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武器兵器調達課#100:  「UUV」

今回は「UUV」について見ていきましょう。

海軍のお話です。

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「UUV(Unmanned Underwater Vehicle:無人潜水機)」: 遠隔操作または自律的に水中を航行できる潜水機のことを指します。有人潜水艦とは異なり、乗組員を必要とせず、偵察、探査、攻撃など、様々な任務に利用することができます。

海軍UUVの種類

海軍UUVは、大きく2種類に分類されます。

  • 遠隔操作無人探査機(ROV): ROVは、ケーブルで操縦者が操縦するUUVです。操縦者は、リアルタイムで送られてくる映像を見ながら、ROVを水中を進めることができます。ROVは、比較的浅い海域で使用されることが多いです。

  • 自律型無人潜水機(AUV): AUVは、事前にプログラムされた指示に従って自律的に行動するUUVです。操縦者の介入なしで、長距離を移動したり、複雑な任務を実行したりすることができます。AUVは、深海や広範囲の海域での調査などに適しています。

海軍UUVの用途

海軍UUVは、以下のような様々な任務に利用されています。

  • 偵察・監視: 敵の艦船や潜水艦を探知したり、海上の状況を監視したりすることができます。

  • 機雷探査・処分: 機雷を探査・処分することができます。

  • 水中工作: 敵港湾への侵入や、水中構造物の調査・破壊などの工作活動を行うことができます。

  • 海洋調査: 海底地形や海洋環境を調査することができます。

  • 戦術支援: 潜水艦の誘導や、対潜攻撃の支援など、戦術的な支援を行うことができます。

海軍UUVの利点

海軍UUVは、以下のような利点があります。

  • 危険な環境での活動が可能: 敵対海域や深海など、人が立ち入れない危険な環境でも活動することができます。

  • 長距離行動が可能: AUVは、有人潜水艦よりも長距離を移動することができます。

  • 低コストでの運用が可能: 有人潜水艦よりも低コストで運用することができます。

  • 情報収集能力の向上: UUVは、様々なセンサーを搭載しており、従来の艦艇では収集できない情報収集が可能になります。

海軍UUVの課題

海軍UUVは、以下のような課題もあります。

  • 技術的な課題: UUVは、まだ発展途上の技術であり、バッテリー性能や通信技術などの課題があります。

  • 指揮統制の課題: 複数のUUVを連携して運用する場合、指揮統制が複雑になります。

  • サイバーセキュリティ対策: UUVがハッキングされるリスクがあります。

  • 法的な課題: UUVの攻撃的な利用に関する法整備が追いついていない部分があります。

各国のUUV開発状況

近年、各国海軍はUUVの重要性を認識し、開発を積極的に進めています。特に、アメリカ、中国、ロシアはUUV開発において力を入れています。

  • アメリカ: アメリカ海軍は、様々な種類のUUVを開発・運用しており、世界で最も進んだUUV技術を有していると言われています。

  • 中国: 中国海軍も近年UUV開発に力を入れており、アメリカに次ぐUUV保有国となりつつあります。

  • ロシア: ロシア海軍もUUV開発を進めており、特に大型の攻撃型UUVの開発に力を入れています。

日本のUUV開発

海上自衛隊もUUVの重要性を認識し、開発を進めています。現在、掃海艇などに搭載する小型のUUVを運用しており、将来的には大型のUUVの開発も検討されています。

2023年11月には、防衛省が数年以内に魚雷発射管から発射・回収が可能なUUVを実用化することを発表しました。これは、潜水艦からUUVをより迅速かつ安全に運用することを可能にするものであり、海上自衛隊のUUV運用能力を大きく向上させるものと期待されています。

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