武器兵器調達課#87:  「いずも DDH」

今回は「いずも DDH」について見て行きましょう。

今回は「いずも DDH」についてみていきましょう。

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「いずも DDH」: 海上自衛隊が保有する護衛艦で、2020年3月に就役しました。護衛艦としては最大級の規模を誇り、その運用能力から「事実上の空母」と称されることもあります。

参考

1. 艦体構造

  • 全長: 約248メートル(従来の護衛艦の約2倍)

  • 全幅: 約38メートル

  • 排水量: 約2万5000トン(世界最大級の護衛艦)

  • 飛行甲板: 長さ約248メートル、幅約38メートル。ヘリコプター約14機を同時収容可能。発着艦作業を効率化するため、2基のエレベーターを備えている。

  • 艦橋: アイランド型を採用。レーダーや電子戦装置などを集中配置し、情報処理能力や指揮統制能力を向上させている。

  • 艦載機: SH-60J/K哨戒ヘリコプター、MCH-101多用途ヘリコプター、UH-1J/N多用途ヘリコプターなどを搭載。護衛艦隊旗艦として、対潜戦、対空戦、捜索救難、海上輸送など、幅広い任務に対応できる。

  • 兵装: 32連装垂直発射装置(VLS)を2基(計64発)搭載。射程数百キロメートルのSM-2対空ミサイルやSSM-1対艦ミサイルなどを発射可能。艦載ヘリコプターの護衛や敵艦への攻撃など、多様な任務を遂行できる。

  • 居住区: 広大な居住区を備え、災害派遣や国際貢献活動にも対応できる。約470名の乗組員が快適に生活できるよう、十分なスペースと設備が確保されている。

  • その他: 艦内には、病院、調理室、娯楽施設なども備え、乗組員の生活環境を向上させている。

2. 改修

2020年度から改修工事が進められており、2023年3月に第1回目が完了しました。改修内容は主に以下の通りです。

  • 飛行甲板の耐熱塗装・標識塗装の追加: F-35B垂直離陸戦闘機の運用を想定した改修。耐熱塗装は高温に耐えられるように、標識塗装は艦載機の誘導灯として設置されている。

  • 艦首形状の変更: 空気抵抗を減らし、燃費を向上させるための改修。

  • 艦載機用のエレベーターの改修: F-35B垂直離陸戦闘機の搭載に対応するための改修。エレベーターのサイズや強度が強化されている。

  • 艦内居住区の改修: 乗組員の居住環境を向上させるための改修。

これらの改修により、将来的にはF-35B戦闘機の搭載が可能になる予定とされています。

3. F-35B垂直離陸戦闘機の搭載

「いずも」の最大の特徴は、F-35B垂直離陸戦闘機の搭載可能性にあります。F-35Bは、滑走路がなくても発着艦できる戦闘機で、従来の空母よりも運用場所の制約が少ないという利点があります。「いずも」にF-35Bを艦載すれば、海上自衛隊の航空戦力は大きく強化され、日本の防衛戦略に大きな変化をもたらすことが期待されています。

4. 搭載に向けた課題

しかし、F-35Bを「いずも」に搭載するには、いくつかの課題があります。

  • 飛行甲板の改修: F-35Bの垂直離陸時に発生する高温の排気ガスに対応するため、飛行甲板の耐熱性を強化する必要がある。

  • 艦載機用の設備の整備: F-35Bの整備や運用に必要な設備を艦内に設置する必要がある。

  • 運用体制の整備: F-35Bを運用するためのパイロットや整備員の育成、運用マニュアルの作成などが必要となる。

これらの課題を克服するためには、時間と費用がかかりますが、海上自衛隊はF-35B搭載に向けた取り組みを積極的に進めています。

5. 論争

「いずも」の改修には、空母化に繋がるとして、憲法違反ではないかという議論もあります。しかし、政府は「いずも」はあくまでも護衛艦であり、空母ではないと主張しています。

お値段は?

日本の空母「いずも」の建造費用は約1500億円と推定されています。これは、護衛艦としては世界最高額の建造費用です。

建造費用の内訳は以下の通りです。

  • 艦体: 約800億円

  • エンジン: 約200億円

  • 兵装: 約300億円

  • その他: 約200億円

建造費用以外にも、改修費用や運用費用も相当な額になると考えられます。 でも、この金額でここまでできるなら安いかも?

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