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RS1位の喜びは曇らせないし、CS敗北の傷口も膿んだままでいい。宇都宮ブレックス2023-24シーズン終了に寄せて

ブレックスのシーズンが終わった。クォーターファイナルの日環アリーナで終わるなんて全く思ってなかった。セミファイナルの日環アリーナに行くつもりだった。チケットも宇都宮駅のホテルも押さえていたし、どうやったら日環アリーナを出て終電に乗れるかを何回もシミュレーションした。ファイナルの横浜アリーナにも絶対行くつもりだった。ファイナルのチケット代を見て、高いなあチケット貧乏だ、などと思いながら日々の節約に努めていた。

シーズン終了から一週間経ったけど、昨日のことのように思い出せる。開幕の群馬戦から終演の千葉戦まで、楽しかった思い出と、苦しさとが混ざり合って、私のお腹の奥でうずくまっている。


数え切れぬほどの楽しい瞬間があった

シーズン中、楽しかったことがたくさんある。数え切れないほど。クラブ最高の21連勝という記録も残せたし、東地区でも優勝したし、三地区でのレギュラーシーズン最高勝率をマークした。レギュラーシーズン、一番勝って、ファンを一番笑顔にしてくれたのは、間違いなくブレックスだった。

比江島がスリーポイント王に輝いたのも嬉しかった。DJがボールハンドリングを担ってくれたから、チーム全員がスクリーンを掛け合ったから、シューターの比江島が生かされた。日本代表での役割にも近く、この夏に繋がるシーズンとなった。パリでもたくさんスリーポイントを決めてセレブレーションで会場を沸かせて欲しい。

チーム全体の3Pも素晴らしかった。平均3Pシュート試投数が32.2(B1で1位)、成功数が11.8(1位)、成功率が36.6%(3位)は驚異的な数値だ。どのポジションの選手がオープンになってもスリーを打つ、というスタイルは、中のオープンスペースを作り出し、イージーシュートや更なるキックアウトアシストを生み出した。それを支えるDF、リバウンドも、泥臭くやり続けた。私はスリーポイントを中心にしたOFと、バチバチのDFを繰り出すチームが好みなので、今シーズンのブレックスは見ていて本当に楽しかった。

メンバー一人ひとりの強さも抜群だった。怪我人の出たポジションを穴にせず、むしろ層の厚さを見せつけた。チームの全選手がコートに立つ所も見られた。絶対にチャンスを物にしてやると燃えるやる気の炎、チームに流れを引き寄せるシュート、ブレックスメンタリティとは何なのかを語る背中、一人ひとりの素晴らしかったところを全て思い出せる。チームの雰囲気もずっと良かった。入場の時に、色んな選手たちが飛び上がって身体をぶつけ合うルーティンが好きだった。これから試合だ!たのしみ!という感じでみんながニコニコ笑うので、その瞬間を逃さぬように何度もシャッターを切った。でもその瞬間以上に、勝利の時に見られる選手やスタッフさんたちの笑顔が好きだった。

アウェイでの応援も楽しかった。横浜国際プールでの二連戦は、チケットを取るのがものすごく大変だった。ブレックスベンチ寄りの席が取れなくてドキドキしながら向かったけれど、ブレックスブースターの黄援がとても良く聞こえてきて、私も一緒になって声を出した。アウェイで放送のリードが無い中でも、手拍子が揃うのが楽しくて私のお気に入りだった。

これまでで一番ホームゲームにも足を運んだシーズンだった。サイン会にも初めて参加できて、試合に競り勝ったあとの選手の笑顔が見られて楽しかった。ファンクラブのポイントもたくさん貯めて、何に使うわけでもないけど、こんなにホームに来たんだなあと眺めていた。開幕戦の盛り上がりも素晴らしかったし、クォーターファイナルも、GAME3も、ダブルオーバータイムも、最後まで戦う姿を観られて、日環アリーナまで駆けつけて良かった。Tip offの音楽が、へとへとになりながらボールを追いかける選手の姿が、勝負ありと判断してハグし合うHCの姿が、そして試合終了を告げるブザー音が、今でも胸の奥にこびりついて離れない。

もうこのチームでチャンピオンになれない

GAME3のことを思い出すと鼻の奥がツンとするし、いまだに悔しくて涙がでる。

「このチーム、今日が最後だったんだ。もうこのチームでチャンピオンなれないんだ。レギュラーシーズンあんなに頑張ってきたのに、ダブルオーバータイムでもみんなボロボロになりながらボール追っかけたのに、もう何もかもおしまいなんだ」

GAME3が終わって宇都宮駅に向かうバスの中で、東京に戻る新幹線の中で、ぐるぐる、ぐるぐると、そんなことばかり考えていた。頑張ったから勝てるわけじゃない。気持ちが強ければ勝てるわけじゃない。

「結果が全てじゃない」とも言うけれど、これまでやってきたプロセスが正しかったかどうかだって、結果とセットでしか分からない。そもそもプロセスが大切なのは、結果に再現性を持たせるためではないか。負けたら終わりのCSで、結果は駄目だったけどプロセスは良かったね、次は勝てるよ、とはならない。来シーズンもあるけれど、同じメンバーで迎えるCSは二度と来ない。

結果を残さないと、みんなにもブレックスのことを分かってもらえない。日頃からブレックスを見てない人やバスケに詳しくない人が今年強かったチームとして記憶するのは、ファイナル優勝チームなのだろう。ブレックスが東地区優勝したってことも、何年かしたら薄れてしまうんだろう。勝つことでしか自分たちのやってきたことの正しさを証明できないし、世の中の人たちの心に残ることもできない。

でもさ、レギュラーシーズン最高勝率だったのに、プロセスがだめだったなんて思いたくないし、思えないよ。CSで勝って、自分たちのやってきたことは正しかったんだ、私の応援してきたチームが最高なんだって証明したかった。ブレックスって強いんだねって、みんなにも知って欲しかった。今年のこのメンバーにチャンピオンになって、金色のキラキラの中でトロフィーを掲げて欲しかったなあ。一番の笑顔を、嬉し泣きを見たかったなあ。そのために60試合やってきたんだよ。

RS1位の喜びは曇らせないし、CS敗北の傷口も膿んだままでいい

どちらの気持ちも嘘じゃない。楽しかったことを思い返せば敗北を昇華できるわけでもないし、負けて終わったからといって、東地区優勝するまでに観た沢山の勝利と喜びが消えてなくなるわけでもない。難しいな。でも、楽しかったことも苦しかったことも、忘れたくない。RS1位の喜びは曇らせないし、CS敗北の傷口も膿んだままでいい。全部ちゃんと覚えていたいし、分かっていたい。

今シーズンもありがとうございました。選手やスタッフ、ブースターの皆さま、本当にお疲れ様でした。今シーズンブレックスを黄援できたことに、心から感謝しています。

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