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半生を50曲で振り返る~備忘録或いは遠いあなたへの私信~

たまには音楽の話でもしましょうか。

こんばんは、わからないです。

タイトルの通りですが、自分の半生を50曲の音楽と振り返ります。

僕という人間の成り立ちや人間関係がよくわかる内容になってると思いますので、名刺代わりにお渡しできたら幸いです。バカ長いですがご容赦ください。

トップの画像は後述しますが2008年、福岡のクラブにて顔にごはんですよを塗って歌う僕です。

では50曲。ほぼ時系列です。



~ 幼年期 ~

【1曲目】銀河鉄道の夜(映画『銀河鉄道の夜』エンディング曲) / 細野晴臣

物心がつくかつかないかくらいの頃に、情操教育なのか何なのかわかりませんが、頻繁にこの映画のビデオを見させられてました。多分夢中で見てたので「これを見させてたらこいつ黙るな」という理由からだったのかと思います。劇中音楽はすべて細野晴臣が担当しており、映画全体に流れる妖しげな雰囲気をいっそう妖しく彩っています。大人になった今も大好きな映画であり、特にエンディングで流れるこの曲は音楽が持ちうる力というものを最初に実感した原体験のような1曲です。



【2曲目】セントジュエルを探せ! / ワッPズ

ビックリマンから新ビックリマンの頃の、SDガンダムカードダス他雑多な亜種が乱立した一大カードブームの直撃世代である僕は、多分に漏れずこの曲が大好きです。ちょうど年長さん~小学1年だった僕は「生とは?死とは?自分が自分であるとは?」ってグルグルグルグルしきりに考えてた時期で、この曲の歌詞「どうしてこの世はあるんだろう?どうして俺たちここにいる?」の部分を聴くたびに、テレビの前で黒目を渦巻かせていました。後に福岡のクラブのロックイベントでDJをやるようになった時にこの曲をよくかけるようになります。盛り上がるんですよね。



【3曲目】i have a dream #2 / チェッカーズ

母がチェッカーズ(というよりはフミヤ)が好きで、家や車で年がら年じゅうチェッカーズを聴いてました。母は今はバンプのファンで、チェッカーズから一貫してるのは『人としての清さ』を音楽や映画やテレビ他エンタメ全般に求める人で、僕はその教育で育ったので(一部反動がありねじ曲がりこそしましたが基本的には)潔癖に近い倫理観を持った人間になりました。音楽を聴く際にエモさを重視するのも、チェッカーズの持つ演歌ばりのエモさの影響が大きいのかなと思います。中でもこの曲は激エモです。



【4曲目】エロティカ・セブン / サザンオールスターズ

小学生の頃に聴いて「うひゃー!なんだこれかっこいいいいい!」となり、日本音楽シーンに目を向けるきっかけになった曲です。歌詞の意味なんかわかるはずもありませんが(めちゃエロいし)、なんだかすごく過剰な歌詞、過剰なメロディー、そして過剰な歌い方の応酬に、おませさんだった僕はメロメロになっちゃいましたし、より一層おませさんと化していくのでした。今考えてもメインストリームにありながらオルタナを提示し続けたサザンは凄まじい存在だったんだなと思います。



【5曲目】家族の食卓 / 嘉門達夫

ギャグ漫画等のおもしろ系エンタメを嗜むようになった小学校高学年の頃の僕が心酔したのが嘉門達夫でした。とにかく「奇異なことをやってる人・事」が好きだったので、嘉門達夫の持つ大喜利的な裏切りのある笑いや、『マンスリーCDリリース計画(12ヶ月連続でCDリリースするというイカれた企画)』に惹かれ、CDも借り漁り、鈴木彩子とやってたラジオも欠かさず聴いてました。傑作アルバム『怒涛の達人』に収録された13分を超える大作であるこの曲は、ベタと裏切りが混在するまさに嘉門達夫の魅力が凝縮された1曲であり、今も僕に元気を与えてくれます。



~ 中高生 ~

【6曲目】G.W.D / thee michelle gun elephant

中3の夏の夜。たまたま見ていた土曜夜のランキング番組『タワーカウントダウン』。タワレコのセールスが基準になってたこの番組はオリコンチャートを基準とする他の番組とは違う独特の雰囲気を放ってたのですが、その夜初登場で2位にランクインしたミッシェルのこの曲に頭をぶん殴られたかのような衝撃を受けました。黒スーツの男たちが謎の空間で炎に囲まれながら演奏してるPVの画の強さも相まって完全にやられてしまい、以降僕はタワーカウントダウンとロッキンオンを情報源に音楽を摂取していく、所謂ロキノン厨と化していくのでした。



【7曲目】元気ですか / フラワーカンパニーズ

同じくタワーカウントダウンのエンディング曲となっていたフラカンのこの曲をフルで聴きたくて、いつも利用していた近所のTSUTAYAを訪ねたのですが取り扱いがなく、初めてCDを購入したのがこのシングル盤となりました。これ以降、小遣いやバイト代のほとんどをCDに注ぎ込む生活を大学卒業する頃まで続けることになります。無料同然で音楽を聴けるようになった今からすると爆裂もったいないのですが後悔はないです。お金なんてそんなもん。その年の文化祭で校内ラジオを担当し、この曲をかけたけど何の反響も無かったぞ!許さねえ!



【8曲目】RUNNERS HIGH / the pillows

先述のミッシェルやこのピロウズは当時のロキノン厨の必修科目みたいな存在であり、僕もまんまと聴きハマることになります。このタイトル曲を擁するアルバムと、その前後のアルバムが特に好きです。曲中で繰り返されるフレーズ「Dizzy my future」「Silly my way」が大好きすぎて、中学の卒業文集の自分の似顔絵スペースに顔を描かずにこのフレーズを書く始末(激イタ!!!)。それが暗示してか何なのか、めまいのするような未来と愚かな道を進み続けてます。



【9曲目】らんちう / たま

高校に進み、「なんか聴いてない音楽に手を出したいな」と思ってた頃、「そういえば、さよなら人類のたまをちゃんと聴いたことないな」と思い、レンタルで『ひるね』を借りて、「あああああ好きいいいい!!!」となり、ブックオフで『さんだる』を購入し、この曲に出会います。後にこの曲から名前を頂き、お笑いを始めることになり、お笑いをやめたあともそのままの名前でしばらく大喜利を続けて多くの人にこの名前で認識されることとなりますが、それはまた後の話。とにかくこの過剰さと、ただの変に収まらない超絶テクと構成力は唯一無二で、僕がエンタメに求めるほぼすべてを包括してる、幕の引き方も含めて大大大好きなバンドです。



【10曲目】マニアの受難 / ムーンライダーズ

叔父がムーンライダーズのファンで、CDを貸してもらい聴き始めました。ムーンライダーズは本当の意味での反逆の音楽家集団であり、先のたまでも挙げた僕の好む要素を満たしてる、「気の合う連中」みたいな存在、心の友達です。聴くきっかけとなった「ダイナマイトとクールガイ」や、大喜利イベントのオープニング曲に使った「BEATITUDE」等好きな曲はいっぱいですが、人生に与えた影響で言うとダントツこの曲。「全てのことはもう一度行われてる」「すべての土地はもう人が辿り着いてる」っていう諦念と、「僕は運べない交換できない売り物にも何にもならないものが好き」「ポケットにも入れられない戦争になっても持って逃げれないものが好き」という滲み出るような独白が印象的で、人生のあらゆる場面で頭の中で鳴ります。この曲を収録したアルバム『DON'T TRUST OVER THIRTY』は爆裂名盤なので、マジで全人類聴いてください。



【11曲目】Lunchbox / Marilyn Manson

中高生の頃の僕は、音楽を聴くときに「歌詞こそ最も大事な要素!」「だから英語でよくわからない洋楽は二の次!」と思ってたので、あまり洋楽に踏み入りませんでしたが、当時一番の友達からマンソンを薦められ、ヴィジュアル系に拒否反応(モテようとしてる感じがなんかイヤだった)があった僕は、化粧ベタベタのマンソンを最初は嫌々聴き始めましたが、聴く内に人物の背景等も見えてきて好きになり、洋楽とヴィジュアル系の聴かず嫌いを克服するきっかけとなりました。通ってた高校には『朝の読書』なる、始業前に読書の時間を設けて読書の習慣をつけるみたいな時間があったのですが、僕はその時間にマンソンの自伝と綾辻行人の『殺人鬼』を読んでました。きしょい奴だなー。この曲はマンソンの人としての暗さが存分に出ており、とても好きな1曲です。



【12曲目】LONG SEASON(LIVE) / フィッシュマンズ

特に人生のこの場面が強烈に焼き付いてる、というわけではないんですが、全音楽の中で1番好きな曲なので外しようがないです。スタジオ録音盤もありますが、ラストライブを収録した『男達の別れ』のテイクが至高中の至高。僕は東京に住んだこともありませんし、当時の僕は東京にすら行ったことなかったのですが、この曲の描き出す心象風景が映画のようにありありと伝わってくる、本当に魔法のような1曲。これが人生の最後に残した曲だということもなんだか意味深く感じられてしまって、どうにも特別。クッソ長いのに展開ひとつひとつにいちいちシビれて、終わる頃には「あー終わっちゃうのかー…」と寂しい気持ちになります。



【13曲目】横隔膜節 / あぶらだこ

イースタンユースのライブシリーズ『極東最前線』のコンピ盤(これまた名盤!)の中でひときわ異彩を放っていた1曲。あぶらだことはここで知り合い、その異質さの虜になり、過去盤も一気に聴き漁り、携帯電話を持つようになった時にはメールアドレスにあぶらだこの曲名を使い(横隔膜節ではない)、20年以上経った今もまだ同じメールアドレスを使ってます。あぶらだこにも好きな曲がいっぱいあるのですが、きっかけとなった曲であり、わかりやすくも激烈に変なこの曲を。あぶらだこ、たま、ムーンライダーズは長きに渡って僕の中の好きなバンドトップ3に居座り続けてます。



【14曲目】虫 / 赤犬

スターリンのトリビュートで出会った赤犬によるクソバカカバー。僕はカバー曲というものが大好きで、GO!GO!7188の「心の旅」や、アナム&マキの「ファイト!」、ゆるめるモ!の「9月の海はクラゲの海」、HALCALIの「ゴンドラの唄」等々(こうして見ると女性のカバーが好きなんだな)、原曲を尊重しつつ、渾身のアレンジを加えてくる“そのバンドの姿勢”みたいなものが好きなんですが、赤犬のこれはブッ壊し過ぎてて愉快痛快です。高校生の僕に「ここまでやってもいいんだ」という、ひとつの許しを提示してくれたような、背中を押してくれたような1曲です。



【15曲目】UNDERGROUND SEARCHLIE / UNDERGROUND SEARCHLIE

あぶらだこのCDを貸したりしてくれた、ご近所さんの年上のパンクスの兄ちゃんがいるのですが、その兄ちゃんから貸してもらってその後の人生に大きな影響を与えることになるのが大槻ケンヂ、オーケンでした。僕ら世代か、もしくはちょっと上の世代の暗~い人たちの多くはオーケンを通り、影響を受けてきました。僕がその仲間入りを果たしたのは特撮の『爆誕』で、追っかけで貸してもらったUNDERGROUND SEARCHLIEの『スケキヨ』『アオヌマシズマ』でした。筋少が入口じゃない珍しいパターン!今なお「クソ…こいつブッ殺してやる…」って思った時には、この曲の冒頭のオーケンの声が頭の中に鳴ります。



【16曲目】セックス / 岡村靖幸

岡村靖幸を初めて聴いてみたのは『完熟』で、その時はイマイチ好きになれなかったんですが、この曲をCDショップの試聴コーナーで聴いた時に、暴力的な低音と狂気じみた雰囲気に完全にやられてしまいました。そのCDショップの試聴コーナーが低音が利きまくったヘッドホンを使ってたのでより一層ガツンときて、家で聴くよりも良かったので、しばらくは学校帰りにそこに寄ってこの曲を聴いて帰るというのを繰り返してました。この曲や「家庭教師」とかの、ヤバい岡村靖幸が好きです。そりゃこんな曲書いて歌う人間はヤッてるだろ。



~ 大学生 ~

【17曲目】午前3時の街角で / SION

超三流大学に合格し、佐賀から福岡へ出てきた僕は深夜の吉野家で勤めるようになりました。初めてのアルバイトで、飲食屈指のしんどさを誇る吉野家での日々は全くもってうまいこと行かず、自尊心を粉々にさせられながら下宿と吉野家をチャリで行き来してました。SIONのこの曲は当時の改装前の博多駅前の博多口側にあったクソまずい吉野家(吉野家にうまいもまずいもあるのかとお思いでしょうが肉の管理次第で雲泥の差)を思い出させます。雪の夜。凍えながら入り、CDウォークマンから流れるこの曲を聴きながら、安いだけのまずい牛丼をかきこんでました。吉野家に勤めたのはたった1年ですが、最初が吉野家で本当に良かったなと思います。相対的にあとの仕事が断然楽に感じられたので。



【18曲目】団地妻キラー / QP-CRAZY

大学では映画研究部に所属し、ノイズ映像や変な映画もどきみたいなのを撮って過ごしました。そこでの編集経験が、後にYouTubeでの動画編集やライブで流す映像を作るのに役立ってくることになります。アドビプレミア、お前は俺の相棒だぜ。で、その映画研究部で一個上のアングラ・サブカルの権化のような先輩と仲良くなり、色んな音楽や映画(ヤンシュヴァンクマイエルとか)、漫画(会田誠とか)を教えて頂くことになるのでした。QP-CRAZYや猛毒はその面白さも手伝ってめちゃくちゃ好きになりました。鳥肌実とか、当時サブカルシーンでバズっていたものの中にはモラルに反するものも多く、インターネットが春を迎えてからの数年間は改めてイカれてて凄い時期だったんだなと思います。



【19曲目】恋の京阪線 / 京阪GIRL

こちらもその先輩から教えてもらったもの。京阪GIRLは僕が初めてアイドルというものを意識したきっかけです。京阪GIRLというコンセプチュアルな架空の2人組を演じながらバンドサウンドを展開していく2人の女性は、まさに後の2.5次元的な存在であり、アイドルの最大の良さである「刹那的な美しさとそこに宿る切なさ」を十二分に体現していました。そんでもって曲も軒並み素晴らしく、この「恋の京阪線」をはじめ、「夏の家出娘」「少女ロケッツ」「SANDA BIRD!」等、その短いキャリアの中で多くの名曲を残しています。ずっと大好きだー!



【20曲目】永遠なるもの / 中村一義

1年の時に下宿が一緒だった友達がロキノン厨で、彼はライブだけじゃなくロック系のクラブイベントに通ってて、そこで知り合ったコミュニティがついにはクラブイベントを立ち上げることになり、僕もそこへ客として通うようになりました。イベントの名前はオレンジデラックスの曲名からとった『LOVE45』。その第3回だったかな?『ウィーザーVS中村一義』がメインの企画で、一晩中踊り明かした午前5時過ぎのシメでかかったこの曲に涙を絞り取られながら歌いました。福岡の、あの一見怪しくて実際怪しい親不孝通りの一角で行われていたド健全なクラブイベントは間違いなく僕の青春でした。



【21曲目】Can't say / ALL

大学で、下宿やサークル以外で友達が出来たのはたった1人。英会話のクラスで前の席に座ってた男がBALZACの服を着てて、なんとなく話しかけたのが最初で、そこから音楽の話をするようになりました。よくよく話を聞くと彼はBALZACは特に聴いておらずデザインで着てて、洋楽中心で聴いてた筋金入りのパンクスだったので、この辺が好きかな?と思ってあぶらだこやピーズを詰め合わせたMDを渡して仲良くなりました。そのお返しみたいな感じで彼が貸してくれたのがALLのシングル『DOT』でした。その3曲目に入ってたこれが好きで、思い出深い1曲です。



【22曲目】のうみそ / うどんず

先述のパンクスの友達と組んだ2人組バンドがこのうどんずでした。元々は学祭に出るために組んで、友部正人の「にんじん」や、戸川純の「パンク蛹化の女」等のカバー曲5曲をテープにして学祭事務局に送ったんですが、歯牙にもかけられず、でもバンドは楽しかったのでオリジナル曲を作り始め、真っ先にできたのがこの曲でした。YouTubeにもありますので良かったら聴いてみてください。歌詞はマジもって何を言ってるのかわかりませんが、初期衝動と、変なことしたいという意欲に溢れた、その時の自分たちにしかできなかったものが詰まってます。うどんずとしてのレコーディングはここ数年やってませんが、大学までの全友達の中で唯一今も連絡を取り合って、たまにメシ→泥酔カラオケをキメるかけがえのない存在です。お前は一生の友達だ!



【23曲目】ハイブリッドレインボウ / the pillows

映画研究部での映画製作や、バンド活動等に精を出す一方で、福岡クラブ界隈にも精力的に遊びに行っていた僕は(学業わい!)、2年生の時、主宰のS-Mileさんに誘っていただき、クラブイベントでDJデビューをすることになりました。場所は親不孝通りの出口付近にある長浜交番のド真ん前にある怪しいビルの上階にあった今はなきクラブ『アシュラ』。イベントの名前はピロウズの曲名からとった『ハイブリッドレインボウ』。変なことしたがりの僕はオーディエンスの前で自分の変さを存分にアピールすることでフロアを飽きさせないように小道具やフリップを目いっぱい持ち込み、曲をかけながらビジュアルでも攻めるスタイルで活動していました。フロアの反応は残酷なくらいリアルなので、伝えたいことを伝えることの難しさと、試行錯誤の末に伝わった時の気持ち良さをいっぱい味わった場所でした。



【24曲目】チョコレイトは女意地 / ソープランド揉美山

ハイブリッドレインボウで、僕がかけたほとんど誰も知らないはずのこの曲(あくまで土台は明治チョコレートのあの曲なのでみんな知ってるのには違いないんですが)が大盛り上がりしたのはめちゃくちゃ嬉しかったです。「Smells like teen spirit」とか「終わらない歌」みたいな大ネタをかけて盛り上がる場面も嫌いじゃないんですが、僕はあくまでメインに対する別解、オルタナでありたかったので、「これでどうだ!?」と問うていく道を選びたかったんですね。これは大喜利やってる今も変わらずにそのままで、別解でありたいし、「お前ってこういう奴だろ」って言われたならその逆を行きたい。わからないやつでありたいという行動原理は一貫している気がします。それにしても、ソープランド揉美山っていうバンド名、最高ですよね。



【25曲目】ファンタスティックコーヒーソング / the camps

ハイブリッドレインボウ主宰のS-Mileさんからこの曲を薦めてもらって聴いて大好きになった福岡のバンド、the camps。ソウルフルでグルーヴィーな歌モノのバンドなんですが、あんまり類似する存在が見当たらないんですよね。ボーカルの安増さんはいちファンの非常に僕に良くしてくださり、後に僕が主催することになる大喜利ライブ『福岡地獄大喜利』の第0回大会に出場してくださり、その日のベスト回答を出してくださりました。キャンプズの曲はサブスク等にもありますので、よかったら聴いてみてください。好き嫌いはあるかもしれませんが、合う人にはめちゃくちゃ合う、まさにクセの強めなコーヒーみたいなバンドです。



【26曲目】本多工務店のテーマ / 渋さ知らズオーケストラ

1990年代後半から2000年代前半にかけて最盛期を迎えた日本のロックフェス。僕は2000年初年度のロックインジャパンフェスと、2002年と2004年のライジングサンロックフェスに遊びに行きました。素晴らしい瞬間はいっぱいあったのですが、夜明け前の一番闇が濃い時間に現れた渋さ知らズが見せてくれた光景と狂熱が最も印象に残っています。本多工務店のテーマはその時々で色んなバージョンがありますが、この頃の「龍の形の天使が降りてくる!」「あなたの魂に!」みたいな詩をバッキバキの目をした女が朗読するバージョンが大好きで、真っ黒な空の石狩平野で大合唱しながら宇宙と一体になったようにめちゃめちゃキマりつつ踊りました。ナーダムも最高でした。



【27曲目】人間 / 銀杏BOYZ

まもなく大学4年になろうとしていた2005年1月。モラトリアムの終わりを直前に控え、さしたる夢も野望もなく、はてさてこの先どうしようか全く考えていなかった僕に、銀杏BOYZの2枚のアルバムは深く突き刺さりました。苦しみぬいて作り上げたのが伝わり過ぎるくらい伝わる作品で、そのクライマックスとも言うべき10分超に渡って歌い叫び散らすこの大曲が、ぐちゃぐちゃの不安でいっぱいだった心に寄り添ってくれるようで優しかったです。峯田の歌の根っこの部分にあるのは意外と空虚さだと思ってるので、自堕落に私欲を満たすだけで何にも得られていなかった自分に重ね合わせて強く共感できたんでしょうねー。



【28曲目】fairy tale confusion / maru

ロック系のクラブイベントでのDJ経験を重ねるうちに、僕は他のジャンルのクラブイベントの方々とも知り合いになり、テクノ系のイベント、その中でも特にフリークス向けのチップチューンを軸にした『VERSUS』というイベントに出演していくようになります。『ハイブリッドレインボウ』の客層ではできなかった、よりアングラで悪趣味なパフォーマンスが許された場所で、一升瓶に小便して飲んだり、長靴にゲロ吐いたりと、やりたい放題やらせて頂きました。その『VERSUS』で出会った福岡アングラテクノ界の数ある名曲の中でも屈指の美メロを誇っていたのがmaruさんのこの曲。大好き。8bit音楽の持つ郷愁を誘う旋律とアッパーさがこれでもかと詰め込まれた名曲です。



【29曲目】I AM A FUCKOKA RAVER / USK

同じく『VERSUS』で出会ったチップチューンの雄・USKさんの曲。maruさんとコンビで出演していた時のユニット・portalenzは、間違いなく当時の福岡クラブシーンで一番のライブをやる人たちでした。ゲームボーイという身近なアイテムでここまで野蛮で刺激的な音楽が作れるのかと驚きながら、「殺せー!」と怒号が飛び交う民度の低いフロアで首が取れそうなくらい頭を振りながら踊ってました。USKさんは後に福岡を離れ、京都へとその拠点を移すことになるのですが、福岡最後の路上ライブで演奏したこの曲は、福岡クラブシーンへの愛と敬意と誇りに満ちて、超絶エモーショナルでした。その後、USKさんはDOTAMAとコラボなんかしてます。そちらもよろしければ是非。



【30曲目】夕日 / DODDODO

『VERSUS』が定期的に開催していた大会形式の一大イベント『DJ天下一武道会』。トップの画像みたいに顔面にごはんですよを塗りたくって歌ったりと、飛び道具満載で戦ってた僕は1度優勝したりもしたことがあるのですが(優勝したと言っても何となくの盛り上がり具合で主宰の天さんが一存で優勝者を決めてた)、そこにゲストとして関西から参加してたのがDODDODOさんでした。名曲「夕日」は色んなアレンジがありますが、2010年5月にYouTubeに上がってるものが僕は大好きで、後半の激エモなラップパートには何度も何度も元気をもらってます。今も疲れ果てたときにはこの動画を見てます。かけがえのない1曲。



~ 芸人⇒社会人 ~

【31曲目】ばかやろう / SPARTA LOCALS

大学を4年半で卒業し(必修取り損ねる凡ミスで2単位足りず)、特に就活もしてなかったので、さてどうしたものかと思っていた頃、福岡の深夜番組で渡辺プロが優勝賞金100万円と所属権をかけたお笑い芸人オーディションを開催するとのCMを目にし、「よし!これが俺の就活だ!」と応募しました。その際に芸名としてつけた名前が、たまの曲名から戴いたらんちゅう。1回戦が行われる会場であるテレビ局へ向かう道中にスパルタローカルズのこの曲(およびこの曲が入ったアルバム)を、バキバキの目をしながら聴いてたのを鮮明に覚えてます。これまでに自分が福岡アングラクラブシーンで培ってきたものをぶつけるために、そこで出会ったみんなの思いも背負うような感覚で緊張感たっぷりでネタをやりました。結果として約100組が参加した1回戦を勝ち抜き、15組(それくらいだったはず)に残りましたが、その先で敗退し、テレビ放送された最終決戦6組には残れませんでしたが、福岡芸人界隈との人脈が出来ました。



【32曲目】this bed is on fire / Ginger

先述のオーディションで優勝を逃したブルーリバーさん(当時まだアマチュア)から目をつけて頂き、「一緒にライブやらないか」と誘って頂き、ブルーリバー、町田隼人、オインゴボインゴ、僕の4組でライブをやることになりました。ネタの他に、拙いながらもいっちょまえにユニットコントなんかやったりして、手作り感満点ですがそこそこ大きな劇場で貴重な経験をさせて頂きました。そのエンディング曲は、僕が選んだこの曲でした。DJやってたのを知られてたので、一任して頂き、独断で決めました。文化祭のような、わいわいとした雰囲気に合った選曲が出来たんじゃないかと思ってます。この時のメンバーは僕以外ワタナベに所属することになり、僕は福岡アマチュアお笑いライブ界隈で細々と蠢く存在となるのでした。



【33曲目】がんばるな / オナニーマシーン

大学卒業から1年。芸人としてプロになるつもりもなく、フリーターやりながらお笑いやってフラフラしてました。で、いい加減そろそろちゃんと働きゃいけないかと、福岡のホテルに中途で契約社員として入社し、結果その会社で正社員になり12年近く働くことになります。その研修期間、初めてちゃんとした社員になり社会の歯車として働くことになったストレスを抱えつつ、出社の道中に聴いていたのがオナニーマシーンのアルバム『義雄』でした。とにかく暗いアルバムだったのですが、陰鬱な音楽は陰鬱な気持ちを包み込むようにやさしく、僕の分岐点を応援してくれているようでした。



【34曲目】だいじなもの / アイドリング!!!

福岡に就職し一人暮らしを始めた僕(大学2年からは佐賀の実家から福岡に通っていた)の心の隙間を埋めてくれていたのは、入居した部屋に付いていたCS放送。00年代中頃のフジテレビのCSは最盛期を迎えており、『お台場お笑い道』、『ゲームセンターCX(24時間生放送でレミングスとかやってた頃)』、そして『アイドリング!!!』が放送されていたのでした。「バカリズムが司会やってんじゃん!」で見始めましたが、バラエティとしての面白さはもちろん、アイドルの最大の魅力(僕は勝手にそう思ってる)であるカタルシスを絶妙に引き出していた最高の番組でした。この番組きっかけでバカリズム升野さんのことを一層好きになったことで、後に僕の人生は大喜利ルートへと分岐して行きます。



【35曲目】夢見る少女じゃいられない / 相川七瀬

働きながら細々とやっていたDJやお笑いを「そろそろかー」と思って辞めようとしていた頃、DJ仲間のナリキヨさんからお誘い頂き『Jubilee』というクラブイベントに参加させて頂くことになります。思い切ってDJやついいちろうをゲストに迎えた一大イベントのタイムテーブル上で、僕の出番はやついさんの前。辞めようとしていた僕へのありがたい計らいというか、はなむけみたいに勝手にとらえ、DJとして培ったフロアへ訴えかけるノウハウと、お笑い活動で得た見せ方のノウハウの集大成とするべく張り切りました。その時のセットリストでピークを形成したのがこの曲。本当にバカみたいに盛り上がって泣きそうになりました。その時フロアにいたサンシャインの坂田くんが絶賛してくれたのが、いまだに反芻するくらい嬉しかったです。



【36曲目】勇気100% / 光GENJI

お笑い引退の節目として開催した単独ライブ『ザネリ』のラストコントのオチとして歌った1曲。らんちゅうとしての単独はこれを含め4回開催し、1回目のゲストはサンシャイン坂田とマンモス坂口(すぐ辞めたけど彼は天才中の天才でした)、2回目はサンシャイン信清とぶんぶんさん、3回目はナイルみやさん、で、最後の単独は初の完全ピンネタオンリーで敢行しました。文脈もへったくれもなく忍たま歌って、なんとなくハッピーエンド風にうやむやにして終わらせたのは詐欺師じみてて非常に僕らしい幕引きで良かったんじゃないかと思ってます。この頃は永野さんにめちゃくちゃ影響されてたので、変なシチュエーションとゴリゴリのパッションで客席に叩きつけるようなネタが多めでした。



【37曲目】ロックンロールは鳴りやまないっ / 神聖かまってちゃん

DJもお笑いも辞めて、働いたら家帰ってニコ動見て、休みの日はニコ動見ての繰り返しの日々が続いていた僕にとっても、この00年代後半のニコ動全盛期を象徴するような神聖かまってちゃんの曲は印象深いです。ゴミだらけのきったないワンルームの、これまたきったないちゃぶ台の上にある、泣いてるような排気音のノートに貼りついて、死んだ目でゲーム実況を眺めてた春夏秋冬を思い出す1曲です。



【38曲目】じじょうのうた / 水中、それは苦しい

水中は元々は石川浩司さん(ex.たま)が推してたのを見て知ってて、大学生の頃にブックオフで『ひと目見て憎め』を発見して買って聴いて衝撃を受けて以来、ずっと聴き続けているバンドです。「ホタルイカの光」や「芸人の墓」等、変なだけじゃなくしっかり響く名曲もいっぱいありますので皆さん一度でいいのでちゃんと聴いてみてください。で、深夜番組『シンボルず』内で数回に分けて放映された大曲であるこの曲(僕はニコ動にてコメ付で試聴)が、水中の持つあらゆる要素の魅力を完璧に表し切っていると、僕はそう思います。落ち込んだり、「あーこんなんでこの先大丈夫か」ってなった時に、ひとつの赦しのように響いてくれる人生讃歌。



~ 大喜利狂 ~

【39曲目】しやわせ / 倉本美津留

元々ダイナマイト関西が好きで、DJ仲間との飲み会でメモ帳使って大喜利遊びしたり、サンシャイン信清主催の大喜利大会で優勝したりと、大喜利やること自体は好きだったし得意だった僕は2010年くらいから狂ったように大喜利に浸かり始めて行くことになり、そのきっかけとなったのがUstreamと東京MXで放送されていた超実験的かつ先鋭的な大喜利番組『ホワイトボードTV』でした。バカリズム、タナカカツキ、倉本美津留という、かなりヤバいメンツがシンプルすぎるセットで大喜利(毎週5問)をやってて、視聴者もTwitterから答えを送れて、毎週各MCが最優秀賞を選んで翌週の冒頭で発表するというものでした。僕はこの3人にウケたい一心で投稿を重ね、結果として投稿を始めてから番組終了までの約1年の間で、全視聴者中最多の最優秀賞を獲得できました。ロフトプラスワンで行われた公開収録イベントにも参加し、「遠くから来た人いる?」(挙手)「どこから?」(福岡です)「お前らんちゅうか」とステージに上げて頂き、御三方と肩を並べて座らせて頂けたのは一生しがむ思い出です。その時に倉本さんが歌ったこの歌を「あー夢みたいだ」と思いながら大合唱しました。めちゃくちゃいい歌。賢くなりたいし、賢くなりたくないよな。



【40曲目】C21H23NO5 / m1dy

福岡のアマチュア芸人界隈に協力してもらって大喜利のコンテンツをYouTubeで発信し始め、ついに大喜利のライブイベントを打つぞとなったのが2011年春。その時の告知動画のBGMとして使用させて頂いたのが、VERSUSのDJ天下一武道会で知り合ったm1dyさんのこの曲(その時は僕のアクトに対して「久々にこんなスカムな奴見た」と最大の賛辞を下さりました)。m1dyさんはビジュアルが完全にカタギじゃないので、内心ビクビクしながら曲の使用許可を打診したところ快くOKを頂き、最高にかっこいい告知動画が出来ました(今は非公開にしてます)。その時のライブが『福岡地獄大喜利』。まだその時は現在の地獄大喜利ルールではありませんでしたが、大喜利へのプリミティブな衝動に満ちた、熱のこもったライブだったと思います。ここを起点として、僕は福岡の地下大喜利シーンの舵を誠に勝手ながら(誰も頼んでないのに)担って行くことになるのでした。



【41曲目】まんこにたっち / とんちピクルス

福岡の音楽家・とんちピクルスさん。とんちさんにはイベントに出させて頂いたりお世話になりました。こと音楽に関しては頭のおかしい魑魅魍魎が跋扈する福岡において、いや福岡に限らず、これだけの振れ幅を持った表現者を僕は知りません。「夢の中で泣いた」のようなウクレレ弾き語りでシンプルに歌を聴かせる名曲から、幻想的なトラックにポエトリーリーディング調のラップが世界を紡ぎだす「鍾乳洞の長い旅」、ノイズアーティスト『屠殺器』としての顔も持ち、果ては楽器を持たずにこの曲をアカペラで歌い出した時に僕は「おいおいこの人何でもありか」と笑いながら戦慄しました。たとえローカルでたとえニッチでも、美学を持って表現を続けることがいかにかっこいいか教えてくれた存在です。



【42曲目】純豆腐のうた / 純豆腐の会

mixi大喜利コミュ『お笑い頭脳バトル』に基盤を持つ北九州大喜利団体『おもさそ』が、福岡のアマチュアお笑いライブに乗り込んできた時に僕が共演したことがきっかけで出来たネット大喜利界とのつながり。それから段々と東京や大阪の大喜利シーンの存在を知り、僕は尽きぬ興味を抱いていくのでした。中でも、やってることが超楽しそうで憧れたのが関西の『純豆腐の会』でした。『大喜利会議室』とかもそうなんですが、まだ大喜利会の様子がね、ブログとかに貼って音声だけでお届けされてる時代ですよ!この歌を作る過程も含めて、ニコ動に上がってるPV調の映像が本当に楽しそうで羨ましかったです。第4回の鴨川杯で純豆腐の会(ひらたいさん、いっぺぃさん、あのころさん)と鉛のような銀さんと僕とで戦えた時、嬉しかったし楽しかったなー。



【43曲目】ぐあいがいい日の歌 / ブルーエゴナク

「大喜利で何か面白いことしたいなー」と思ってた2010年に、たまたま観に行った舞台が面白くて、「大喜利やりませんか」と誘って快くOKしてくれたのが、後に劇団『ブルーエゴナク』を率いることになる北九州の天才・穴迫信一くんでした。初期の福岡地獄大喜利がライブとしての深みを獲得することが出来たのは穴迫くんの活躍による部分が大きく、本当にお世話になりっぱなしでした。ブルーエゴナクの舞台は時にナンセンスで、時に刺すように感傷的で、観劇後の余韻が半端じゃなく、僕はいつも放心状態で帰途についていました。先述のとんちさんと同じく、穴迫くんはローカルでの活動に希望を持たせてくれた存在です。また、穴迫くんは劇中歌も手掛けており、その中でもこの歌は本当に大好きで、今も晴れた日には散歩しながら聴きたくなる名曲です。このCDを持ってる人間は世界に何人いるんだこの野郎!!



【44曲目】Time Limit / →Pia-no-jaC←

大喜利ライブを主催する一方で、僕は徐々に全国の大喜利大会や大喜利会に遠征するようになります。それらの中でも、やはり日本最大のアマチュア参加型大喜利大会である『大喜利天下一武道会』は特別な存在で、この曲が鳴り響く会場のヒリつくような緊張感はちょっと忘れられません。大喜利天下一武道会には僕は第14回から参加しており、予選は3回連続で突破できてはいるのですが、本選で舞い上がってしまい勝てずというのが3回続いており、そろそろなんとかしたいなーと思ってます。天下一の、あの橋本さんの声とともに点数がめくれる結果発表で勝ったとわかった時に得られる快感はちょっと他では味わえないので次も勝ちたいよー!



~ 限界⇒再就職 ~

【45曲目】露草 / 矢野絢子

楽しく大喜利をやってる一方で、様々な要因により螺旋式に仕事や私生活に積もり積もっていくタスクを体と心が処理しきれなくなり、2015年からの約3年間は診断こそされてないものの、明確に暗黒の中にいました。「自分は生きていても他人に迷惑かけるだけだし、それだと楽しくないし、もう意味ないなー」と思って何度か自殺未遂もしました。今考えると死ぬほどのことではなくて、「いや、さっさと仕事辞めて実家に帰れ」という感じなんですが、実際そこに立ってみるとわからなくなるものですね。矢野絢子さんは高知県出身のシンガーソングライターで、デビュー曲「てろてろ」が脚光を浴びましたが、自身に相応しい活動の場として再び高知を選択、ローカルで活動されています。自分の翼を得てのびのび歌う彼女の姿は一種のセラピーのように僕を勇気づけてくれます。退くことは敗退とイコールじゃない。



【46曲目】恋するなべぶぎょう(NHK Eテレ『オトッペ』)

「あー自分は限界なんだな」とハッキリ感じて、仕事を辞めることを決めたのは、東京出張で現地社員との夜の懇親会に出る前、ホテルのテレビをつけて流れてたEテレのこの曲を、改めて帰りの羽田空港の搭乗待ち時間に、外に降る雪をぼんやり見ながら聴いていた時でした。今の自分に欠けていること、今の自分が欲してることが『鍋の安心感』かよと思って「はぁーそうか」と。明るい曲調なんですが、ふいにグッと切なくさせるような展開もあり、定期的に聴きたくなるエバーグリーンな響きを持った名曲です。



【47曲目】death is not the end / Nick Cave & friends

自分の現状を認識し、徐々に迷路の出口へと向かって進んでいた2018年の2月。映画『羊の木』を博多駅のシネコンのレイトショーで観て、そのエンディングテーマだったこの曲を、その冬一番の大雪だった帰り道に聴きながら歩いて帰りました。ニック・ケイヴをはじめとするダウナーな歌声の面々が呪いのような妖しく陰鬱な歌声で「死は終わりじゃない」と繰り返し歌う歌詞が、しんしんと降り積もっていく雪のように沁みていったのを覚えています。暗い歌がやさしく響く時ってありますよね。



【48曲目】花束 / 堀内孝雄

12年勤めた会社を辞めると決意し、仕事にも身が入らなくなった消化期間中にやり始めたことが、TSUTAYA福岡天神店の「あ」から順に各五十音の「聴いたことないし、聴くぞという意思を無理やり持たないとこの先の一生で絶対聴かないようなCD」を借りて聴いていくということでした(例:あ⇒安部なつみ、い⇒稲垣潤一)。疲れの果てに無気力に陥った自分を少しずつ起こしていく為の儀式的なことでもあったのかと思います。思いもよらぬ名曲にいっぱい出会えて、結果としてやって良かったなと思ってます。その中で一番のヒットだったのが堀内孝雄のこの曲。田舎に突如巻き起こった幽霊にまつわる噂についての歌なのですが、とにかく変で、変なのに詞や音色ひとつひとつが解像度の高い情景を描写しきってて圧巻の一言。これがアルバムの2曲目に入ってるのも凄すぎます。めちゃくちゃオススメ。



【49曲目】P.T.A / the vottones

ようやく現在地。地元に帰り再就職し、衝動的にらんちゅうのTwitterを消し、名前をわからないに改めて細々と大喜利をやりながら生きてます。相変わらず夢も野望も無いですが、「この場所で大喜利やって絶対ウケたい!」という気持ちがいつ湧いてきてもいいように、刀だけは錆びないように日々メンテしてます。人との繋がりをあまり大切にせず、プツンプツン切っていく僕は、これまで出会ってきたたくさんの人たちにとって過去の人になっていて、「どうせすっかり丸くなって暮らしてるだろ」と思われてるんじゃないかと思います(僕も逆にその人たちに対してそう思ってますしね)。確かに一時期と比べたら丸くはなりましたが、偉大な年上の " やり続けてる人たち " を追いかけながら、まだ面白さへの憧れにしがみつき続けてます。まだ俺は飛んでるぞ!ざまあみやがれFUCK YOU!



【50曲目】光 / ヨシダ in the sun

この歌については昨年末のnoteでたっぷり書きましたので、そちらをご覧ください。2021年の一端を完璧に切り取ってみせた最高の歌です。








そして生きていく!!!!!!!!!!



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