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『かがみの孤城』

これまで本にまったく興味を示していなかった娘が昨年自分で買ってきて読んでいた「かがみの孤城」を私も読んでみました。

Amazon.co.jp: かがみの孤城 : 辻村 深月: 本

最初の方は少しずつ読んでいたのですが、上巻の途中から話しにぐっと引き込まれ、続きが気になって止まらなくなりました。とても面白かったです。

娘は、これまで長編物の小説をほとんど読んだことがなかったので、物語に没入するという体験を、この本で初めてしたようです。

娘は本屋大賞受賞作ということでたまたま選んだそうですが、読んでみたら主人公が不登校の中学生の女の子という自分と同じ設定だったことに驚き、喜んでいました。

主人公のこころは、具体的に学校に行けなくなるできごとがあったので、恐らく娘自身とまったく同じではないのですが、学校に行かなくなると、フリースクールであっても行くのが怖くなったり、当日までは行く気持ちがあったのに、当日は本当におなかが痛くなって行けなくなったり、お母さんの態度に傷ついたり、というような心理描写がとてもリアルで、共感できたのだと思います。

思春期をとうに過ぎた50歳の私でも、若い登場人物たちの心の痛み、そしてこころの両親の心情もとても共感できました。

若い人にとって、本の良いところは、楽しい、面白いだけでなく、登場人物の心理描写を丁寧に言語化されたものを読むことで、表現を学ぶことにもあると思います。内面を的確に表す表現に触れることで、自分の感情の言語化力が高まり、それによって改めて自分の気持ちに気づくことや、他者にうまく伝える力にも繋がることだと思います。

この一冊だけでそこまで力がつくわけではないでしょうけど、私は読書にはとても良いことがあると思っているので、娘が読書に面白さを見出してくれたら良いなと思います。

「かがみの孤城」はミステリーとしてもとても読みごたえがあり、最後は予想できない展開で、驚くとともに感動しました。

辻村深月さんの作品をもっと読んでみたいと思います。


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