オカルト麻雀対戦記 vol4 第14期令昭位楢原和人プロ対局編

2022年11月16日水曜日。RMUの最高峰タイトル、令昭位になられた楢原和人プロと相まみえるために、春日にある、麻雀エースへ。
(Mリーグルール、時間打ち切り有り)

楢原プロは、たしか、今季初めてAリーグに入って、そのままタイトル奪取を達成したはず。新、現、令昭位様。
今現在、3000名前後いらっしゃる麻雀プロ。その中で、個人的な思いでは、個人的な念では、今、1番手合わせを願いたい麻雀プロと言っても過言ではないかもしれない。
僕がRMUに2ヶ月間だけ在籍した時に、参加していたナイトリーグで、お姿だけはお見受けした事がちらほらあったんだけど、その時には同卓は叶わなかった。なので、今日が初対戦。同卓の運命の妙っていうやつも、不思議なもんだよなあ、、、。

対局開始の17時の、15分前に到着。お客が誰もいない。僕だけ。
おいおいこれどうなってんだよ? 現令昭位がゲストで、対局できるんだぞ。俺1人ってどういうことだよ。大丈夫かな、これ。
ただやはりそこは心配ご無用。ほどなくして、続々、色んな団体のプロやアマチュアの猛者たちが終結。

うお~~、麻雀プロがいっぱい、テンション上がる~。

初回から、2卓開催となる。

1半荘目は楢原プロとは同卓出来なかった。そのかわりお店で発行されている同卓券を使って、2半荘目は対戦確定。そして、1半荘目から、とても豪華な、贅沢な顔ぶれの戦いとなる。

対面の起家に、スタッフの龍次さん。アマチュアの強豪である。いつもエースでは対戦することが多く、よく、対局後の感想戦などで麻雀を教えてもらっている。
そして上家である南家に、プロ連盟の、浜野太陽プロ。風林火山オーディション準決勝まで勝ち上がった、激つよプロ。技巧派。過去に1度対戦経験あり。その時は大トップを獲得されてしまった。リベンジを、したい。
そして西家に、僕。(オカルト)
そして下家の北家には、まーすた王子店の店長をされている、RMUの狩野哲郎プロ。いつも王子店に行く際はお世話になっていて、胸を借りている。対戦成績は、負け越し中。RMUの強豪。っていうか、RMUのプロで対戦して弱かった人いない。みんな、気迫が凄い。笑

麻雀の神様が見ていたら、きっとこう思うだろうな、、。

“櫛引祐二よ、、こんな素晴らしい面子と相まみえることが出来る、、いつまで経っても、お前が東京から離れられない訳よのぉ、、”
と。

(みなさん、VIP会員になればお店に行く度に同卓券貰えますし、春日の麻雀エース、是非おすすめです!)  宣伝かい!


ああ、ヒリつく、、!
東1局 0本場 西家 ドラ⑧ピン
配牌、、

  南24779s三八萬⑤⑥⑦⑦⑧ピン

支配筋は、、きっと、258(リャンウ-パー)。いや、この支配筋258は、、直接あがり牌にならない。違う! 地中深く潜って、直接には結び付かない! なんか違う。感じる! 258があがれる気がしない。レアな、死に筋の状態か? じゃあ、どうなるんだ? 分からないけどやるしかない。そして、俺のこの手も、成就しないんじゃないかな、、、?

何巡経っても、この手牌の肝である、ピンズの形が全くウンともスンとも動かない。中盤に③ピンを1枚持ってきただけ。払った24ソウは、だいぶあとに3ソウを持ってきて面子逃し。二萬持ってきての一四萬の受け入れは、最後まで埋まらず。聴牌気配の親の龍次さんと、太陽プロを警戒しつつの進行。そしてなんと、終局間際の2~3巡に、ピンズの上が大量に押し寄せてくる始末。
僕は、ノーテンで終局。

龍次さんが、タンヤオ赤ドラ1の、間⑦ピン聴牌。
太陽プロが平和赤の47ソウ聴牌。
狩野プロはノーテンだった。

う、ん、あがりはちょっと厳しかったけど、聴牌までは上手くすればいけたか。にしても、これ、この半荘、これからどうなるんだ? 死に筋258を感じながらの、一つ頭を下げた、あがり易いであろうはずの、147聴牌の方たちの、あがれずの流局。こういう時は字牌か? 字牌からの、どこかの色か? ちょっと結局、よく分からない。この、どうしても勝ち切りたい半荘で、こういう時に限って、麻雀の神様ぁ、むっずかしい局面を、用意して来るぜぇ!!

“ワクワク、ワクワク、ワクワク、ドクン、ドクン、ドクン、”

東1局 1本場 
太陽プロが、早々に発を仕掛ける。そして、そのあとの捨て牌の怖いこと!! 
明らかな萬子のホンイツで、しばらくして、北、北と、続けざまではなく、離して対子落としして、しまいには、五萬、六萬と、手から溢れてきた。僕は、北が切られる前から、④、⑤ピン、4、5ソウと、自身の手牌の両面を落としていった。もちろんそんな僕の手牌には、白と中が1枚づつあった。

「ツモ!」

太陽プロの手牌が倒された。

白白白中中二三四五六萬  発発発ポン

四萬でツモ。小三元、ホンイツ。本場入れて3100、6100の跳マンのツモあがり。敢えて、大三元には受けずに、みんなが対応して字牌が出て来ないのを見越しての、三面張のツモあがり。お見事。太陽プロはその後の東2局の親番でも、一人テンパイ流局を挟んだ後、2600は2700オールの加点をする。

ちょっと強いんですけど! 笑 俺とやる時以外もずっとこうなのかなあ、太陽プロ。笑
うん、ちょっとまいったなこりゃ、、、。

続く東2局2本場、ドラは六萬。
今度は狩野プロから、4巡目リーチが入る。

はっはっはっ! なんか笑けてきたわ!(壊)まあ今の支配筋的に、萬子かピンズの147だろう。(テキトー)
しばらくしても、あがれずの狩野プロ。ひょっとして愚形か? 今度はまたまた怖ぁ~い親の太陽プロからの、追っかけリーチが飛んでくる! 
まずいまずいまずいまずい! 試合が決まりかねない体勢、感覚。頼む狩野プロ、なんでも良いからあがって!! 倍満ツモまでなら許す! 出来たら、太陽プロから直撃で!

全員が、全員への、バッチバチ感。仲も悪い訳じゃないのに(たぶん)、会話も全くない。最高の、環境。バッチバチのバッチバチ!!

「──ツモっ!」

北北一一四五六萬⑦⑧⑨ピン678s

オタ風の北と、一萬のシャンポン待ち。狩野プロが、一萬をツモってのあがり。リーチ、ツモ、ドラ1。裏ドラ乗らず。1000、2000は、1200、2200のあがり。太陽プロのリーチ棒もゲット。狩野プロが、20000点台復帰の2着目に。

北か、、やはり、掴んでいたか、そりゃあ、この巡目だもんな、掴むもんは、掴むよな。まあでも、、ナイスぅ! 狩野プロ、最高。よく太陽プロの親を落としてくれた。
続いて東3局、僕の親番。ドラは八萬。今度は戦えそうな手牌が入る。
しばらくして、選択を迫られた。


二二五五六八萬223457s⑤⑥ピン

五萬の1枚は赤牌です。5ソウは赤牌です。


1枚、切らなければならない。
赤赤ドラで、タンヤオの満貫が見える。先ほどから、確実に支配筋は147。147でのあがりが続いている。しかし、しかし、⑦ピンが場に3枚出ていて、先ほど明らかに、狩野プロが手牌の中で、④ピンと⑦ピンを入れ替えた上で、3枚目の⑦ピンを場に放っていた。④⑦ピンにこの手の未来を託していいのだろうか? そして、もう一つの④⑦ピン受けのデメリットは、上家からしか鳴けないこと。チーしか出来ないのである。その点、二萬や五萬や2ソウは、3人誰からも鳴ける。最終的に、萬子の間七萬や、どこか低目の筋に構えることが出来れば、もう何枚残っているか分からない④⑦ピン受けを残す理由は無い。そしてまあ、色は、萬子が強い! ドラ表示牌である七萬が、まだ場には姿を見せていないことも、大きい。

小考して、打⑤ピン! ⑤、⑥ピン外し!!
櫛引祐二、まさかの、そこそこのデジタル思考、いや、デジタルとオカルトの融合思考からの、判断! (何を言うとんねん)

この判断がすぐさま功を奏す。すぐに五萬を暗刻にして、今はまだ押し気味だった太陽プロから、2ソウをポンできて、聴牌!

二二五五五六八萬345s  222ポン

間七萬の、親満貫のテンパイ。
テンパイ、バレたか? かなり場が張り詰めたが、、。
数巡後、相当に悩んだ対面の龍次さんから、七萬が出て僕のあがり。28000点台の2着目に浮上。
ノリノリで迎えた親の1本場、ドラは白。
この局、また、どうやら、太陽プロの様子がおかしい。

ソウズの染めかな? それとも、特殊役かな? と思われる捨て牌のなか、7巡目に、4ソウを切ってから、ずっとずっと、ツモ切りが続いている。受けのことを考え摸打し始め、12巡目に生牌の発を掴んで、僕は完全に自分の手を壊した。次巡、太陽プロから声が上がった。
「ツモっ!」

南南南白白発発③④⑤ピン234s

発をツモって、ツモ、発、ドラドラの、本場を入れて、2100、4100のあがり。太陽プロの持ち点がついに50000点を超える。


 (支配筋と巡目の連動性、関係について)
僕は麻雀において、支配筋と巡目にも密接な関係があると推察しています。
      1 2 3 4 5 6
                        7 8 9   10  11  12
        13  14  15  16  17  18  巡目
巡目を6区切りでざっと並べてみました。
例えば仮に、支配筋だなと感じているのが、イースーチー(147)だとします。となると、自分や他の誰かがあがるのが、1、7、13、4、10、16巡目あたりに集中します(だいたい、ピッタシ)。258なら、次の列に沿って考える。これを、攻撃にも守備にも当てはめて考えてみるのです。

今のこの支配筋で、この巡目までにテンパイしない、あがれないのはおかしい。次のツモは、あっ、誰かの当たり牌なんだな、とか。攻めの場合は、よし、この巡目までは待ってみよう、そこまでにあがれなかったら、一発ツモ狙いプラス、押さえ込みリーチだ、あ、出た、ロン! とか。
本当に、一度騙されたと思って、注視してみるといいですよ。当たる時はこれ、面白いくらいピッタシ符号してみられます、ずっと。

あなたもビタ止めや一発ツモマスターになれるかも? 笑 ビタ止めはあまり僕の雀風では無いですが。笑

麻雀は、麻雀には、その巡目に、なんの牌を持ってくるか、その巡目だからこそ、訪れた牌、牌そのものに、刻まれたメッセージ、、

麻雀は、巡目にすら何かきっと深い意味がある。と、僕は真剣に考えています。
         櫛引 “オカルト” 祐二

対局に戻ります。


この野郎。笑 こちとら、気付いてはいたんだが、あくまでダマテンかあ。ダマテンで少しでも出あがり率を上げる。しかしまあ太陽プロ、字牌を飼い慣らしていやがる。特に白と発! 笑 うわっ、失礼だからちゃんと見てはないけど、太陽プロ、良い表情してる。男の、勝負、引き締まった顔。イケメンが更にイケメンに。っていうかみんながみんな、とんでもなく良いオーラを出している!!え、みんな、そんなに負けたくない? 笑
そうだよなあ、俺だって負けたくない。

ああ、、、みんな、みんな、麻雀が大好きなんだなあ、、。


続いて東4局、狩野プロの親番。ドラは、六萬。全体的に速度を欠く、非常に重たい局となった。終盤に、やっと仕上げた、といったような、親の狩野プロのリーチが入る。
僕は、ギリギリ、自分が間に合っているかも、と感じていた。そして、リーチ後一発目に切られた狩野プロの現物の7ソウをチーして、この聴牌形になった。

三三三六六萬③④⑤ピン56s  567チー

タンヤオドラドラの3900点。47ソウは、僕のチーも含めてもう場に4枚見えている。親の現物ではあるが、そこはさすがに太陽プロや龍次さん。僕の二度受けを当然警戒しているようにうかがえた。
親のリーチに、通っていない牌を押していく。⑦ピン、一萬、③ピン、⑥ピン、
自分で正気の沙汰じゃないと思う。誰か早く47ソウ切ってくれ! 正直、この時何を持ってきたら止めかなと、ちゃんと考えられていなかった。狩野プロは萬子のどれかかな? くらいの感覚。
ハイテイ前、テンパイ取り切れたと思って、続けざまに持ってきた⑥ピンを切った瞬間、まさかの、

「ポンッ!!」

太陽プロがポン、僕にハイテイを回して降りてもらうプラス、自分もテンパイ取り切ろうプラス、もちろん1番重要な親のハイテイ消し作戦ポンで、最後に放たれたのが、

7ソウ!
「ロン!」

点数は安いが、一応トップ目からの直取り。
点差を縮めて、鬼のような濃度だった東場が終了。南場へ。

南1局 ドラ五萬 僕は西家。

僕に、鬼手が入る。追撃の手を緩めるつもりの無い僕は、親の龍次さんの第1打の北を、
「ポン!」
そして数巡内に、ポン! ポン! として、この形になる。

 78s南白  西西西ポン 中中中ポン 
       北北北ポン

ターツは、⑥⑦ピンを払ってソウズを残した。チャンタが見えるし、先ほどソウズでのあがりとなったから。白が場に3枚見えとなり、持ってきた発と入れ替えたりする。う~ん、残りの字牌が定まらずに、まだカチャカチャする態。僕が鳴きやすい、色んな攻めの着地があるタイプ、と、もうみんな理解しているので、まあ先に今の内にと、これでもかと字牌を処理してくる。笑 途中、トップ目の太陽プロから、生牌の東が、バシッと。テンパイじゃない可能性が充分にあると読まれている。実際テンパイじゃないし。その内、発まで場に3枚見えとなる。このまま、テンパイの振りをしたまま時が経ち、14巡目、持ってきた六萬をそのまま放ったら、太陽プロから声が上がった。

「ロン、、、」

 
 234456s⑤⑤ピン四四五五六萬

5ソウは赤牌です。五萬の1枚は赤牌です。

タンヤオ、平和、イーペーコー、赤赤、ドラドラ。12000点の放銃。
僕の体温が、8度上昇する。

うん、この巡目までにあがれなかったら、この巡目に、萬子の何かを持ってきたら、と、準備できて予見していなかった僕の負けだ。
アッチイ! アッチイ! 
あるあるなんだよな、迫力のある仕掛けをして、場を制圧した気になっていたら、本手を入れている人に打ちとられるって、あるあるなんだよな。ましてや今回は太陽プロが東まで切って来てヒントあったのに。アッチイ!

この六萬を止められたら、たとえ何着でも、櫛引祐二、人生ベストバウトを更新か、ノミネートか、くらいの濃い半荘だったから、クソうッ! もう駄目だ思考停止。なんも考えられない! 考えない!

南2局に入って、スタッフから、この局が最終局を伝えられる。
太陽プロ、60000点超えのトップ。
2着目に、19200点持ちの、狩野プロ。
3着目に僕、16300点持ち。

思考停止のまま、中盤に、このリーチを入れる。というか、してしまった、、!

 六六六七八萬③③④④⑤⑤⑥⑦ピン

⑤ピンの1枚は赤牌です。

高目イーペーコーもある、②⑤⑧ピン待ち。リーチをしてから気付いた。ダマテンで3900点どうやってもあるし、高目なら満貫。どうやっても狩野プロの2着目はまくるし、ウマを合わせてプラス圏内20000点も超えるし、これは、これは、100%ダマ! リーチ棒を出したことによって、僕の1人テンパイじゃなければ、逆に狩野プロをまくれなくなってしまった。

・・何をやってんだ・・・

3面張だからといって、これは、得意のアヤのことまですっかり抜け落ちてしまっている。先ほどの太陽プロのあがりは、三六萬。

リーチ後に持ってきた牌で、六九萬⑦ピンの変則待ちでもあがれていたし、六九萬③⑥ピン待ちでもあがれていたし、フリテン上等の純粋な、ただの③⑥ピン待ちでも、イーペーコーの形であがれていた。

、、、駄目だ、こりゃあ、、、。


本当に運良く僕の1人テンパイで半荘終了。
終わってすぐに、
「つーかこれ絶対リーチ要らないじゃん!」の、僕の一言で、ようやく4人全員が歓笑。ドッと、雰囲気がほどけた。


不思議と、後悔はなかった。
(いや、しろよ笑)
自分がまだまだ弱くて、他の3人が強かっただけの話。素晴らしかっただけの話。特に、太陽プロが強かった。あの六萬を、本当に何の無理もなくナチュラルに、当然全部見えてますけど、と、止められるようになるまで、俺は強くなる。あがり逃しも、しないようになる。あの時ソウズじゃなくてピンズに受けていたら、あがれたかもしれない。出来るようになるまで、いっぱい経験する。試行錯誤する。攻守ともに、ロジックを突き詰める。

次の半荘までの休憩中、太陽プロが話かけてきた。
「どうします櫛引さん、何か、新しい飲み物お持ちしますか?」
「、、じゃあ、ジンジャーエールを」

あ、そうか、太陽プロも、今日、スタッフとして参加してるんだ。
太陽プロの顔は、先ほどの対局の充足感に満ちていた。きっと、物凄い充足感。太陽プロにとっても、結構、会心の出来だっただろうな。まあ、あれだけ良い牌が寄ってきたら、プロとして、勝ち切らなきゃな、ってとこだろうか。
次やる時は、、負けませんよっ!


ほどなくして、いよいよ2半荘目。令昭位、楢原和人プロとの対局。
掴み取りの結果、僕が南家で、楢原プロが、対面の、北家スタートとなることに。

なんか、初めて向かい合うけど、楢原さんって、優しそうで、誠実そうな人だな。キャッチフレーズは、たしか、怪物とかって言われてたけど。笑

麻雀の強さの1番の根幹を成すものは、切り替え力、マインドの切り替えの上手さかもしれない、、、。

始まる。
東1局 0本場 南家 ドラ 東

支配筋は147。今回は100%。わかりやすい。
でも俺の手牌構成だと、、ふっふっ。

3巡目に、東家の方が、ドラの東を早速捨てる。これをすかさず楢原プロが、ポン!!

おいおい、親さん、もうそんな段階か? 令昭位様に満貫確定をプレゼントさせちゃったよ。どうする俺の手かわすの間に合うか? 

この時の僕の手牌は、割と好配牌で、ともすればタンピンイーペーなどに仕上がりそうな様相なのだが、今この局を支配している筋は明らかに147。なのに受け入れが、三六萬や36ソウなのだ。そう、これこそが、埋まらない両面、仕上がらない好配牌の正体なのだ。なら、どうして行けばいいか? そう、縦に受けることを怖がらず、まずは打点のこだわりから己を解き放つことなのだ。

「ポン!」
「チィー!!」

・・見える・・・
すかさず僕の手牌が場面に追いついた。

  四四五五萬555s  ③④⑤チー 444ポン

5ソウの1枚は赤牌です。


1ソウ、2ソウを払って、すかさず、4ソウのポン。⑤ピンをチーしたあと、最後に赤5ソウをツモって聴牌を入れたことに、僕は、確かな手応えを感じていた。
楢原プロのドラのポン、僕のポンチー2つの鳴き。足して3フーロ。支配筋は変化する。147から、258へ。なら、僕が、あがりとなるならば、、、

すぐ次巡、楢原プロから、五萬が放たれた。
「ロン」
タンヤオ赤1、2000点の収入。
八巡目でのあがり。

自分の目からは、完璧なあがり。
支配筋を確実に読んだ上で、自分の手牌構成と照らし合わせ、3、6受け面前高打点になんなら1打目から見切りをつけていて、だからこそ、鳴いていき、場の状況変化も合算して考慮した上で、当たりを付けていた牌で最速に打ち取る。

見る人によっては、僕の闘牌を不思議に思うかもしれない。なんだこのオジサン、いくら早い段階でドラポンされたからって、あの手を鳴きタンヤオ赤1で済ますか? こんなあがりで満足なのかな? こんなリード、すぐにまくられちゃうんじゃないかな、と。
でも、確かにそういう考え方も、立派な麻雀ロジックの一つである。


ふうっ、、!
たぶん楢原プロは、イーシャンテンか、愚形テンパイ。五萬は手牌にどうやっても要らない浮き牌だっただろう。(勝手な読み)

さあ、たった2000点のリードだけど、されど2000点のリード。これがこのあとどのようなドラマを生む半荘になるのか。そしてどうやら、この半荘、俺はだいぶ見えていますよ。さあさあさあさあっ!! 令昭位、狩りへ、待ったなし! 楢原さん、お覚悟ぉ!!

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