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夏豚汁、あるいは真の副反応のこと

のっけから不穏な表題ですみません。最初にお詫びしておきますが、もしこちらにワクチンでの副反応情報を求めてお立ち寄りの方がいらっしゃいましたら、どうかブラウザをそっ閉じしてください。詳細は後半に記しますが、こちらにはまっとうな副反応記録は欠片もございません。爪の甘皮程度のお役立ち情報もございませんのでご承知おきください。筆者の身に起こったとほほエピソードに失笑してくださる寛大なお心をお持ちの方のみ、この先を読み進めていただければ幸いです。


先日3回目のワクチンをキめた日のこと。「ワクチン後は豚肉教」の敬虔なる信徒である私は、かねてから食べてみたいと思っていたマンガ飯を作ることにした。



我が人生のバイブルとして掲げている『きのう何食べた?』16巻に登場するメニュー、夏の豚汁だ。シロさんが在籍する弁護士事務所のやり手事務員・山田さんが、夏休みのあれやこれやで疲弊しきった家族と自分のため、冷蔵庫のありものでぱぱーっと作った時短豚肉メニュー。食事当番をまっとうできず超凹んでいた旦那さまをあたたかく励ましたのち、「すぐにごはんにするわね!」とキッチンへ向かう山田さんの雄々しくも凛とした表情は、16巻でも屈指の名シーンであろう。


豚肉(作中では豚バラだったけれど、肩ロース切り落としでもこま切れでもよいと思います)をざくざくと大きめの一口大にカットし、これをごま油で炒めてから水をドバーと注ぎ入れる。鍋が沸騰してくるまでの間に、ニラはざく切り、トマトはくし切りにしておく。

鍋が沸いてきたらアクを取り、顆粒の和風だしの素を投入。さらにニラとトマトをぶちこみ、両者をささっと煮たら火を止めて味噌を溶き入れたらできあがり。作中でも非常にスピード感あふれる描写なのだけれど、本当にあっという間にできあがってしまった。

旦那さんが作ろうと思っていたメニュー(餃子とトマトサラダ)の材料から新たなメニューを再構築し、たちまち食卓をあつらえる山田さん……やはりお仕事のできる方であります。惚れる。


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レンジでチン!したごはんにたまごを添えて、シンプルながら実においしそうな一汁一菜。トマトの赤とニラの緑もうつくしい。

作中では「こんなんでいいの……?!」と震えながら訴える旦那さんに対し、山田さんが「ちょいちょいこんなんでいいのよ……」と柔和ながらも力強い笑顔で応えるのだけれど、むしろこういうごはんって個人的にかなりうれしい。こういうのがいいんだよ……!


味噌汁にトマトってのは以前からちょっと興味しんしんだったのだけれど、食べてみてびっくり。めちゃくちゃ合いますね……!豚肉の旨みが効いた味噌味に、トマトのさわやかな酸味、加熱されてマシマシになった甘みがほどよく溶け出していて、うーんこれはおいしい!なんだか元気が出てくる味だ。これは正に夏、食欲ない時なんかもいいかも。大根やにんじんを入れたにぎやかな豚汁も大好きだけれど、具材がシンプルな分、それぞれの持ち味がぐっと引き立つ印象。ごま油の香ばしさと、ニラのほんのりした甘みとクセがしっかり感じられるのがうれしい。大ぶりにカットしたから、お肉もしっかり食べごたえあるなあ。

そしてこの一汁に合わせるのがTKGってのがニクい。しかもこのエピソードに登場するTKGは、山田さんがやってみたかったという「あらかじめごはんにしょうゆを先に落とし、そこに溶きたまごをかける」というTKGなのだ。私はいつもTKGを食す際、溶きたまごにあらかじめしょうゆを混ぜてからごはんにドバーしていたので、一体どんな感じなのかな?とわくわくで試してみたところ、これがなかなか新鮮な味わい!山田さんが「おしょうゆの味もたまごの味もはっきりするね!」と言っていた通り、これまた両者の持ち味がぐぐぐっと全面に押し出されるかたちで味わえるのだ。たまごのまろやかさと、しょうゆの濃厚なしょっぱさが代わる代わる舌を刺激してくれる。うーん、これもおいしい!


ということで、本当に簡単な時短メニューにも関わらず、大満足の晩ごはんとなった。何食べが誇る敏腕やり手主婦・佳代子さんのレシピもおいしいけれど、「料理は基本すごくめんどくさい!」と明言してはばからない山田さんメニューも、なかなか侮りがたし……であります。ごちそうさまでした。



さてここからが本題です。


今回3回目のワクチン接種にして初めての本格的副反応に見舞われたことは、昨日の記事に書いた(お見舞いコメントを寄せてくだすった皆さま、ありがとうございました。涙)。おかげさまですっかり快復し、やれやれだぜ、とホッとしたのもつかの間だった。


本当の闘いはこれからだったんである。


実は先週の金曜から、我が家はちょっとした水道トラブルに見舞われていた。自宅の敷地と外の道路を隔てる壁面のひび割れから、チョロチョロとささやかな漏水が発生していたのである。

我が家の水道メーターは通常通りの動きを見せていたので、これは道路の下を通っている水道管がアレしてんな……と思い、翌日土曜にわがまちの水道局相談口に連絡を取ったところ、すぐに指定業者さんが駆けつけてくださり、現地調査が行われた。結果はやはり、道路側の水道管の破損だったため、週明けの月曜(つまり昨日)、今度は水道局の方々がお越しになり、漏水箇所の調査と我が家への応急処置作業が行われた。ちなみに私はその間、副反応でのびておったわけですが……。

けれどその日の調査では漏水箇所を特定できず、道路の下を通る管から我が家へと分岐する仮設の管を伸ばしてもらうにとどまった。これが応急処置。結果的に壁からのチョロチョロは止まったものの、本格的な処理についてはある程度時間がかかる、というお話だった。

我が家の建っているエリアは昨年からたびたび漏水騒動が発生しており、水道局もずいぶん長期間がんばってくだすっているものの、経年劣化等の問題もあってなかなかスッキリ解決!とはいかない……という事情はすでに察していたので、まあしょうがないわな、と思った。


ところが本日。朝目が覚めて台所に行くと、外からなんかすごい水音が流れていらっしゃるじゃありませんか。


慌てて様子を見に行くと、水道メーターあたりの地面が水びたしになっていた。そしてメーターは……ええ、賢明なる紳士淑女の皆さまにはお察しいただけましょうや。世紀末覇者がおわすあの世界のモヒカン野郎どもさながらに、ヒャッハー!!と言わんばかりにぐるんぐるんに荒ぶっておられたのである。

ギャアアアアア!!!!!!と(脳内で)雄叫びを上げたのち、私はすぐに水道の元栓を閉めた。その後すぐに家の中にとって返し、押入れから20Lポリタンク×2(キャンプで使うかもと思ったけど一度も使ったことがない新品)を引っ張り出してから、おそるおそる元栓を開け、ポリタンクと家じゅうのやかんと風呂桶を満水にしたのち、再び元栓を厳重に締め上げた。

その溜め水を使って朝の身支度をととのえ、ねこたちの飲み水も新しいものに変えてから出勤。すぐに水道局に連絡を取って詳細を説明し、昨日に引き続き現地調査をしていただくことができた。

で、結果はまあほんのり予想できていたのだけれど、


①昨日の工事で応急処置とは言え水道管の漏水が改善されて、

②水圧が本来の状態に戻った、つまり今までよりも強くなったため、

③その水圧で今度は我が家に伸びてる配管(こいつも相当な年代物)がお逝きになられた

……ということだった。


水道局の方の丁寧な説明を聞きながら、私は先週末からうっすらと浮かべていた想像が、はっきりと確信に変わってゆくのをひしひしと感じていた。


ああ……3回目ワクチン後の発熱と腕の痛み、あれはほんの序章、言うなればオードヴルに過ぎなかったのだ。


真の副反応は、漏水だったのだ……と。



ということで今日は帰宅後に再びポリタンクや浴槽や家じゅうのやかんに貯水し、明日の朝いちばんでやってくる専門業者さんの本格調査のため、長年開かずの間と化していた魔窟───台所水道の下の収納棚の大掃除に追われた。その作業もどうにか片付いたので、油断すると恐慌をきたしそうなメンタルをなだめすかすべく、このnoteを書いております。

水道局の方、およびその方が紹介してくだすった専門業者さんの見立てでは、台所の外側の地面(コンクリ)をアレするか、それとも家の基礎部分をアレするかは、明日きっちり見てみないと分からないとのこと。

なるべく迅速に対処してくださるとのことだったけれど、今日の明日で全部スッキリ!とはいかないだろう。しばらくは元栓を開けたり閉めたりする生活になりそうだ。

断水で全く水が出ないという状況ではないし(今のところは、ですが……)、水道局の方もご紹介いただいた業者さんも、私が思っていたよりかなりスピーディに動いてくだすっているので、多少の不便と出費はやむなし、と腹をくくって今後を過ごそうと思う。


けれど正直なところ、ワクチンはもう打ちたくない。2回目の副反応はスマホアタック、3回目の副反応は漏水だもの。次はどんな副反応が来るのかと思うと……ピギィイイイイイイ!!!!!!



そんなわけで、しばらくはちょっとどたんこどたんこしそうです(涙)。あまり水を使いたくないから料理もし辛い……というか、そんな気分にもなれないし。しばらくは外食とかテイクアウト生活かなあ。フウ……やれやれだぜ。久しぶりに吉野家の牛丼とか食べちゃおっかなー!




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