第9話


奥に入ってきてる。

もうおかしくなる。

途中で仕事も元カレとの恋愛も辞めたから、こんなにも足元から狂い始めて、今ができた。

この人は私のとんでもない日常で出会った運命の人。私より3つ歳上の人。

「赤ちゃんできたらどうするの。今お金の余裕無いからゴムつけてよ」

「そん時はわしと結婚しよう」

「私のパパに挨拶できるの?」

苦笑いやめて。

2週間くらい生理がこなくて、すごくびびって妊娠検査薬をドラッグストアに買いに行ったことがある。

トイレに向かう私を彼は余裕そうに見送る。

どっちに転がっても私泣くよ??って彼に言ったら、「それはりずの黒い部分が泣けって言うてるんやろ。りずは妊娠してない。それを確認するためなんやから、心配せんでええよ」って言いながらも、本心は私と結婚したいし子供も欲しいんだ。

彼の黒い部分も私も持ってる。

人生初の妊娠検査薬キット開封式。トイレの個室でドキドキしながら検査を待った。

「あー…だよね」


陰性だったよね。
帰りの車の中、私だけが大泣きした。

この人との赤ちゃん欲しかったな。
まだお金貯まってないし、転職したばっかりだったからそんなこと絶対しちゃ自分が潰れるだけ。

わかってたけど。

私の中の真っ黒な部分が車の中に充満して、少し開けた窓から外に漏れ出してた。

彼は私の黒い部分も持ってる。

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