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武器商人秘書オリガのノートブック#43: 「ヴェノム計画」

今回は「ヴェノム計画」について見て行きましょう。

「ヴェノム計画(Venom Program)」: アメリカ空軍がF-16ファイティング・ファルコンを自律飛行可能な機体に改修する計画の事。

この計画は、有人機であるF-16を自律飛行や有人機と協調作戦が可能な無人戦闘機に改修することを目的としています。

Venom計画の「Venom」は「Viper Experimentation and Next-gen Operations Model」の略で、日本語に直訳すると「バイパー実験と次世代オペレーションモデル」という意味です。ViperはF-16の非公式名称であり、Venomは有人機であるF-16を自律飛行可能な無人機に改修する計画です。この計画は2023年5月に発表され、2024年度の予算として5000万ドルが計上されています。

Venom計画の目的は、F-16に自律飛行のための人工知能(AI)を搭載し、有人機と随伴飛行する協調戦闘機「CCA(collaborative combat aircraft)」としての新しい役割を与えることです。アメリカ空軍は、開発中の第6世代戦闘機NGADとのF-35ステルス戦闘機に、このCCAを組み合わせる計画を立てています。基本的な組み合わせは、1機の有人機に対して2機のCCAが随伴する形です。有人機のパイロットは機内からCCAに指示を与え、例えばCCAに斥候として先に作戦空域に飛ばしたり、周囲のターゲット情報を取得したりします。AIは取得した情報を分析し、パイロットに予想される脅威について警告を与え、安全なルートなどを提案します。また、パイロットは得られた情報に基づいて作戦を考え、敵の防空システムを起動させ、別のCCAに搭載された兵装で攻撃することが可能になります。このように、CCAを活用することで高価なNGADやF-35の損失を抑えることができます。

さらに、アメリカ空軍は200機のNGADと300機のF-35にCCAを組み合わせる計画を立てており、1000機のCCAを生産する予定です。F-16は大量の在庫を抱えており、このプロジェクトに適した機体となっています。現在、世界で2000機以上のF-16が運用されており、米軍では約950機が運用されています。さらに600機ほどが退役後に保管されているとされています。

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