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太平洋序曲@ロンドン

ロンドンの『太平洋序曲』。劇場空間は日本の小劇場に近く、役者さんも熱演で、劇場も満員。私含めて、観客の方の年齢層は高めであったが、欧米「列強」に迫られた幕末から明治にかけての日本の懸命な対応が、よく表現された演出で感銘をうけた。スタンディングオベーションも。このタイミングで、翌日は、チャーチルワ―ルームを見学し、平田オリザさんの『ヤルタ会談』に感動して以来、チャーチルにはあまりいい印象をもっていなかったものの、遺品(特にガタイの大きな衣類)から伝わる圧倒的な押し出しと、オーラ、子供時代は問題児とされ、政治家時代の紆余曲折もありつつ、演説動画、著作から伝わる賢さに、こ、これは負けるわ……と。ドイツやばすぎ(ホロコーストという言い訳きかない蛮行からすれば仕方ないと思うが、イギリスの戦史博物館におけるドイツ情報は基本、これ。ただ、近年の特展では見直し姿勢もあったが…)、イギリスあぶない、アメリカさんヘルプ、と思っていたら、パールハーバーとか(イギリス視点のパールハーバー解説に日本人としては微妙な思いに…)。話がそれたが、『太平洋序曲』。アジア人の役柄は、英語圏では中国系の方がつとめられることも多いなか、『太平洋序曲』は、戯画化された日本像をあえて日本人役者さんたちが熱演し、しかも流暢な英語で、ただのオリエンタリズムではない、グローバリズムが抱える問題点というこの作品のメッセージと、歴史の必然を、イギリス上演の日本人キャストだからこそ、理解できた気がする。『太平洋序曲』がめぐりめぐって『太平洋戦争』につながるとは、ときのショーグンさまも想像されなかったでありましょう。欧州人キャストが、黒船はじめ「列強」(これも戯画化されている)を演じる姿にも、説得力があった。イギリスデビューの大野さんはじめ、残りの公演も、みなさん、お体を大切にがんばられてください!応援しております。

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