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ロータスコンボ解体新書

はじめに自己紹介します、みどりと申します。
長らくパイオニアをやっていましたが、この度パイオニア王2020秋で優勝しました。
(その昔フロンティア神だったり、MOのパイオニアチャレンジでも優勝してたりします。)

その際に使用したのが「ロータスコンボ」。
Twitterで軽い文章を公開したところ意外と反響があり、その中で「ロータスコンボの回し方がよく分からない」というお声を頂戴しました。
確かにパイオニアというフォーマットの情報は、ネット上でもあまり見かけません。

というわけで、今回は「ロータスコンボ」の解説記事を書きました。
本稿は全て無料で読めますので、是非ご一読ください。

有料部分にはオマケの「パイオニア環境雑語り」が付属しています。
分量としては無料範囲の1~2割程度です。お心遣いの投げ銭感覚でご購入いただけますと幸いです。

■ロータスコンボとは

デッキリストはこちら

コメント 2020-11-25 202636 (2)

■晴れる屋成田店 11月23日 The Last Sun 2020 パイオニア予選 優勝
-土地 (22)-
4 《繁殖池》
4 《睡蓮の原野》
4 《植物の聖域》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
1《神秘の神殿》
4 《演劇の舞台》
1 《爆発域》

-クリーチャー (13)-
4 《樹上の草食獣》
3 《願いのフェイ》
1 《タッサの神託者》
1 《遵法長、バラル》
4 《砂時計の侍臣》

-呪文 (25)-
4 《巧みな軍略》
4 《森の占術》
3 《バーラ・ゲドの復活》
4 《熟読》
3 《深淵への覗き込み》
3 《時を越えた探索》
4 《見えざる糸》

-サイドボード (15)-
2 《神々の憤怒》
2 《神秘の論争》
2 《思考のひずみ》
2 《精霊龍、ウギン》
1 《一瞬》
1 《乱動への突入》
1 《至高の評決》
1 《副陽の接近》
1 《深淵への覗き込み》
1 《九つの命》
1 《全知》

キーパーツは《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》の2種類の土地。

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パイオニア界のトロン。何故かランデスが効かない。

コピー能力によって戦場に2枚の《睡蓮の原野》を揃え、《見えざる糸》《砂時計の寺臣》《熟読》の三種でマナを増やすことでコンボに繋げるデッキである。

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《睡蓮の原野》との組み合わせでマナが増える。

フィニッシャーは《成就》+《全知》+《副陽の接近》の特殊勝利、もしくはデッキを掘り切って《タッサの神託者》で勝利する。
とはいえ《全知》の設置には計14マナが必要で、上記のマナ加速が数枚あったところで足りないだろう。
そこを何とかするのが《深淵への覗き込み》。単純に物量で解決してしまうのだ。

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紙は山札を半分数えるのが面倒。MOは手札をスライドさせるのが面倒。

コンボルートの一例がこちら。
《睡蓮の原野》を2枚揃える。→マナ加速から9マナを出して《深淵への覗き込み》。
→残った2マナから、ドローしたライブラリの半分を使って14マナを捻出し、《成就》から《全知》を設置。
→後はフィニッシャーで勝利だ。

上に述べた土地コンボとしての性質から、《睡蓮の原野》を複製する5ターン目まで生き延びられるかどうかが最も重要。悠長に《演劇の舞台》まで到達出来る遅いマッチアップを得意とする。
逆にクロックを押し付けつつ手札破壊・カウンターを擁する「黒単アグロ」「スピリット」、単純に自分より速い「スパイ」「グルールアグロ」、《大いなる創造者、カーン》で《減衰球》を叩きつけられる「緑信心」などのデッキを苦手としている。

《樹上の草食獣》《遵法長、バラル》による加速からの4ターンキルも一応可能で、豊富なドロースペルによるリソース確保や《願いのフェイ》による柔軟な対応などが強み。

対策としては《減衰球》《概念泥棒》《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》など、致命的なメタカードが複数存在する。

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《減衰球》に敗れたことは数知れず。他は結構負けない。

■個別カード解説:メインボード編

・《樹上の草食獣》

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唯一の1マナ域、最強の壁。

1/0/3到達のサイズはアグロから大量のライフを守ってくれる上に、セットランドを加速する素晴らしいカード。
とはいえ手札を消費しているので、複数枚引くとマナフラッドしてしまう。
《森の占術》とは相性が悪く、2ターン目以降は他のスペルを使いたいために上手く加速出来ないことが多い。初手に無い場合は加速としてはカウントしないようにしよう。

舞台によるコピーを省略したい時、このカードによる加速で無理やり4枚の土地を生贄に、《睡蓮の原野》を2枚並べることもある。
《砂時計の侍臣》や《遵法長、バラル》で《深淵の覗き込み》に辿り着いた後に《熟読》でマナを増やしたい場合など、上記のパターンを見逃さないこと。

・《願いのフェイ/成就》

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このカードを採用するかどうかで、同じ「ロータスコンボ」でも派閥が分かれる。

フィニッシャーを持ってくる以外で、コンボに寄与することは少ない。
もちろん《深淵への覗き込み》を加えることも出来るが、要求マナが重すぎてターンを返すことになる。4+7+2=13マナ必要となれば、もう1マナ足して《全知》を出した方が良いだろう。

よって、主な役割は下記の通りになる。
1 壁
2 アグロ相手の延命手段確保。例えば《神々の憤怒》《九つの命》など
3 コントロール相手の干渉手段確保。すなわち《思考のひずみ》
4 サイド後、対策カードへの対抗手段確保。バウンスなど

フェイ不採用派の主張としては、メイン・サイドの枠の有効活用と、《殺戮遊戯》の初弾を意に介す必要が無くなることなどが考えられる。

しかし採用派としては、この最優秀ブロッカーを廃した場合、「ボロスアグロ」「オルゾフオーラ」などに勝つのは非常に難しいと考えている。
先手なら2体のブロッカーが居れば概ね4キルを防げ、生きて《睡蓮の原野》を複製出来るからだ。
また、メイン戦で《九つの命》を設置出来るのも利点で、「赤系アグロ」などには《深淵への覗き込み》でライフ半分を払うとほぼ火力圏内になるが、これなら安全に勝ちを狙える。

以前は4枚採用していたが、《遵法長、バラル》の加入に伴い減量。
直接的にはコンボに関係しないこと、ブロッカーの総合計は9枚で十分という判断から。

・《タッサの神託者》

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意外と占術(?)が強い。手札は減る。

9枚目の壁としておよび、《殺戮遊戯》等で《願いのフェイ》を追放された場合の勝ち手段として採用。
「赤系アグロ」「黒単」「五色ニヴ」に対して有効なカードであり、現状のメタゲームでは入れるべきと判断した。
《思考囲い》や長期戦に長けたデッキが多くなる場合は《首謀者の取得》と差し替えよう。《遵法長、バラル》を増やす場合にも相性の関係からそうするのがオススメだ、《見えざる糸》を探すと2マナ増やせるぞ。

・《遵法長、バラル》

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4キルの導き手。

《遵法長、バラル》+《睡蓮の原野》+土地の場から4マナ→《見えざる糸》で7マナ→《深淵への覗き込み》で残り1マナ→再び《見えざる糸》がキャスト可能。つまり、《演劇の舞台》のコピーすら不要になる。
除去などで干渉されなければ圧倒的な加速度を誇り、「スパイ」「ロータスコンボ」「緑信心」「オルゾフオーラ」「グルールアグロ」「上陸オムナスランプ」などの《砂時計の寺臣》を場に出したいマッチアップにおいて、それ以上のゲーム決定力を見せつけてくれるだろう。

これ自体はマナ加速の一種でしかないことに注意。《砂時計の時臣》と異なり、サイクリングという逃げ道が無い。
増やすとアグロやコンボに強くなるが、ミッドレンジやコントロールには弱くなる。

・《砂時計の侍臣》

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サイクリングする前に、一旦立ち止まって考えよう。

詳細はプレイングの解説で述べるが、《砂時計の寺臣》は原則場に出すべきである。
何故なら、サイクリングで《睡蓮の原野》をアンタップする時、当然場に出すことも出来るからだ。
つまり、常にサイクリングと3マナ加速マナクリとしての二択を問われているのである。

他のマナ加速と異なりインスタントで使える。ソフトカウンターに対応したり、相手エンドに《時を越えた探索》を唱える助けにもなる。

・《森の占術》

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《睡蓮の原野》にして《演劇の舞台》。

万能サーチ呪文無くしてこのデッキは成立しない。青いデッキにプレイする際は《検閲》に注意。構えていそうな場合は、3ターン目に1マナ浮かせて唱えるなど工夫しよう。

・《巧みな軍略》

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昔は《死の国からの脱出》とシナジーしていたのだが……。

純粋な意味ではデッキに必要無いが、コンボデッキとして手札操作の不足により採用されている。

2マナと重いが、パイオニアでは1マナに《選択》程度しか選択肢がない。
青1マナ余るターンが少ないこのデッキでは、《時を越えた探索》ともシナジーのあるこのカードが最も好ましい。山札を削る能力は最終的に《タッサの神託者》とも噛み合っている。

・《見えざる糸》

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コンボの中核を為すマナ加速。

《睡蓮の原野》と土地があれば2マナ増える。《睡蓮の原野》が2枚あれば4マナ増える。
《睡蓮の原野》2枚目の代わりに《砂時計の侍臣》をアンタップしても同じだけマナが増える。

相手の土地を対象にすることも。青いデッキ相手には《演劇の舞台》を複数枚用いて、コンボ用の大量のマナを確保した後、《見えざる糸》で相手の青マナを潰して仕掛けよう。

「暗号」は忘れがちだが、《願いのフェイ》は特に活用し易い。《演劇の舞台》によるコピーを行ったターンにそのまま勝つ場合など、活躍出来る場面は少ないがその分重要だ。

《バーラ・ゲドの復活》からマナを増やす唯一の手段なので、墓地に1枚は確保しておきたい。

・《熟読》

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《睡蓮の原野》が2枚あるとマナが増える。

マナが減ることはあまり気にせず、通るタイミングでどんどん使ってしまおう。5マナあるのに《睡蓮の原野》が2枚揃っていない状況は非常に危機的なので、とにかくカードを引いて《森の占術》や《時を越えた探索》に繋げ、手札と盤面を勝てる形に整えたい。

《ナーセット》や《概念泥棒》に《神秘の論争》など、とにかく妨害を受けやすい。唯一《呪文捕らえ》されない点は評価。

・《深淵への覗き込み》

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とんでもなくド派手な令和の《むかつき》

大量のマナから唱えれば勝てるカード。「7マナ払っても14マナ出るほど大量に引けばOK!」などという脳筋理論の象徴だ。
理論上は《見えざる糸》がライブラリの下半分に眠っていると勝てないが、《砂時計の寺臣》などもあるので実際には稀。

昔はこの枠が《死の国からの脱出》とかいうインチキカードだった。5マナも違うのに役割が全く同じなのはおかしいでしょ。

試合中1枚は欲しいが被ると死ぬので、枚数は悩みの種。

・《時を越えた探索》

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一時代を築いた最強ドローソース。

《死の国からの脱出》禁止により復権した。最近は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に押されて姿を見ないが、コンボデッキにおいては優先される。

7枚から2枚を探すという行為は、後半不要になる土地回りが大量のこのデッキでは非常に心強い。デッキの底に5枚のカードを押いやるのも、《深淵への覗き込み》を唱えた際のドロー純度を高める副産物を産む。
長期戦をする相手であれば、《睡蓮の原野》2枚から6マナ捻出できるので、墓地枚数を気にせず連打することも可能だ。

とはいえやはり「探査6」は重い。フル探査で唱えられるのはゲームあたり1枚が限度で、アグロに複数枚引くと足を引っ張る。

・《バーラ・ゲドの復活》

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びっくりするほど強かった新戦力。

まず《睡蓮の原野》で生贄に捧げられる緑マナなのにスペルという時点で満点だが、なんと《見えざる糸》と組み合わせると1マナ増える。1億点あげたい。
デッキ75枚をフルに使いがちなこのデッキにおいて、表面はあらゆるスペルの5枚目になり得るのが非常に優秀。ウィッシュボードの再利用なども可能だ。

出来るだけ土地を増やして初手のキープ率を確保したいが、《熟読》で土地を3枚引くのは避けたい。そんな自己矛盾を抱えるこのデッキにガッチリと噛み合い、支えてくれるのだ。
増やせば増やすほど青マナ源が減る代物でもあるので、バランスには注意しよう。


■個別カード解説:サイドボード編

・《神々の憤怒》

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このデッキでは単色かつ3マナ以下のサイドボードが主に優先されるが、《睡蓮の原野》の特徴を鑑みれば当然。
《神々の憤怒》も《砂時計の寺臣》などと組み合わせれば、3ターン目にいきなりぶちかませる。
アグロデッキが存在する以上このカードは必須だが、《探索する獣》《きらきらするすべて》《アーティファクトの魂込め》など、過信することは出来ない。メインボードに投入するかどうかは、相手によって慎重に検討しよう。


・《精霊龍、ウギン》

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全体除去であり、勝ち手段でもある。

2枚目は自由枠だが、「スピリット」「オルゾフオーラ」に対して2枚ともサイドインする。不利なマッチアップを改善するための増量とはいえ、直近では沈み気味のアーキタイプでもあり、この枠については要検討。

《願いのフェイ》から持ってきて唱えるには12マナ必要。そんな莫大なマナを注ぐくらいなら、気合でもう1マナ捻り出して《深淵への覗き込み》を持ってきて勝った方が速い。

《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキには、延命・除去のために唱えることがままある。相手がなんとか《精霊龍、ウギン》を越えてクロックを出そうとしている間にコンボを決めよう。《ウーロ》ごと《覆いを裂く者、ナーセット》《概念泥棒》などを流すべし。

・《神秘の論争》

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最も軽く、このデッキが唯一構えられるカウンター。

「スピリット」「ミラー」「《概念泥棒》入りデッキ」に有効。
その他の相手にもサイドインする程度に汎用性は高いが、自らの本質がフルタップコンボであることを忘れないこと。「荒野の再生」などを相手に複数枚引くとリソース不足を引き起こす場合もある。
上記の三者にはそもそもリソース云々以前の効果を見込んでおり、《神秘の論争》が引けたから勝てた、という結果を期待しての採用。

《睡蓮の原野》はタップインなので、常に構えていることは出来ない。相手の行動に合わせて《演劇の舞台》を置くタイミングを調整してピンポイントで構えたり、コピー完了後にコンボを通すために使うことが多い。対「スピリット」では除去として、再序盤からガンガン使おう。

・《影の評決》

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墓地すらも食らう。

《至高の評決》などと比較される全体除去。
「オルゾフオーラ」「スパイ」「スピリット」「ジャンドサクリファイス」などに対してプラス要素がある。「破壊不能」付与による回避を許さない上、墓地に手を伸ばせるのは追加効果としては破格。
対して、「赤系アグロ」「五色ニヴ」などにプレイする場合は4マナ全体除去と比べてマイナスとなる。アグロ相手に使うには単純に重く、また重いカードが出てくる相手には効果が限定されてしまう。

全体除去が《精霊龍、ウギン》と《神々の憤怒》のみ、というのはピーキーに過ぎるため、何かしら1枚は採用すべきだ。
メリットデメリットを比較して選択しよう。

・《一瞬》などのバウンス、《萎れ》などのディッチャ

無題

どれを何枚採用するのかが問題だ。

例えば《減衰球》を警戒するならば《萎れ》を厚く取るのが良い。
「ジェスカイルーカ」に《虚空の選別者》を出されても諦めたく無いのであれば《虚空の罠》がベター。また、単純に最も軽い。

《概念泥棒》の採用枚数が増えている現在、《覆いを裂く者、ナーセット》等も鑑みてバウンスは最低でも1枚欲しいところだ。
個々人の好みが強く出るが、自分はキッカーのドローを評価して《一瞬》にしている。1枚だけ採用する場合は、サイド後、メインとサイドそれぞれ1枚ずつ置けなくなってしまう点に注意。

・《九つの命》

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外付けの生命力。猫の壁。

「ボロスルールス」「オルゾフオーラ」などとの試合で使ってもらえれば分かるが、置いたターンの返しに負けることはまず無い。
それどころか全体除去やブロッカーで盤面を抑えようものなら、何ターンも延命出来るだろう。
稼いだ時間でこちらは安全に《深淵への覗き込み》を唱えることが出来る。

使用の際、注意すべき事について。
・盤面で2ターンクロックが見込まれる場合は、先に全体除去等で勢いを削ぐこと。具体的には、既に4体以上のクロックが存在し、相手に追加のクリーチャーを出され得る状況など。
・このカードの効果以外での死因は、《踏み付け/砕骨の巨人》《探索する獣》《乱撃斬》獰猛達成などの軽減阻害系か、《ドロモカの命令》《爆発域》などの直接干渉系の2種類。
・ライフルーズは置換しないため、《深淵への覗き込み》《集団的蛮行》《忘れられた神々の僧侶》などでライフが減る。
・上記の通り完全無敵ではないので、可能な限りはライフで引き付けること。また、アグロ以外にはどう対処されるか分からないため、基本は置かないこと。
・《深淵への覗き込み》にはペイライフが必要なこと、《ヤヴィマヤの沿岸》からのダメージがカウンターに置換されることを忘れないように。

逆に置かざるを得ない状況に追い込まれてその後に負けてしまったとしても、他に何をしても負けているため、特段気にする必要は無い。
追加の《九つの命》を取ることでアグロへの勝ち筋とする事も出来るが、《砕骨の巨人》を擁する「赤単果敢」の台頭が裏目。基本は1枚で十分。

・《副陽の接近》

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マスターピース版《全知》から唱えるとエモい。

《神秘を操る者、ジェイス》との比較ではこちらの方が優れている。
《深淵への覗き込み》はライフが1になると唱えられないが、そんな時サイドボードに直接的なライフゲインが存在する意味は計り知れない。
《大歓楽の幻霊》《パルン、ニヴ=ミゼット》を出された際などにも実感出来るだろう。

・《思考のひずみ》

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ハンデスもド派手に。

対《ドビンの拒否権》であり、破壊的なまでに打消しの壁を崩せる手段。

基本的にはメイン1サイド1で運用して適宜《願いのフェイ》から加えていくべきだが、対「荒野の再生」の後手番では《成就》を通す隙が無いということもあり、いっそ2枚ともサイドインしてしまう選択肢もある。

《ナーセットの逆転》に跳ね返されて負けることも。とはいえケアしようとしてもどうにもならないので、気にせず投げつけよう。


ここからは採用可能性のあるカードについて述べる。

・《屍呆症》

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対「スパイ」専用。
山札をひっくり返された次のターンに《世界棘のワーム》を指定すると、勝利。基本的にそれ以外の用途が無い。

同じ相手への役割を持った上で汎用性が高い《影の評決》の方が好み。

・《パルン、ニヴ=ミゼット》

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ニヴ様は色マナに厳しい御方。

「荒野の再生」「五色ニヴ」に使用。
ただし《霊気の疾風》が直撃する上、ライフを攻めるというのは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《創造の座、オムナス》に喧嘩を売る行為でもあり、黒除去や《時を解す者、テフェリー》などの干渉が致命的になることも考えられる。このような相手への役割では《思考のひずみ》が勝るだろう。

「スピリット」には、こちらがソーサリーアクションしか出来ないことを《無私の霊魂》によって咎められがち。《ネベルガストの伝令》などのタッパーも居り、このカードの登場が4〜5ターン目という点を鑑みると、あまり有効な相手とは言えない。

「ロータス」ミラーで繰り出す事もあるだろうが、ライフを削る能力が低いので、残ライフ1になるよう調整された《副陽の接近》で負けることも。もちろんターンが帰って来れば勝利するため、弱い訳ではないのだが。


■マナベースについて

・《樹上の草食獣》のためにはアンタップイン緑を10枚以上確保したい。
・《バーラ・ゲドの復活》は高いカードパワーを持つスペルかつ、初手キープ基準の緩和に役立つため、可能な限り増やしたい。
上記の課題に対する結論としては、一般的なリストから《神秘の神殿》を減らして《繁殖池》に差し替えるのが良いと考え、実践中。

・ロータスで生贄に出来る土地:21枚
一般的には20〜21枚だが、この枠は「初手のキープ基準緩和」と「試合後半のマナフラッド」を天秤に賭けている。
初手をキープするためにはロータスを除いた土地2枚が必要だが、ロータスへの生贄となる2枚さえあれば、その後は《演劇の舞台》以外の土地は不要だ。

(なお筆者自身も、この枠は20枚と21枚の間を頻繁に反復横跳びしている。安定重視とブン回り重視の境界は曖昧で、「正解」が見つかる日は何時になることやら。)

《バーラ・ゲドの復活》はマナフラッド防止になりつつこの枠を埋めるため非常に優秀。

・タップイン5枚
3〜5枚程度が標準。とはいえ最近はタップイン8枚のリストも。
多ければ《樹上の草食獣》が2ターンにズレるし、少なければマナフラッドが受からない。《バーラ・ゲドの復活》に枠を取られる以上、《神秘の神殿》に割ける枠は僅かか。

・アンタップイン緑11枚
少なければ《樹上の草食獣》が1ターン目に出せない。
《樹上の草食獣》は、ロータスが手札にある場合は2ターン目でも良いが、《森の占術》を経由する場合には大きなタイムラグが発生する。
一般的には8~10枚程度。

・青マナ13枚
青マナが無い初手は《巧みな軍略》によるキープを不可能にするので、できれば1つ欲しい。
本音を言えば緑と同じく15枚程度積みたいところだが、《バーラ・ゲドの復活》によって枠を圧迫されており増量は不可能に近い。
《睡蓮の原野》が場に出るまでは緑マナのみで立ち回ることもあるだろう。

・《爆発域》
様々なパーマネントに干渉可能であり、《森の占術》からサーチ出来る。常に《減衰球》の脅威に怯えている我々にとって必要不可欠なカード。

調整するなら《繁殖池》と《神秘の神殿》まわり。要検討。


■プレイングについて

□心構え
本項に述べるのは私見であり、諸説ある概念論のうちの一つ。
「なんだか仰々しい独り言が書いてある」程度の受け止め方をしてもらえれば幸いで、特に興味がない場合は飛ばしてしまって構わない。

コンボデッキ使用の際は、「最終的に勝利している盤面」から逆算してプレイを決めるべきだ。

マジックにおいて「プレイA」と「プレイB」があった場合、片方を選択する根拠は「そちらの方が勝利に近づくから」である。
実戦では相手のクロックや妨害、デッキトップなどの様々な不確定要素を加味する必要があるが、理想論としては勝利に近づくアクションを取り続け、状況が変化する度にその要素を組み入れて目の前の選択を捌いているのだ。

それぞれのプレイを比較して実行、というのはどんなデッキでも行われていることだが、コンボデッキ故の特徴というのが、初めに述べた「最終的に勝利している盤面」の幅の狭さである。

具体的には、このデッキでは勝利手段が非常に限られている。
大半は《副陽の接近》を2回唱えての勝利で、残りは《タッサの神託者》だ。相手のライフを削り切っての勝利はあり得ない。(《精霊龍、ウギン》は奥義が優先される。)
つまり、大半の試合では《副陽の接近》を2回唱えている場面に辿り着くのが最終目標になる。

では、《副陽の接近》を2回唱えるにはどうすればいい?
大半は14マナから《全知》を置いていることだろう。それではそのような大量のマナを出す手段は?
最も基本的な方法が、《深淵への覗き込み》で大量のカードを引き、大量のマナ加速を確保することだ。それでは《深淵への覗き込み》を唱えて勝ちに行ける状況とは?
少なくとも《睡蓮の原野》は場にあることだろう。

そろそろあなたの目の前にある盤面に近づいて来たのではないだろうか。

「コンボデッキでは勝ちパターンを覚えればいい」という言説もあるが、それと大差は無い。
ケースバイケースの状況から正解を見つけ出す時に、最終的に辿り着くべき勝利の盤面から逆算するのが効率的なのである。

この心構えがあれば、アグロ相手に《願いのフェイ》と《巧みな軍略》をどちらから唱えるか迷わないだろう。ミラーで《砂時計の侍臣》を唱えることを躊躇しないだろう。

最終的に勝つのはどの選択肢か。
正解を模索し続けたい。

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□序盤戦
ここからは実践の時間である。先ほどの項目は特に興味がなかった人も、解説に戻るので注意。

・序盤は土地を置き続けること。
たとえ《睡蓮の原野》や《演劇の舞台》が見つからなかったとしても、《熟読》などを唱えられるようにとにかく土地を伸ばそう。最終的に全て《睡蓮の原野》の生贄にしてしまえば無駄が無い。

・2ターン目、3ターン目にそれぞれ2マナのアクションをすること。
《巧みな軍略》《森の占術》などの消化や《願いのフェイ》をブロッカーとして唱えるシーンになる。これらの優先度は相手によって異なるが、アグロ相手には壁から入り、長期戦デッキには《森の占術》から入ろう。青いドローソースは後々消化するのが良い。

《樹上の草食獣》による加速は、それらの消化ターンを飛ばしてしまう。また《森の占術》を撃たざるを得ず、加速できないシーンもあるだろう。可能な限り1ターン目から綺麗に加速したいところだ。

・《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》の両方を持っている時、3枚目の土地の置き順には気を遣うこと。
どちらから置いても問題なくコピー可能で、《演劇の舞台》を置いたターンには1マナ多く使える。3ターン目に《演劇の舞台》から入ることで《検閲》をケア出来るし、後から《演劇の舞台》を置けばコピーしながら《神秘の論争》を構えられる。

《砂時計の寺臣》を原則場に出すこと
マナの数こそが最重要事項であり、3マナジャンプを可能にするアンタッパーは隙あらばキャストすべきだ。
例外は2つあり、「除去される時」と「リソースが足りない時」である。
前者が多くの状況に引っ掛かるために、定着している場面をあまり見ないのだ。また《演劇の舞台》が無く、2枚目の《睡蓮の原野》として生き残ることを祈るしかないパターンなどもある。

打ち消されるかもしれない場合は検討が必要だ。後々1マナと1ドローになることを考えると《検閲》には当たりたくないし、《神秘の論争》に飛び込むのであれば、序盤に交換した方が後の展開が良くなる状況に限るべきだろう。リソースに余裕があれば、打消しのリトマス紙にすることも考えられる。

□中盤以降
首尾良く《睡蓮の原野》を2枚並べられれば、《見えざる糸》から《深淵への覗き込み》で勝利だ。
それでは、上手く行かなさそうな場合の話をしよう。

・初手が土地1+《睡蓮の原野》で止まった
マリガンミスが疑われる。筆者も未だにこれをキープして爆死する病が治らない。何度もマリガンしてやむを得ずキープしたかもしれないが、特に何か出来ることは無い。

・《睡蓮の原野》を置けたが《演劇の舞台》が無い
とにかく《巧みな軍略》《熟読》《時を越えた探索》で山札を掘るしか無いだろう。
《砂時計の寺臣》については、このような場合は積極的に場に出すべきである。生き残れば《見えざる糸》がフルパワーになる。
このような場合には土地を置き続けることが重要で、追加で2枚の土地を生贄に《睡蓮の原野》の2枚目を場に出すパターンも存在する。
リソースの枯渇や単純に6枚分のセットランドが追いつかないことの方が多いが、それを考慮せずに《熟読》で追加の《睡蓮の原野》を捨ててしまわないよう気を付けよう。

・《演劇の舞台》はあるが《睡蓮の原野》が無い
それがメイン戦ならば、マリガンをミスしている可能性がある。
しかし、例えば相手が《夢の巣のルールス》を公開していた場合やサイド後の対アグロで、《演劇の舞台》含む土地3枚+ブロッカー(特に《樹上の草食獣》)の初手はキープすべきである。
このような場合は《巧みな軍略》《熟読》などでデッキを掘るれるかどうかをマリガンの検討要素に加えるのが良いだろう。初手+5〜6枚程度掘れる目算があれば、十分な確率で《睡蓮の原野》にアクセス可能だ。
デッキの上20枚に《睡蓮の原野》も《森の占術》も無かったら……大人しく敗北を受け入るしかない。

・相手のクロックが速すぎて、土地置いてる間に負けそう
メイン戦では特に、相手がアグロと分かった時点で出来る対応は少ない。
2ターン目は《巧みな軍略》や《森の占術》ではなくブロッカーから入る。4ターン目に《演劇の舞台》をコピーするのではなく、先に《熟読》を使い捨ててブロッカーを探す。4ターン目に無理やり《成就》で盤面に干渉する、などが考えられる。

□打ち消し相手のプレイング
想定される打ち消しの種類によって取るべきアクションは変わる。

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無防備に仕掛けるのではなく、まずは《演劇の舞台》でマナを増やす事を検討すべきだ。場に《睡蓮の原野》が2枚ある状態なら、《森の占術》や《巧みな軍略》をカウンターする行為は相手にとって有効牌の消耗になるため避けたい。通るのであれば《成就》などにマナを費やし易くなる布石となり、消されても消されなくてもプラスとなるジャブだ。

・確定カウンターには青マナを潰すことが有効。
ダブルシンボルを構え続けるのは相手にとって負担のかかる行動である。
《見えざる糸》の使い道として、ソフトカウンターには自分のマナを増やすために、確定カウンターには相手のマナを絞るために使う、という基本を抑えよう。

・コントロール相手に効果てきめんなのは《思考のひずみ》。
《成就》さえ通せばそれだけで勝ちに近付ける。
逆に序盤のソフトカウンターでリソースを交換されないように気を付けよう。ケアできる《検閲》はケアすべきだ。

★コントロール相手のプレイ指針まとめ
1 序盤は《検閲》や《神秘の論争》を意識
2 3枚目以降の《睡蓮の原野》を作りに行く、「積極的な待ち」の姿勢が大切
3 相手が《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などでマナを寝かせた瞬間に勝てるようにする。マナを伸ばしリソースを溜め込むこと
4.《成就》が通れば《思考のひずみ》が飛んで来るのは相手も承知の上。こちらは《成就》すら囮にするのが理想

■マリガン

対戦相手によって変わる部分は当然あるが、そもそもコンボデッキなので、まずは自分が動けるかどうかが基準となる。
ここでは対戦相手がわからないメインボードでのマリガン判断について解説する。

前提として、《睡蓮の原野》へ捧げる土地2枚が無ければマリガン、《睡蓮の原野》に辿り着けないハンドは概ねマリガンである。

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土地コンボとして、初手で真っ先に確認するポイント。

しかし実際には《睡蓮の原野》や《森の占術》が無い事はよくある。そんな場合は、《巧みな軍略》があればキープ基準にしてしまっても良いだろう。

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余談だが、2ターン目に《巧みな軍略》を唱えて、3ターン目までに《睡蓮の原野》か《森の占術》を引ける確率はおよそ75%である。これが高いか低いかは個々人の考えに依るが、マリガン基準一考の材料として欲しい。
同条件で《サテュロスの道探し》を検証すると、およそ50%まで低下する。《森の占術》を落としてしまうからだ。《時を越えた探索》のための墓地肥やし材としては理解出来るが、キープ基準としてはよく考える必要がある確率だろう。

土地まわりの条件が厳しいため、スペル面からの検討はあまりしない。《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》が揃っていればわりと何でもキープしてしまおう。
ただしマナフラッド気味の手札をキープする際は、《巧みな軍略》《熟読》《時を越えた探索》などのドローソースが1枚以下ならばマリガンしても良いだろう。《願いのフェイ》と《バーラ・ゲドの復活》はドローソースではない。《深淵への覗き込み》はその他のマナ加速スペル次第でキープ可能だ。

《睡蓮の原野》はあるが、《演劇の舞台》が無い手札はどうすれば良いだろうか。
この場合、《演劇の舞台》が無い分をカバー出来る手札かどうか、というのを総合的に判断するしかない。
基本的にはキープ寄りの判断になるが、特にスペル面を吟味すべきだろう。
《遵法長、バラル》《砂時計の寺臣》などで、そもそもコピーを省略して勝つ。《樹上の草食獣》で早期に《熟読》を唱え、2枚目の《睡蓮の原野》を探し出す。《巧みな軍略》で見つかるかもしれないし、そうでなくても《時を越えた探索》が唱えられる、など。
《睡蓮の原野》を置けさえすれば何とかなる事は多いので、よく検討してみて欲しい。

ワンマリガンではそこまでキープ基準を緩める必要は無いが、トリプルマリガンまで行くことは基本的に避けるべきだ。
何故なら、このデッキが円滑に動くためには「土地・土地・《睡蓮の原野》・《演劇の舞台》」と必ず4枚のリソースが必要になるからである。5枚目の手札として、《巧みな軍略》or《熟読》or《樹上の草食獣》を残すのが理想のダブルマリガンと言える。

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《夢の巣のルールス》を公開された場合は、土地が揃っているからと5キルハンドをキープするべきではない。《樹上の草食獣》《願いのフェイ》等のブロッカー及び《見えざる糸》があるかどうかをマリガン判断に組み込むこと。
想定されるのは「ボロスアグロ」「オーラ」「アーティファクトの魂込め」などであり、こちらがブロッカーを出さなければまず4キルされる覚悟が必要。ブロッカーを出しながら、可能であれば《演劇の舞台》のコピーすら飛ばして《九つの命》へのアクセスを試みよう。
後手番では特に厳しくマリガンすべきだ。

このデッキはマナスクリューによる土地コンボ不成立も、デッキの過半数を占める土地まわりのカードによるマナフラッドも受からないため、マリガンに依拠する要素は他のデッキに比べて大きい。
下記にキープorマリガンの例題を出すので、そちらを参考に自分なりの基準を作り上げてみて欲しい。

①先手・7枚

コメント 2020-12-08 194118

→キープ。
土地有り、《睡蓮の原野》無し、《巧みな軍略》有り。土地まわりは最低限の状態だが、相手がアグロでも壁がある。《見えざる糸》と《深淵への覗き込み》のおかげで、土地さえ揃えば即座に勝てるだろう。

②後手・7枚

コメント 2020-12-11 231604

→マリガン。
《巧みな軍略》から《演劇の舞台》を加えると手札が土地まみれになってしまう。この初手は土地2枚が不要牌になっているので、マリガンして6枚の有効牌を引き直した方がお得だ。

③後手・6枚

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→《植物の聖域》を戻してキープ。
非常に良い手札。3~4ターン目に《熟読》でカードを掘りに行けるし、そもそも占術等で《演劇の舞台》が見つかっていれば勝ちにも繋げられるだろう。このように、序盤の滑らかなアクションは手札1~2枚分の価値がある。

④後手・6枚・《夢の巣のルールス》公開

コメント 2020-12-11 232606

→キープなのは良いとして、この初手は何を戻す?

《夢の巣のルールス》相手に壁を戻すことは無い。《森の占術》や土地を戻すことも無い。となると消去法で《砂時計の侍臣》である。
相手が相棒を公開していなければ《願いのフェイ》を戻すであろうことに注意。

■個別マッチアップ解説

サイドチェンジと共に、「対峙した際の指針」「ロータス視点からの雑感」を記載する。

長期戦が想定されるマッチアップでは、サイド後の《樹上の草食獣》の枚数は流動的になる。
相手のサイドボード次第では《樹上の草食獣》を更に減らしてバウンス・ディッチャなどを入れることとなるだろう。

《殺戮遊戯》と異なり、土地を引っこ抜ける《漂流自我》《屍呆症》に対しては注意が必要。対策として《睡蓮の原野》を1枚サイドアウトすることで《願いのフェイ》から手札に加えることが出来る。


□アグロの部

重くてゲームに関与しない《時を越えた探索》《深淵への覗き込み》などがサイドアウト候補。とはいえ《深淵への覗き込み》は全アウトしてしまうと《成就》を経由しなければ勝てなくなってしまうため、1枚は残したい。

・ボロスルールス

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in 神々の憤怒2 一瞬1
out 深淵への覗き込み1 時を越えた探索2

マリガン基準を変えること。具体的には、《睡蓮の原野》よりも《樹上の草食獣》が優先。《ルールス》相手にブロッカーのいない初手をキープしてはいけない。
《深淵への覗き込み》は可能ならば《九つの命》を経由して安全なタイミングで唱えるべきだが、火力で死にそうだからと躊躇ってはいけない。どうせ次のターンには殴られて負けるのだから、前のめりに死のう。

《大歓楽の幻霊》《乱動する渦》が厳しく、《神々の憤怒》で凌いでから《九つの命》+《精霊龍、ウギン》の護身を狙いに行くプランもある。その為にはライフ保持がとにかく大切なので、ブロッカーをひたすら並べ続けること。

ありとあらゆるアタックを迷わずブロックすること。果敢について悩む必要はなく、ブロックした方がライフを守れる。《舞台照らし》を綺麗に使われたくはない。

《樹上の草食獣》《願いのフェイ》が効果的で、相手のサイドボード次第だが相性的には五分近い相手。マリガンをしっかりすればメインから取りに行ける。


・赤単果敢

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基本的に「ボロスルールス」と同じだが、《減衰球》を採用しているリストが多い。

相棒がいない分メイン戦を落とす可能性が高く、サイドボードも厚いため不利。

・グルールアグロ

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in 神々の憤怒2 精霊龍、ウギン1
out 深淵への覗き込み1 時を越えた探索1

《ゴブリンの熟練扇動者》から4キル余裕、上振れ3キルという度し難い速度を持つ。
パワー1のブロッカーを《ゴブリンの熟練扇動者》が出てくる前に置けているかどうかがキルターンを引き伸ばす鍵。赤絡みの他色土地から《ラノワールのエルフ》が出てきた場合には必ず《願いのフェイ》等を立てること。

3点火力が入っていないので《遵法長、バラル》や《砂時計の寺臣》をキャスト可能。ゴブリントークンのブロックに回すと《踏み付け》で落ちることもあり、その際はよく考える必要がある。《アタルカの命令》にも注意。

圧倒的に不利。相手がブン回った時のことは考えないこと。開き直りが肝要。


・黒単

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in 神々の憤怒1 精霊龍、ウギン1
out 深淵への覗き込み1 睡蓮の原野1

噛み合いの要素がこれでもかと詰まった、味わい深いマッチアップ。
アグロプランに対して《樹上の草食獣》で、ハンデスプランに《熟読》《時を越えた探索》などで当たると勝てる。負け方はその逆や、《神々の憤怒》が《騒乱の落とし子》《変わり谷》に当たらないなどのパターンもある。
とはいえ《騒乱の落とし子》の「絢爛」をケアするため、ブロッカーは積極的に並べること。相手が3マナのターンはチャンプブロックすべし。

《屍呆症》のケアは可能な範囲で。《睡蓮の原野》をサイドアウトするのは後手で間に合わないからだが、先手ならば全て入れても問題ない。

五分からやや不利。こちらからプレイで噛み合いに干渉することが不可能のため評価しにくいが、先手後手でひっくり返る程度か。


・緑信心

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in 一瞬2 神々の憤怒2
out 願いのフェイ1 タッサの神託者1 深淵への覗き込み1 時を越えた探索1

メインボードは相手が《大いなる創造者、カーン》でキープしているかどうか次第。出て来たら概ね負け。
《砂時計の寺臣》は《大食のハイドラ》で簡単に落とされるため、後手ではキャストを控えること。《遵法長、バラル》が生き残ることを祈ろう。

《精霊龍、ウギン》は《世界を揺るがす者、ニッサ》の土地・エレメンタルが無色のため頼れないが、《大いなる創造者、カーン》で《減衰球》を加えていない場面は積極的に投げつけるべきだろう。

相性よりも引きムラの影響が大きい。とにかくメイン戦における相手の初手次第だが、マナクリから《大いなる創造者、カーン》は非常にオーソドックスなキープ基準のためやや不利か。


・ルールスオーラ

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in 一瞬2 精霊龍、ウギン2
out タッサの神託者1 深淵への覗き込み2 時を越えた探索1

メインボードはブロッカーを立てればそれなりに間に合う。《命の恵みのアルセイド》で壁を抜かれないよう、チャンプブロックは見た目より1ターン早く行くこと。
《九つの命》が着地すればメインは安泰。

サイド後はとにかく《精霊龍、ウギン》に全振りしてOK。オーラ側に返す手段が存在せず、単体で勝利できる。《影の評決》も致命的かつ、《ケイラメトラの恩恵》をすり抜けられる。

五分。1ターンを巡る攻防になるため、先手後手の影響が非常に大きい。

・スピリット

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in 神秘の論争2 精霊龍、ウギン2
out 深淵への覗き込み3 タッサの神託者1

メインは上手く壁がハマれば勝てることも。
《深淵の覗き込み》から《見えざる糸》へ繋ぐ際にありとあらゆる妨害を受けるため、サイド後はコンボプランを丸ごと破却。《精霊龍、ウギン》一本で行こう。

とにかくブロッカーを並べ、ターン数に制限のある対コントロールと思って挑むべし。《呪文捕らえ》が鬼門。5マナ以上の呪文を上手いこと通しに行くのが鍵で、《見えざる糸》でマナを潰すのも効果的。
《精霊龍、ウギン》さえ通れば《呪文捕らえ》も無意味だ。そのあとはゆっくり奥義なり《成就》から《深淵への覗き込み》で勝ちに行ける。

1ターン目、2ターン目の《霊廟の放浪者》には原則《森の占術》をぶつけること。
1に、打ち消されるのであれば延命となり、ロータスが無くなるとしてもこちらがプラスと考えるべし。2に、《森の占術》を確実に通そうとマナが余るのを待つことで《呪文捕らえ》に食われるのが最悪。消費期限は刹那と心得よう。3に、スピリット側の心理。こちらが既に《睡蓮の原野》等を持っているパターンがあり、《霊廟の放浪者》自体が強烈なクロックなので、スピリット側はその《森の占術》を通すことが多い。
以上から、消されることを恐れてこちらが最大効率アクションを避けるのは無意味である。

「バントスピリット」はメインの打ち消し枚数が少なく、《深淵への覗き込み》が通りやすいので五分。
「アゾリウススピリット」にはサイド後2本を勝ち抜く必要があり、かなり厳しい試合を強いられるだろう。


■ミッドレンジの部

鈍足なデッキが多く、土地コンボへの干渉手段に欠けるため基本的には有利である。
サイドボードの対策に注意が必要。

・五色ニヴ

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in 神秘の論争2 思考のひずみ1 精霊龍、ウギン1
out 樹上の草食獣3 睡蓮の原野1

メインは《殺戮遊戯》以外の干渉がほぼ無く、《タッサの神託者》か《首謀者の取得》が入っていれば、何を宣言されても勝てる。

サイド後は《漂流自我》《ドビンの拒否権》《概念泥棒》など注意が必要。
カウンター主体だったりハンデス主体だったりが人によって異なるため、一意的なサイドボードは不可。

ハンデスに《思考のひずみ》を入れるのはあまり有効ではないが、《ドビンの拒否権》型が一般的なため上記の入れ替えをしている。ハンデス多めの相手には《樹上の草食獣》を全て抜いて《睡蓮の原野》をメインに戻すこと。(《森の占術》に干渉されるため。)
《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》にはバウンスをサイドインする。《精霊龍、ウギン》のキャストが封じられるため。

相手のアクションが大振りなため待ちの姿勢を維持したいところだが、《ラクドスの復活》を食らうと一撃で負けるため、ちまちまと仕掛けて相手に対応を迫った方が良い。
7マナに到達されて《ニヴ=ミゼット再誕》+《ドビンの拒否権》となるのもよろしくない。

総じて有利。


・荒野の再生

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in 神秘の論争2 思考のひずみ1〜2
out 深淵への覗き込み1 樹上の草食獣1〜2 タッサの神託者1

《森の占術》を《検閲》されて負けるのは馬鹿馬鹿しいので、先手なら先に舞台を置くなど必ずケアすること。

《荒野の再生》から《発展+発破》を食らわなければ焦る必要は無く、ゆっくりと《演劇の舞台》を並べれば良い。
相手の妨害については《神秘の論争》と《発展》をよく考慮し、相手ターンの《時を越えた探索》で打ち消しを誘ってから《成就》→《思考のひずみ》を狙う。《見えざる糸》の集まりが良ければ《深淵への覗き込み》で突っ込むのも考えられる。

「スゥルタイ再生」のみメインに確定カウンターが入っており、ケアの仕方など対応がやや異なる。対コントロールの基本を守ろう。

サイド後も変わらず、とにかく土地を伸ばして機を窺うべきだが、《否認》《ドビンの拒否権》等の確定カウンターが増えている点に注意。《見えざる糸》で色マナを狙うべし。
相手は遮二無二カウンターによるリソースの交換を狙って来る。初動《思考のひずみ》がこちらのリソースを最も保つ手段だ。

負け筋はヘイトパーマネントか、あるいはマナを伸ばせず《熟読》《時を越えた探索》等を全て消されるパターン。
《思考のひずみ》への《ナーセットの逆転》には要注意だが、分かっていたからと躱せるものでもないので気にしない。

総じて有利ではあるが、相手のサイドボード次第では不利に傾きうる。
メイン戦を死守することが重要。


・オムナスランプ

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in 神秘の論争1 思考のひずみ1 一瞬1
out 時を越えた探索1 タッサの神託者1 願いのフェイ1

こちらの方がややキルターンが速いものの、油断は出来ない。
メインには《神秘の論争》すら入っていないため、最大効率で勝ちを狙うべし。こちらから妨害は出来ないが相手にも無いので、積極的に《砂時計の寺臣》を出していこう。

サイド後はカウンターへの対処が必要。相手の展開手段はスペルなので、打消しの対策ついでに高速で《思考のひずみ》をブチかますのが楽。

総じて有利だが、相手にも最速4キルの可能性がある点には注意。
それ以外にも《発生の根本原理》から《減衰球》など、こちらが鈍足だと咎められることも多い。


■コンボの部

コンボ同型では速度に劣るため、厳しい戦いを強いられることになる。

・スパイ

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in 神秘の論争2
out タッサの神託者1 時を越えた探索1

速すぎて無理。
《屍呆症》を取っていればまだ可能性はある。

《遵法長、バラル》型であればキルターン的に追い縋ることも可能だが、それでも後手番を返すのは難しい。
《影の評決》は非常に重いが、素引きを狙うのは非効率的なので《願いのフェイ》から持ってくるべき。

5キルの初手はマリガンすること。絶対に間に合わない。

・ロータスコンボ

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in 神秘の論争2 思考のひずみ2
out タッサの神託者1 時を越えた探索1 願いのフェイ2

とにかく速度勝負。《樹上の草食獣》、《砂時計の寺臣》、《遵法長、バラル》による1ターンの短縮が勝負を分ける。
《神秘の論争》は《思考のひずみ》を考えてとにかく初動に投げつけること。先に《思考のひずみ》を通した方の勝ちだ。

マリガン基準について。
先手4キル > 後手4キル > ロータス舞台のある先手 > ロータス舞台のある後手 > それ以外
ということを念頭に、どこまで深くマリガンするか検討しよう。
《睡蓮の原野》+《砂時計の寺臣》なら《演劇の舞台》は不要だが、そのような例外を除けば土地コンボ2種が揃っていない手札は評価がワンランク落ちる。2枚目の《睡蓮の原野》役を探す・コピーするのに1ターン消費しては、加速した意味がないからだ。

当たり前だが先手は1ターン遅い手をキープ出来る分有利だ。この当たり前を、マリガン判断に活かそう。

・ジェスカイルーカヨーリオン

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in 神秘の論争2 一瞬1 思考のひずみ1
out タッサの神託者1 深淵への覗き込み1 時を越えた探索1

メイン勝ち、サイド後手負けて、3本目先手をとっていざ尋常に。《深淵への覗き込み》と《異形化》の速度勝負だ。

除去を残している事が多く、《砂時計の寺臣》は信用出来ない。とはいえ《覆いを裂く者、ナーセット》を殴り倒すためにも、クリーチャーを場に出さざるを得ないだろう。
カウンターをケアする余裕までは無いことが多い。

五分。どちらかと言えば相手のサイドボードや引きムラに左右されやすいマッチアップ。

■おわりに

本項で「ロータスコンボ徹底解説」は終了です。
ここまでの長文にお付き合いいただきありがとうございました。
今環境ではパイオニア王という結果を出せましたので、嬉しい思いと共に、その集大成を形にしたいという気持ちが生まれて筆を執りました。

《死の国からの脱出》禁止でびっくりするほどデッキパワーが下がったものの、環境の遅いデッキを咎めるために帰って来たこのデッキ。逆に流行ったり意識されると何も出来ないので、その辺りは今後のメタ推移に期待が必要です。

直近では《減衰球》を置かれてボコボコにされており、やはりコンボは風向き次第だなあと思う次第でした。MOでスパイがめちゃくちゃ勝ってるの面白いなあ。そういう環境では《遵法長、バラル》を多めに入れたいですね。

それではまた次の記事でお会い出来ますように。

蛇足になりますが、本稿は結構な文量になったこともあり、内容を評価していただけた方や、次回を期待していただける方からのご支援をいただけると大変助かります。
記事のご購入者様には御礼として、ボーナストラックの「パイオニア環境雑語り」をお贈りします。パイオニアのことをざっくばらんに解説しますので、興味ある方は是非ご覧ください。メタデッキ雑ランキングもありますよ!

■パイオニア環境雑語り

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