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「大学サッカーはおもしろい」と証明する。(早稲田大学3年・マネージャー/伊藤未羽)

この試合に勝ったところで、
「日本一」にも「1部昇格」にも繋がらない。
それでも全てを懸けて戦う、世界一負けたくない試合。
それが早慶戦。

なんて言うけれど、実際こう思っている選手はどれくらいいるんだろうか。

みんなは早慶戦をどう捉えているんだろうか。

仮にみんなにとっての早慶戦があくまで普段通りの一試合に過ぎないとしたら?

このnoteで今から私が語ろうとしている思いも、みんなへの押し付けになってしまうのではないか。


締め切りの迫るnoteの書き出しを考えながらこんな思考に至ったのがちょうど日付が変わるタイミング。

そういえばちゃんと聞いたことがなかったみんなの思いを知らないままでは何も語ってはいけない気がして、勢いのまま、0時過ぎに先輩、後輩、同期、15人くらいにLINEしました。

「聞きたいことがあるんですけど」
「早慶戦へのこだわりってどれくらいありますか」
「正直な答えが欲しいです」

もうちょっといい聞き方があったかなと思う。
主将からは「質問がよくわからん」って返信が来ました。ですよね。


「試合に出れるなら結構ある。けど、試合出れないとそこそこになる。」

「リーグじゃ味わえない独特な空気、みんなが憧れる舞台、だから絶対盛り上げたい。」

「ガンバ対セレッソの大阪ダービーみたいな感じ。絶対に勝たないといけない相手。」

「気持ち的には関東リーグの1試合と同じ感じ。でも会場の雰囲気とか緊張感は全然違う。あれ、早慶戦っていつでしたっけ。」

「普段は絶対試合出たいとかあんまり思わないけど、早慶戦は出たいと思う。」


突然のLINEだったのにちゃんと答えてくれてありがとう。

みんなそれぞれの思いを持っていながらも、早慶戦は何かしらの形で"特別"なものなのだなと感じました。



そして、早慶戦を”特別”なものにしたのは、紛れもなくこれまでの74回分の歴史と偉大な先輩方です。


今からちょうど1年前。2023年7月7日、味の素フィールド西が丘。

第74回早慶サッカー定期戦。

コロナ禍が明け、ついに全面的な声出し応援が解禁された昨年。

1年目は感じられなかった雰囲気を目の当たりにして、本当の意味で早慶戦を知りました。

今思い出しても、昨年の4年運営陣は早慶共に本当にすごい人たちでした。



今年はその歴史に新たな1ページが刻まれます。

75回目、2013年以来、11年ぶりの国立競技場での開催。

ただでさえ"特別"な大会が、よりメモリアルな一戦となります。


今まで以上に"特別"な"特別"で、私の譲れない思い。


「大学サッカーはおもしろい」と証明すること。


2部のチームが何言ってるんだと言われるかもしれません。

ですがこれは、国立早慶戦で何よりも成し遂げたい目標です。


私は、人生で一度しかない貴重な大学生活を、「大学サッカー」に捧げる彼らのことを心から尊敬しています。

そして、彼らにとって「大学サッカー」に捧げる4年間が人生におけるかけがえのない4年間になって欲しいと思っています。


「大学サッカー」の注目度が上がることで、彼らの4年間がより輝くものになって欲しい。


「大学サッカーはおもしろい。」
毎日近くで見ている立場からすると、自信をもって断言できます。


ですが、サッカーの枠組みの中で見ても、大学スポーツの枠組みの中で見ても、「大学サッカー」の注目度はまだまだ低いのが現状です。

高校サッカーやJリーグ、海外サッカーは見るけど、大学サッカーは見たことがないサッカーファンはたくさんいます。

野球早慶戦は行くけど、サッカー早慶戦には行ったことがない早慶の学生もたくさんいます。


今年の国立早慶戦を通して、その人たちに、またそれ以外のたくさんの人たちにも、魅力を伝えたい。

早慶戦だけでも、早稲田だけでもなく、「大学サッカー」全体が、そこに関わる人たちみんながもっともっと注目されて欲しい。

「早慶戦楽しかったから他にも見てみたいな」と、普段の関東リーグに、Iリーグに、社会リーグに、足を運んでくれる人が増えてほしい。

AGFじゃキャパが小さい、西が丘でちょうどいいくらい。大事な一戦は国立競技場でやるのが当たり前。

いつか、大学サッカー界にそんな未来が訪れてほしい。


2部同士の、試合結果が何かに影響を及ぼすわけでもない、たかが対抗戦の一試合に過ぎないのかもしれない。

でもその試合は、「日本で一番盛り上がる大学サッカーの試合」といわれるほどの歴史を重ねてきた。

そこにはきっと、大学サッカーの、日本サッカーの可能性が溢れている。

そこに”夢”を描く仲間がいる。

これだけで十分な原動力だ。

この先もずっと"特別"であるように、そこにしかない揺るぎない価値を見出して走り続ける人がいる限り、私も私なりの思いを乗せて、全部懸けて、「挑戦」し続けることを誓います。



私なんかとは比べ物にならないくらいすべてを捧げてきた人たちが、報われて欲しい。

まだ早慶戦を知らない1年生を、「これが早慶戦か」とびっくりさせたい。

「早慶戦を大切にしたい」と思う最初のきっかけをくれた彼のプレーで、会場全体を沸かせて欲しい。

「少し運営に関わるようになって、より早慶戦の勝利にこだわりたいと思うようになった」と言ってくれた彼の貢献の価値を、もっと高めたい。

誰よりも「国立早慶戦」にこだわり続けた彼女の目標を、隣で一緒に叶えたい。


そして、国立競技場の夜空に、ア式に関わるすべての人たちと紺碧の空を響かせて、

「早稲田の選手かっこいいでしょ」
「大学サッカーおもしろいでしょ」

って胸を張って言いたい。


こんなのあまりにも贅沢な我儘なのかもしれない。

でもきっと国立早慶戦でなら叶えられる。



8月25日、国立競技場。

夢も、青春も、生き様も、葛藤も、熱狂も、プライドも、全部そこにある。

世界で一番熱い場所。



早慶戦に"特別"な価値を見出す早稲田のみんなへ、

まだまだたくさん、やれることがある。

もっともっと熱くなれる。

正真正銘全員の力で、誰にも文句を言わせないほどの総力戦で、国立早慶戦を成功させたいです。


このnoteを読んでくれた方へ、

大学サッカーに関わっている方なのか、私の友人にあたる方なのか、サッカーファンの方なのか、はたまた偶然立ち止まってくださった方なのか、

ここまで読んでくださってありがとうございます。

ぜひ、8月25日、国立競技場にお越しください。

必ず、楽しませてみせます。大学サッカーの虜にしてみせます。

皆様のご来場を心からお待ちしています。


今年も無事アミノバイタルカップが終わり、早慶共に2部リーグ所属ながら、揃って総理大臣杯出場が決定しました。

早慶揃っての総理大臣杯出場は、2013年以来11年ぶりだそうです。

そう、2013年は早慶戦「最後の国立」の年。

これは何かの縁なのでしょうか。 


2024年、11年ぶりの早慶戦国立開催、早慶揃っての総理大臣杯出場。

これが早慶復活の狼煙となることを願い、これから始まる夏を駆け抜けます。


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