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010 公的年金制度ってお得?損?

20年ほど前から(いや、もっと前から)、「年金」というキーワードを出せばテレビの視聴率が取れ、雑誌や本はたくさん売れる時期がありました。それだけ、日本が高齢化してきたという時代背景もありますが、2世代、3世代の家族が一緒に暮らすことが無くなり、生活・生計の維持が専ら「年金」に頼ることになったことも原因かと思われます。

年金支給額は年間で約55兆円と言われていますが、国の税収とそれほど変わらない程度のお金が全国にばらまかれています(行き渡っています)。

さて、公的年金制度はお得なのでしょうか?それとも損なのでしょうか?
「持ち家と賃貸」、「新車と中古車」の比較と同様、前提条件によって結果が変わる場合はありますが、一人親方的に見れば「概ねお得」と考えていいでしょう。

理由は、3つ。
① 平均的に長生きすれば元を取る(84歳が分岐点)
会社員の場合で見てみます。
生涯年収2億円のサラリーマンの場合、支払う保険料は3660万円
保険料=生涯年収✖保険料率
   =2億円✖18.3%
   =3660万円
65歳からもらえる年金額は190万円
老齢基礎年金=80万円
老齢厚生年金=2億円✖5.5/1000
      =110万円
老齢基礎年金+老齢厚生年金=190万円

保険料÷年金額=19.26
つまり、65歳から年金を受取りだした場合、65+19年=84歳以上長生きすると支払った保険料分は取り返した計算になります。

② 公的年金制度には「特約」がついている
年金制度は「老齢」だけじゃありません。「障害」や「死亡」についても給付が行われる場合があります。
脳梗塞で半身不随になった、精神疾患で仕事ができなくなった、交通事故で寝たきりになった、、、、病気やケガで働けなくなる可能性は誰にでもあります。また、いつそうなるかは分かりません。働けなくなれば、収入が無くなります。その所得補償をするために障害年金制度があります。
また、年金制度の加入者が死亡した場合にも「遺族年金」という制度があります。
これらの特約(法律では「特約」とは言っていませんが)は、民間の私的年金保険にはありません。
以前、「年金制度は早死にしたら損するからいい制度ではない!」と怒っているおばあちゃん、、いや、高齢女性がいましたが、その方、なんと、30年以上前に亡くなった夫の遺族年金をずーっともらい続けていました。今後ももらい続けます。年金的にはかなりお得な人生です。

③ インフレ等にも対応します。
平成に入ってからほとんど物価が変わっていないので、忘れているか、そもそも知らない国民が多いと思いますが、50年以上前の日本はものすごく物価や賃金が上がっていました。
物価が上がると、お金の価値は相対的に下がります。
今まで1,000円で買えていたものが10,000円になった場合、年金額が今までと同じ額であればたちまち生活に困窮します。
マクロ経済スライドという名前だけはカッコイイけど、中身は年金を増やさせない制度が設けられましたが、それでもなお、物価が上がり続けたら、公的年金額はそれに合わせて変更されます。

今のところ、公的年金のオルタナティブとなる制度は見当たりません。
せっかく国がプライムな金融商品である公的年金制度を提供してくれているのだから、上手に活用する方が賢明でしょう。

となんだかんだ、公的年金制度の良いことばかりを言いましたが、次回は公的年金制度の悪口を書いてみます。


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