者をいう。

青少年 十八歳未満の者(婚姻により成人に達したとみなされる者を除く。)をいう。
広島県青少年健全育成条例 第15条 一項

深夜とは、23時~翌6時をいう。

深夜 午後十一時から翌日の午前六時までの時間をいう。
広島県青少年健全育成条例 第15条 八項

保護者は青少年を深夜外出させないようにせよ。

保護者は、特別の事情がある場合を除き、青少年を深夜に外出させないように努めなければならない。
広島県青少年健全育成条例 第42条 一項

皆、保護者に黙って青少年を深夜外出させたり、留まらせたりするな。

何人も、正当な理由がある場合を除き、保護者の委託を受けず、又はその承諾を得ないで深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。
広島県青少年健全育成条例 第42条 二項

映画、カラオケ、ネカフェ等は、深夜の青少年の入場を制限せよ。

興行を主催する者、設備を設けて客に遊技若しくはスポーツをさせる営業を営む者又は設備を設けて客に図書類を閲覧若しくは視聴させ、若しくはインターネットの利用をさせる営業を営む者で、規則で定めるもの(以下「興行者等」という。)は、正当な理由なく、深夜にその興行又は営業の場所に青少年を立ち入らせてはならない。
広島県青少年健全育成条例 第35条 一項

映画、カラオケ、ネカフェ等は、深夜の青少年入場禁止を掲示すること。

興行者等は、深夜において興行又は営業を営む場合は、規則で定めるところにより、入場しようとする者の見やすい場所に、青少年の深夜における立入りを禁止する旨の掲示をしなければならない。
広島県青少年健全育成条例 第35条 二項


条文全部をわかりやすくした

 ついでに前文目を通してみたのが以下。文章は省略し、「ものとする」「ねばならない」等は雰囲気で表現している。また、よく分からない事項については、適当にお茶を濁している。テレクラ系とか。
◎確認したい事項がはっきりしていて、第何条かを確認したい
◎どんな事項が定められているのか、なんとなく確認したい
 これくらいにしか使えない。

●前文
 青少年が健全に成長できるよう、この条例を制定する。

●第一章 総則 
第1条 青少年は健全に育成されるべきである。
第2条 県は市町村と連携して施策の推進に取り組む。
第3条 削除
第4条 県民は育成を阻害するような行為や環境から青少年を保護するよう努める。
第5条 保護者や家族は、健全で明るい家庭づくりを進める。
第6条 学校や育成関係者は、積極的に健全な育成に努める。
第7条 地域住民は、健全な育成に努める。
第8条 この条例で、県民の自由と権利を侵害しないこと。

●第二章 健全育成に関する施策
第9条 施策の策定と実施は、青少年と県民の自主的な活動を基本とする。
第10条 県は以下の施策を実施する。
1 自主的で健全な活動の助長
2 指導者の養成と確保
3 施設の整備と利用の促進
4 社会環境の整備と非行防止の推進
5 県民の自主的活動と営業者の自主規制の促進
第11条 健全な育成のために自主規制する団体には、必要に応じて援助措置をとる。
第12条 知事は、必要に応じて情報提供を行う。
第13条 知事は、映画・演劇・書籍等で、有益と認めるものを、推奨できる。
第14条 知事は、以下を表彰できる。
1 青少年育成のため積極的に活動し、功績が顕著だったもの
2 行動や活動が他の規範となるもの
3 自主規制により、健全な育成に寄与した営業者

●第三章 社会環境の整備のための自主規制
第15条 各用語の定義
第16条 性的・残虐な図書は青少年に販売・貸付等をしてはならない。
第17条 上記に該当する興業の主催者は、青少年に観覧させてはならない。
第18条 性的な玩具刃物類を青少年に販売・貸付等をしてはならない。
第19条 危険物を自販機に入れない。避妊具等を青少年の目につきやすい自販機に入れない。避妊具や酒類、たばこを青少年が自販機で購入できないようにすること。
第20条 性的・残虐な広告物を提示しないこと。
第21条 質屋は青少年へ貸し付けず、古物商は青少年から買い取らず、貸金業者は青少年に貸し付けないこと。
第22条 残虐な遊技機を設置する営業者は、青少年に使用させないこと。
第23条 削除
第24条 興行、遊技やスポーツ・図書類を閲覧させる、インターネットを利用させる営業者は、深夜、正当な理由がある場合を除き青少年を入場させないこと。
第25条 図書類の販売や貸付、興行主催、玩具刃物販売者等は自主的方法により、青少年の健全な育成を阻害しないこと。
第26条 図書類販売団体、興行団体は、性的・残虐なものを選定し、明らかにすること。玩具刃物類販売者は、危険物を選定し、明らかにすること。
第27条 知事は、上記のため、営業者等に対して指導または助言を行うことができる。

●第四章 有害環境の規制
第1節 有害図書類販売等の規制
第28条 知事は、性的・残虐な図書を有害な図書類として指定できる。その他、有害な図書類の具体例を示す。図書類を扱うものは、指定された有害図書を青少年に閲覧させてはならない。また、陳列するときは、他の図書と区分し監視できる場所におかなければならない。
第29条 知事は、性的・残虐な興行を有害な興行として指定できる。主催者は、有害興行を青少年に閲覧させてはならない。また、入り口に青少年入場禁止の旨を表示しなければならない。
第30条 知事は、危険な玩具について、有害な玩具刃物類として指定できる。その他性的なもの、下着の形状のもの、使用済みと見え包装されている下着、圧縮の反動力で弾丸等を発射させる規定の形状や構造を有するもの、6cm以上の刃物等も有害な玩具刃物類とする。これらは青少年に販売、貸し付けてはならない。
第31条 知事は、上記に準じて有害広告を指定でき、有害広告は表示してはならない。ただし、青少年が入場禁止されている場所においては、表示してよい。
第32条 図書類や玩具刃物類の自販機を設置するものは、以下を知事に届けなければならない。
1 業者の氏名、住所、電話番号
2 委託する場合は、委託先の氏名、住所、電話番号
3 自販機の管理者の氏名、住所、電話番号
4 自販機の型式、製造番号、設置場所
5 その他、規定で定める事項
上記に変更があれば15日以内に届けること。また、届け出をした自販機は、見やすい箇所に届け出済み証を貼付すること。
自動販売機業者は、販売機ごとに、示された措置の実行や撤去をできる権限を有し、同一の市長区内に居住する管理者を置くこと。
第33条 自販機業者と受託者は、有害図書や有害玩具刃物類を自販機に入れてはならない。入れているものが有害指定されたら、5日以内に除去すること。
知事は、これに違反しているものに対して除去等の措置を命ずることができ、措置を命じられた設置者等は5日以内に除去しなければならない。
知事は、これに従わない者等に対して、自販機の撤去を命ずることができ、撤去を命じられた設置者等は10日以内に撤去しなければならない。
第34条 第32~33条の規定は、風俗営業法に規定された営業所で、青少年が購入できないものについては、適用しない。
第35条 興行、遊技・スポーツをさせる営業者、インターネット利用させる営業者は、正当な理由なく、深夜に立ち入らせてはならない。またその旨を、見やすい場所に掲示しなければならない。
第36条 知事は、有害指定について、指定理由がなくなった場合は有害指定を取り消すことができる。
第37条 知事は、有害指定を取り消すときは、その旨を告示する。
第38条 知事は、営業に関する規定を遵守していない者に、遵守を勧告し、講じた措置の報告を求めることができる。
第2節 利用カード等販売業等の規制
第38条 利用カード等販売業の営業者は、自販機の設置場所ごとに、設置の10日前までに以下を公安委員会に届け出なければならない。
1 営業者の氏名、住所
2 販売所の名称、所在地または自販機の設置場所
3 その他公安委員会規則に定める事項
上記に変更があれば15日以内に届けること。また廃止した場合は15日以内に届けること。
青少年立ち入り禁止場所を除き、以下の周囲200mで営業してはならない。
1 学校教育法に規定する学校(大学を除く)
2 児童福祉施設
3 都市公園で、児童の遊技施設があるもの
4 その他、青少年が利用する施設で規則に定めるもの
利用カードは、青少年が購入できる自販機には入れない。自販機に禁止の旨を表示する。公安委員会は、この規定を遵守させる措置を命じることができる。
何人も、青少年に利用カードを見せたりしてはならない。
以下略

●第五章 健全育成を阻害する行為の規制
第39条 何人も、青少年に淫行またはわいせつ行為をしたり、教えたり、見せてはならない。
第40条 何人も、青少年が淫行、わいせつ行為、賭博、暴行、麻薬等の使用、医薬品の不健全使用、飲酒喫煙すると知って場所を提供してはならない。
第41条 何人も、正当な理由がある場合を除き、青少年にいれずみを入れたり周旋してはならない。
第42条 保護者は、正当な理由がある場合を除き、青少年を深夜に外出させないこと。また何人も、正当な理由がある場合を除き、保護者に黙って青少年を連れ出してはならない。

●第五章の二 インターネット利用環境の整備
第42条の2 保護者、家族、教育者、公共でインターネット端末を利用させている者、端末を販売・貸付している者は、フィルタリング等で有害情報を青少年に視聴させないようにすること。

●第六章 広島県青少年健全育成審議会
第43条 知事の諮問機関として同審議会を置き、知事は緊急時を除いて審議会の意見を聞き、方向すること。
第44条 審議会は委員25人以内を知事が任命し、任期は2年とする。再任可、秘密厳守。部会の設置が可能。

●第七章 雑則
第45条 知事は、指定する職員に、立ち入り調査をさせることができる。公安委員会は、警察職員に、立ち入り調査をさせることができる。ただしこれは、犯罪捜査ではない。
第46条 何人も、有益たるもの、表彰が適当と認めるものを、知事に申し出ることができる。
第47条 条例の施行に必要な事項は知事が定める。

●第八章 罰則
第48条 各違反に対する罰則規定
第49条 被使役者が違反した場合は、使役者も罰する。


感想と参考

最初は「これって税金でしていいことなの…?」みたいなまじめな所感があったんだが、だんだん「役所が『えっちなのは良くないと思います!』って書いたらこうなるのか」ってソワソワしてきたし、「役所の性癖の塊か?」ってなった。すっかり調教されたパソコンが「委託する場合は→痛くする場合は」とか変換したレベルで性癖の塊だった。

●参考(2021/10/08)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/43/sinyagaisyutu.html
https://ops-jg.d1-law.com/opensearch/SrJbF01/init?jctcd=8A8B97723A&houcd=H354901010002&no=1&totalCount=4&fromJsp=SrMj