【モダン】ルビーストーム探訪記【タッチ緑型】
・編集履歴
2024/8/14 「■デッキリスト」の項目に追記(最新デッキリストなど)
■前書き
こんにちは、若みどりと申します。
普段はパイオニアばっかりやっていてモダンはたまにプレイする程度ですが、過去に【青赤ストーム】をよく回していました。
今回は、モダンシーズンに向けて【ルビーストーム】の所感をお伝えしたいと思います。
デッキパワー高めのわりに対策が簡単なので「モダンホライゾン3」発売からしばらくはメタの底に沈んでおりましたが、最近は【ナドゥコンボ】に速度勝ち可能なデッキということで注目されているのかなと。
もしや、今が「旬」?
★記事の要約
・デッキは強い
・リストが人によってバラバラ
・コントロールに弱い
・ヘイトカードに弱い、サイド後が弱い
・《火の怒りのタイタン、フレージ/Phlage, Titan of Fire's Fury》は不要
■序論
【ルビーストーム】は、モダンホライゾン3に収録された《ルビーの大メダル/Ruby Medallion》・《モンスーンの魔道士、ラル/Ral, Monsoon Mage》によって一躍メタゲームに躍り出たコンボデッキです。
そのコンボパワーは凄まじく、無干渉なら平均3キル、たまに2キルを叩き出します。
圧倒的なメイン勝率は神砂嵐の如し。
しかしながら、デッキトップのめくれに依存したコンボなのでそれなりに自爆すること、サイド後はヘイトパーマネント1枚で沈みうるなど、【ナドゥコンボ】に比べると欠点も大きいです。
結果として総合的な勝率は抑えられており、トップメタからは一歩引いた立ち位置に居ます。
モダンホライゾン3発売以降、多種多様なカードが試されていて構築の統一的なテンプレートはありません。
そのため、この記事では私の構築における模索の流れを記述していきます。
主な内容は次の通りです。
・デッキの基本的な動き
・主要なカード
・マリガン基準の検討
・私のデッキリストの変遷
・マッチアップ考察
■基本的な動き
まず、このデッキの最終的な勝利手段は「ストームを稼いで《ぶどう弾/Grapeshot》を相手プレイヤーに叩き込む」ことです。
ストームを稼ぐためには大量のマナで大量のスペルを唱えなければいけません。
ドロースペルやマナ加速スペルを唱えて更に追加のスペルを獲得し続け、ドローの内容によっては途中で失敗する(スペルの連鎖がマナフラッドなどによって停止する)こともあるため、この作業は「チェイン」と呼ばれています。
ストームを最後まで稼ぎ切る方法には、主に次の2種類があります。
①《炎の中の過去/Past in Flames》で墓地のスペルを大量に再利用する。
②《力線の神童、ラル/Ral, Leyline Prodigy》の奥義[-8]で大量のスペルを獲得する。
どちらも達成には多くのマナを必要とします。
そこでメダリオンを設置して、必要マナを軽減するというのがこのデッキのコンセプトとなります。
①メダリオンを置いて
②《レンの決意/Wrenn's Resolve》、《無謀なる衝動/Reckless Impulse》、《不可能の一瞥/Glimpse the Impossible》などでリソースを増やし、
《発熱の儀式/Pyretic Ritual》、《捨て身の儀式/Desperate Ritual》、《魔力変/Manamorphose》などでマナを増やし
③ストームが6〜8程度溜まったあたりで《力線の神童、ラル/Ral, Leyline Prodigy》の奥義や《炎の中の過去/Past in Flames》を撃ち、
④ストームが20貯まったところで《願い/Wish》で《ぶどう弾/Grapeshot》をぶつけて勝利です。
■デッキリスト ★追記有り
https://www.hareruyamtg.com/decks/806766
■個別カードについて
デッキに採用したカードや、試したものの不採用となったカードについて書いていきます。
似たような役割のカードごとに分類。
・メダリオン
《ルビーの大メダル/Ruby Medallion》
ついにモダンリーガルとなった元祖メダリオン。
これまでは軽減能力を持ったクリーチャーしかいませんでした。
アーティファクトなのでクリーチャー除去に当らず、ガンガン出していけます。
《モンスーンの魔道士、ラル/Ral, Monsoon Mage》を1マナにする動きが本当に無法。
同パック内のシナジーが強固すぎる。
赤いスペルしか軽くならないので、《自然の要求/Nature's Claim》で《減衰球/Damping Sphere》を割ろうとする際などは要注意。
《モンスーンの魔道士、ラル/Ral, Monsoon Mage》/《力線の神童、ラル/Ral, Leyline Prodigy》
メダリオン界の革命児は、マナだけでなくアドバンテージも稼ぐし除去も避ける。
インスタント・ソーサリーを6回唱えて、奥義で8枚めくったらだいたい勝ちます。
酔っぱらってる時に作った?
コイントスによるダメージは相当重いので、ライフ水準には気を使ってプレイしたいところ。
タッチカラーを使いにくい隠れた要因だと思います。
《ゴブリンの壊乱術士/Goblin Anarchomancer》
9枚目以降の選択肢ですが、緑マナが重く《ルビーの大メダル/Ruby Medallion》に軽減してもらえないのが難点。
《語りの神、ビルギ/Birgi, God of Storytelling》
不採用。4マナから出しても1マナしか残らないので仕掛けられません。
メダリオンに数えてはいけないのではないかと思います。
・マナ加速
《発熱の儀式/Pyretic Ritual》、《捨て身の儀式/Desperate Ritual》、《魔力変/Manamorphose》
固定枠。
メダリオンがあると2マナ加速だったり、1マナ加速キャントリップだったりします。
強いて言えば《捨て身の儀式/Desperate Ritual》の「連繋」能力を忘れないようにご注意。
メダリオン無し《炎の中の過去/Past in Flames》ルートなどで使用します。
場合によっては手札から見せるために敢えて1枚温存することも。
《一攫千金/Strike It Rich》
見た目より意外と強いんです。
実質的には土地枠のスペルですが、2キルに貢献しつつフラッシュバックの使用感が花マル。
使い切りの宝物トークンでリソースを失うだけ、なんてことは決してありません。
《力線の神童、ラル/Ral, Leyline Prodigy》奥義のためのスペルカウントあと一回を埋めることが多く、途中で引いた場合でも勝ちに貢献します。
細かいところでは《魔力変/Manamorphose》と同じくマナフィルターにもなるので、《僻境への脱出/Escape to the Wilds》用の緑マナもバッチリ。
メダリオンが引けない時も、宝物を溜め込んで《炎の中の過去/Past in Flames》ルートへ走るなど、まさに縁の下の力持ち。
・ドローソース
《レンの決意/Wrenn's Resolve》、《無謀なる衝動/Reckless Impulse》
2マナ2衝動的ドローという高効率ドロソですが、メダリオンがあればなんと1マナ2衝動的ドロー。
儀式1枚から2回使えるため、コンボ中はこれでガンガンデッキを掘って行きます。
土地が拾えると嬉しいので、とりあえず2ターン目に唱えることもよくあります。
この2種8枚がデッキを支えています。
《不可能の一瞥/Glimpse the Impossible》
3マナで3枚追放と、枚数効率はそれなり。
チェイン中は《ルビーの大メダル/Ruby Medallion》と《モンスーンの魔道士、ラル/Ral, Monsoon Mage》を並べることから、1マナで撃つ機会も多いです。
落とし子トークンを出す能力も、《炎の中の過去》ルートへの足掛かりとして悪くはない。
しかしながら、「このターン限定」という使用期限の短さが致命的。
せっかく出した落とし子には余った除去が飛んでくるので、活きることは極稀です。
「コンボスタート出来ないのでとりあえず撃つか」が出来ない、というのは弱すぎる。
そういう場面はメダリオンが無いから探したい、といった状況なのに何故墓地へ送ってしまうのか、使っていて耐え難いほど。
【ルビーストーム】のデッキリスト探究は、如何にしてこのカードを取り除くかという戦いの道程でした。
詳細はデッキリストの解説にて後述しますが、結論としては「4枚も0枚も良くない」です。
コンボ以外の場面では使い勝手が非常に悪いのに、コンボ中は欲しいというジレンマ。
《街道筋の強奪/Highway Robbery》
《苦しめる声/Tormenting Voice》の亜種で、「計画」を持っています。
《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》の影響下でも問題無く山札を掘れるのが大きなメリットですが、追加コストがそれなりに重いのが難点。
《電位式リレー/Galvanic Relay》
「ストーム」持ちの衝動的ドロー。
使用期間は「次のターンの間」ですので、追放したターンに使用することはできません。
【ルビーストーム】はコントロールに弱く、対抗策として頼れるサイド……と思っていたのに。
《記憶への放逐/Consign to Memory》とかいう最強カウンターが平然とサイドに4枚入っていて、全く通りません。
このせいで、青い打ち消しデッキに対して本来強いはずの「ストーム」呪文が環境的にとても使いにくくなっています。
《僻境への脱出/Escape to the Wilds》
今日のイチオシ。
5マナと書いてありますが、土地を置けるので実質4マナです。なのに5枚めくれます。
どこぞの3マナ3枚と違って、次のターンまで使用可能です。
難点は、緑マナを要求すること。これが本当に悩ましく難しい。
3〜4ターン目に唱えてから次のターンにコンボスタートする動きが非常に強力で、この一面だけで間違いなく《不可能の一瞥/Glimpse the Impossible》を上回っています。
ただし、コンボ中はやはり重すぎて取り回しが難しく、《炎の中の過去/Past in Flames》とマナを食い合うシーンも。
サイド後はこれ一枚でしばしば墓地対策を乗り越えていきます。
本当に頼れる奴だよ。
・大量リソース
《炎の中の過去/Past in Flames》
墓地のカードを再利用して莫大なアドバンテージを稼ぎます。
自身がフラッシュバックを持っている点が特に悪質。
再利用したカードによって再び墓地を蓄え、自身のフラッシュバックでコンボを継続するのが黄金パターンです。
効率は悪いですが、メダリオンが無くてもコンボスタート出来るので、一度試してみてください。
6マナ以上浮いている状態から《炎の中の過去/Past in Flames》で墓地のマナ加速を唱える、というのが定石です。
《願い/Wish》
サイドボードから状況に合わせたカードを唱えられるので、リソースを増やしたりヘイトパーマネントを退けたり、最後にはフィニッシュ手段を持って来ることが出来ます。
自身はそこそこ重く、ドロソ自体になるわけでもないので、枚数は控えめで良いと思います。
サイドから《炎の中の過去/Past in Flames》を持ってくるのは、メダリオン込みでも6マナ必要と重すぎます。
②《願い/Wish》
+③《炎の中の過去/Past in Flames》
+①マナ加速=⑥
6マナがどれぐらい重いかというと、3マナの時に手札に「メダリオン」+「儀式」2枚があっても足りないほどです。
やめておきましょう。
(③マナ→メダリオン②マナ→儀式で①マナ使って③マナ→儀式で③マナから⑤マナ)
・土地
《商業地区/Commercial District》(諜報ランド)
最強です。
暇なターンにトップを操作出来るのが有り難すぎて、初手は絶対にフェッチランドを置きたい。
ついでにフェッチを切る度ライブラリーの土地を減らせて衝動的ドローの質が微妙に良くなります。
タッチカラーの話をすると、実は3色くらいなら全然大丈夫です。
そこまでして入れたいカードが無いこと、ライフを高水準に保ちたいことが理由で2色に収まっています。
《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》
構造的にかなり相性が良いです。
2マナのカードが詰まった構築なので、後手番の1ターン目からスペルを消化していけるのは大きい。
メダリオンが置ければ2キルも見えます。
赤マナが出ないことが致命的な場面もあるので、2枚目は入れたくないかな。
《ヴァラクートの覚醒/Valakut Awakening》
MDFC(両面土地スペル)は可能な限り大量に採用したいです。
初手は土地2枚が絶対絶対絶対欲しいのですが、土地を増やしすぎると衝動的ドローや《力線の神童、ラル/Ral, Leyline Prodigy》奥義で土地をめくりすぎて死にます。
その矛盾を解消してくれるのが両面土地スペルです。
このカードはマナフラッド受けとして非常に優秀です。
《魔力変/Manamorphose》のランダムドローで溜まった手札をリフレッシュすることで、チェインの継続に貢献します。
その分土地としてはタップインが弱く、1枚に抑えています。
《髑髏砕きの一撃/Shatterskull Smashing》
火力として見ると弱いんですが、《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》に触れるカードは何枚あっても足りないんですよね。
アンタップインなので、土地としてはあまり足を引っ張らないのも嬉しいポイント。
・サイドボード
《ぶどう弾/Grapeshot》
《ぶどう弾/Grapeshot》無しで行けるか試したこともあるんですが、墓地対策や《巣穴からの総出/Empty the Warrens》対策で面倒なことになってしまい、不都合を感じてやめました。
《巣穴からの総出/Empty the Warrens》
ゴブリントークンをいっぱい出します。
墓地対策やロボトミーはこいつで躱したいところですが、《記憶への放逐/Consign to Memory》や《絶望の力/Force of Despair》が厳しく、現環境では使いにくいかも。
それでもサイド後の《炎の中の過去/Past in Flames》との入れ替え用に、枠あったら2枚目が欲しいです。
《タッサの神託者/Thassa's Oracle》
《一つの指輪/The One Ring》のプロテクションを越えるための枠。
《錬金術師の計略/Alchemist's Gambit》でもOK。
《死の国からの脱出/Underworld Breach》
サイドに《炎の中の過去/Past in Flames》を置くよりも、こちらの方が軽くて好ましいです。
サイド後は《炎の中の過去/Past in Flames》をサイドアウトしますから、メイン戦の時しか関係ないですし。
墓地の《モンスーンの魔道士、ラル/Ral, Monsoon Mage》を再利用できる点も圧倒的なメリット。
他の追随を許さないほどコンボルートを増やしてくれるので、必須カード認定させてください。
《ルビーの大メダル/Ruby Medallion》でのコスト軽減を受けられるのが特にナイス。
②《願い/Wish》
+①《死の国からの脱出/Underworld Breach》
+① マナ加速
=④
となり、素で《炎の中の過去/Past in Flames》を唱えるのと変わらないマナ数でチェインを継続出来ます。
脱出するカードに迷ったら、ひとまず《魔力変/Manamorphose》がオススメ。
何かしら墓地枚数が増えるギミックがあるわけではないため、マナもリソースも増えるスペルを連打してトップに期待するのがベターだと思います。
《夏の帳/Veil of Summer》
タッチ白型の《沈黙/Silence》に相当するカード。
ハンデスにもめっちゃ強くなるので最高!
《ラクドスの魔除け/Rakdos Charm》や《ボガートの獲物さらい/Boggart Trawler》など、対象を取る墓地追放系スペルを弾いたりも出来ます。
《自然の要求/Nature's Claim》
自分のカードを割ってライフゲインすることも極稀にあります。
《摩耗+損耗》との違いは、「融合モード」と「《虚空の杯/Chalice of the Void》X=2」。
《毒を選べ/Pick Your Poison》とどちらがよいかは不明。
私は、ヘイトパーマネントには相手の行動を縛るもの(ex.《減衰球/Damping Sphere》など)もあるので、相手エンド時に破壊できるインスタントの方が好みです。
《魂の導き手/Guide of Souls》で《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》が3/5飛行になった時は、《毒を選べ/Pick Your Poison》が死ぬほど欲しくなりました。
《削剝/Abrade》
対応範囲が非常に広く、優秀なカードです。
メダリオンで1マナになるのも便利。
《虚空の杯/Chalice of the Void》X=2で詰むので、アーティファクト破壊は、他にもマナコストの違うカードを採用しましょう。
《兄弟仲の終焉/Brotherhood's End》
【ボロスエネルギー】のクリーチャーを壊滅させたり、《三なる宝球/Trinisphere》+《虚空の杯/Chalice of the Void》の盤面をひっくり返すなど、唯一無二の仕事をしてくれます。
メタ次第では増量もあり得る。
自分のメダリオンも流してしまうのは、マナコストが軽い分のご愛嬌。
PWにもダメージが飛ぶので、《モンスーンの魔道士、ラル/Ral, Monsoon Mage》がひっくり返ったとしても地味に痛い。
ダメージモードは無いですが、メタ次第では《汚損破/Vandalblast》も中々の選択肢かと。
《血染めの月/Blood Moon》
対【ジェスカイコントロール】用に採用。
《呪文嵌め/Spell Snare》《記憶への放逐/Consign to Memory》あたりのにっくきカウンターを華麗にすり抜けるエンチャントです。
「ストーム」とかいう能力が頼りないので仕方ない。
《呪文貫き/Spell Pierce》とかいうのハメでしょ。。。ウチのシマじゃノーカンだから。
などと言っていたら、青黒系やエルドラ系にも意外と刺さってグッド。
《火の怒りのタイタン、フレージ/Phlage, Titan of Fire's Fury》
墓地対策が刺さり、《炎の中の過去/Past in Flames》とまとめて掃除されやすいのが難点。
今のモダン環境はモダホラ3に対応しきっていて、《火の怒りのタイタン、フレージ/Phlage, Titan of Fire's Fury》を脱出させた程度では勝てません。
サイドプランとしては除去1枚で終わるのが辛くて、使うのをやめました。
《一つの指輪/The One Ring》
カード単体は間違いなく最強なんですが、これも環境デッキには適応されきっていて、
《オークの弓使い/Orcish Bowmasters》
《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred, the Apocalypse》
《静牢/Static Prison》
《機能不全ダニ/Haywire Mite》
《記憶への放逐/Consign to Memory》
と、あらゆるカードに対応されてしまい、非常に使いにくいです。
さすがに最強カードだけあって、周囲の対策が手厚い。
軸がズレているようでズレておらず、没。
《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》
土地以外ならなんでも対応してくれるので、枠があったら入れたいんですよね〜。
今後【ルビーストーム】に対する警戒度が上がって来て、《耳障りな静寂》を見かけるようになったら採用すると思います。
■マリガンコラム
このデッキのマリガンに関する自分の考え方を書きます。
デッキ内のパーツを分類すると、次の5種類です。
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