【シーシャの話】パッキングの意義

パッキングの詳しい解説


概要

前編で概要だけ記述したパッキングの種別と内容について、詳細な説明をします。

パッキングの種類

世界的には
Fluffパック
Normalパック
Semi-Denceパック
Denseパックという4つのパッキングの種別が主流になってきています。
なので本記事でもその名前を使って説明していきます。

ブロンドリーフ、ダークリーフ、製造過程でのニコチンの未洗浄、洗浄、グリセリンの質の違い(合成グリセリン、植物性グリセリンの割合)、糖度の差、純粋蜂蜜、加工はちみつ…等
現代のシーシャフレーバーはかなり多様化しています。

パッキング技術の普遍化は、タバコフレーバーの増加とメーカー側の自社フレーバーを他社と差別化していきたいという思惑による、フレーバー種別の多様化に対して、作り手側が対応しやすくするためのものです。

前編では作り方のみを記載しましたが、本編でその目的や意義を説明していくので、この機会にパッキングの意義について知識が深まれば幸いです。

Fluffパック

概要

名前の通り『綿毛のようなパッキング』を意味しています。

前編では葉っぱの大きなフレーバー(アメリカ系フレーバー)を想定し、ボウルに先に適切量のタバコを入れた後、指で広げてふわふわにするという説明をしました。

それでも十分に空気はできますが、実際のやり方は少し複雑です。

実際の定義上のFluff Packのやり方は

『ひとつまみしたフレーバーを指で擦ってフレーバーに落とし、規定グラムのフレーバーがボウルの縁に高さが到達するよう続ける』

というやり方です。ただ、それだと非常に面倒だと思っています。

一番やりやすいのは、以下の動画のように先に必要グラム数を測ってから手に持って、親指と人差し指と中指で葉っぱを擦ってボウルの中にとりあえず全部入れてしまうことです。
そこから手に付いたりシロップが抜けた事で発生した不足グラム分をふんわり追加します。

次にポーカーやフォークを使って密度感に大きな差ができないようにつついて空間を作り、縁に向かって均一に広げて高さがボウルの縁とあったら完成とするのがとっても楽です。
Fluff Plusに関してもフレーバー量を増やすだけでやることは同じです。

特徴と意図

この詰め方は主に葉っぱの大きなフレーバーに対して使用します。
Fumari、Starbuzz、Social Smoke、Fantasia等

利点

・密度を下げて、フレーバー全体が多くの空気の流れと熱に晒される状況を作ることで、フレーバー全体の繊維質のシロップにアプローチすることができる。
・結果としてシロップが多いフレーバーや葉っぱの大きなフレーバーからより濃い味を感じることができる。

欠点

・喫煙時間が短くなること
・キック感が強まりやすく、熱管理の回数が増えること。
・失敗した際に焦げを感じやすくなること。

Semi-Fluffパック

概要

やり方はFluffと同じです。
親指と薬指と中指でボウルに向かって擦った葉っぱを落としていきます。

Fluffパックと違う所は、ボウルの中で止まらず、縁まで擦り落とす所です。
ボウルの縁までこすり落とした後はポーカーやつまようじやフォークで内側へ少しだけフレーバーを押し込んであげて完成です。
以下が動画になります。

特徴と意図

フレーバーの微細な変化に密度を合わせただけで、意図はFluffと同じです。

Normalパック

概要

Normalパックの歴史はアルファーヘルに起源があります。

アルファーヘルがシーシャフレーバーとして出たばかりの頃、誰もシーシャフレーバーの正しい使い方や正しい詰め方、熱の通し方を知りませんでした。

それを説明するために『Normal Packing(正常なパッキング)』というフレーズを使い、皆が研究し始めたことが始まりです。

詰め方はFluffと同じですが、グラム数が多いので手の中のフレーバーは縁の上に乗っかるくらいに振りかけられます。

その後、ボウルからはみ出たフレーバーを指やつまようじで撫でるようにしてボウルに押していき、リムパックの高さを目指すのがNormalパックです。

この状態で密度とフレーバー数を少し増やしてややオーバー気味になるとNormal Heavyになります。

主なフレーバー
AL-FAKHER、AL-WAHA、AL-FAKHAMAH、AL-AMASI 、AZURE、ADALYA、PURE TABBACO

特徴と意図

Normal Packの意図は、Fluffに比べて部分的にタバコの葉っぱを加熱させる余地を生み出す(フレーバーの上層を中心に全体を加熱する)ことです。

Normalパックに適しているとされるフレーバー群は、Fluffパックに適しているフレーバー群に比べて葉っぱがすこしだけ小さいという特徴があります。

つまり、1枚1枚の葉っぱ同士の繊維質の距離はFluffで盛るとFluff適正のフレーバーよりも大きく離れていき、小さな葉の繊維を大きな熱に晒してしまうことになります。

これを解決するためにFluffよりも高密度で盛ることで、葉っぱ同士を近づかせてタバコ葉の強度を高め、空気の通りを少し悪くさせることで熱を軽減させることを両立させます。

これによりタバコ葉の熱弾性が促進されてより長時間の喫煙を実現させながら、濃い煙を長期的に出せるというのが特徴と意義になります。

利点

・着色料やグリセリンの多さから生まれるキック感をフレーバー密度を上げる事で緩和し、Fluffパックの時の生焼け感が薄まる。
・小さいタバコ葉を使用しているフレーバーの強度を高められる。
・熱管理の回数が減る。

利点②

・単純にフレーバー量が増えたことにより、長時間吸える。

欠点

・Fluffパックに比べてやや局所的な加熱を行う為、熱管理に失敗した際の煙感の弱まりが強くなる。
・フレーバー全体を使うまでにかかる時間が数分長くなる。

Semi-Denseパック

概要

フレーバーを敢えて詰めて盛ることで密度を高くし、通気性を意図的に悪くすることでより局所的な加熱を行う詰め方です。
よりキック感が和らぎ、フレーバーの増加によって、より長時間吸うことができます。

特徴と意図

ダークリーフや一部未洗浄のニコチンレベルの高いフレーバー等を使用する際に用いることで、ニコチンの辛みやキック感を優しくして、多くのお客様がフレーバーの味を楽しむことができるようにすることが目的です。

注意点としては、ボウルの中の空気の通る道を完全に圧迫してしまわないことです。
ふわふわに盛ったフレーバーを、フォークやスプーンの背中や、お箸の先を使って軽く押す程度に留め、ボウルの圧縮率が50%程度になるイメージで圧迫します。

詰め終わったなと思った時に、上層のフレーバーをつまんで引っ張ってみて、下のフレーバーも全部一緒にくっついてきてしまった場合はかなり高密度に圧迫してしまっている可能性があります。その場合は層に空間ができるように再度詰め直してください。

利点

より長時間の喫煙、キック感の減少。

欠点

どうしても初動の生焼け感(ダークリーフ感)による気持ち悪さが出てしまう。※それが好きな人もいる。

Denseパック

概要

Tangiersが公式に推奨している詰め方です。

特徴と意図

空気の隙間を意図的に減らし、パンパンに押し込みます。
パンパンだなという感じの見た目になるので、フレーバーの圧縮率は80%程度になっていると思います。

やり易いやり方で良いのですが、一気にフレーバーを入れて押し付けるのではなくて、自分なりの良い方法があるのでこれを紹介します。

①4〜5回くらいに別けてフレーバーをボウルに詰める。
②この際、下側に細かくフレーバーを散りばめるように盛り、階層的に上に行くほど段々大きなダマになるようにフレーバーを持る。
③フレーバーを階層的に盛り終わった後に、最後の仕上げとして少し押し付ける。

こうすることで全体が押し込まれて完全圧縮されるということがなくなるので下にも空気が通るようなDenseパックが完成します。

利点

Tangiers推奨のシーシャができる。
吸いやすくなるまでが早い。

欠点

初動のダークリーフ感(独特の生焼け感)がほぼ最大値になる。

パッキングの細分化

フレーバーメーカーの増加による扱うフレーバーの増加、近年のメーカーと作り手の距離が近づいたことによる知識共有機会の増加によって、シーシャのパッキングはここ数年でどんどんと細分化されてきました。
特にアメリカ圏、ヨーロッパ圏を中心に、コミュニティや海外Redditを通して以下のように定義されるようになりました。

①Ex-Fluff
②Fluff
③Semi-Fluff
④Normal
⑤Semi-Dense
⑥Dense
⑦Ex-Dense

これらのパッキング方法は更に細かく
①Heavy
②Plus
③Light

の三段階があり、次のパッキングと一歩手前のパッキングを橋渡しする形で定義されています。

例)Semi Fluff から Normalの間
①Heavy-Semi-Fluff
②Semi-Fluff Plus
③Light-Normal
前編で用いたものは日本人向けに自分がアレンジした物で、実際の海外での区分けはより詳細に以下のようになっており、かなり細かく区分けされているのがわかると思います。

こっちが本物の種別です。

これらはタバコ葉のサイズ、
フレーバー製造過程でのニコチンの洗浄、未洗浄
使用されているグリセリンの揮発性等を考慮して選定されているものです。

以上でパッキングの解説は終わります。

参考文献

HOOKAH BOWL PACKING DENSITIES EXPLAINED

A technical analysis on pack density

The Ultimate Tobacco Packing Guide

3 BENEFITS OF GLYCERIN IN HOOKAH TOBACCO YOU MIGHT NOT KNOW

Glycerin as Hookah Tobacco Wetting Agent

The Difference Between Dark Leaf & Blonde Leaf Tobacco

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