人生に負けた感?
白血病と宣告を受けてから、やたらと有名人がカミングアウトするニュースが目に入ります。それだけじゃない。Facebookでもカミングアウトする人もわりと多い。このnoteでも。白血病は目にすること少なくて、多くは腎臓がん、大腸がん、乳がんなど「切除すればなんとかなる」という世間の認知を受けているがん患者の方々のように思う。
白血病はさすがに「不治の病」の印象が強いから少ないのかな?
すい臓がんもわりと少ない。余命が短いだからでしょうか。
宣告を受けてから、わがきょうだいや仕事関係先には病名をわりと早めに伝えました。直接、迷惑をかけたりするからです。
ほとんど、一瞬の「間」があります。オンラインなら顔が凍りついて言葉を失っているのが伝わってきます。
そりゃそうでしょう。立場が違えば、ワタシだってそうなるに決まっています。「がんばってください」と伝えるのが関の山だったり。
ふだん、妻さんから空気が読めないとよくお叱りを受けます。そんなワタシでも深刻になっている空気は読み取れますから、「こりゃ、マズイな」と察して、深刻ぶるのではなくて、あえて明るく振舞ってしまいます。
それが先方には「ムリしてんじゃない?」と映っているのがわかります。
なにせオンラインの画像のワタシの見た目。頭髪がなくなったことを隠す帽子をかぶり、どう見たって痩せているからですね、はい。
だからカミングアウトすると「どのように見られるか」は大概の予想がついていました。ここなんですよね、ワタシがこだわっていたのは。
自分の知らないところで噂され?「○○さん、もう人生アウトだね」と決めつけられてしまうのだけは嫌だ、と思う自分がいるわけです、なぜか。
年末になんとか一時帰宅をゲットして自宅でくつろいでいるときに、フト、素直な自分があらわれたんですね。
「オレは負け組と思われたくない自分がいるからじゃないか?」
ここ数年、人生100年時代が謳歌され、100歳が当たり前の風潮があります。「長命=成功者」という社会的イメージが、いつの間にかワタシを追いつめていることに気がついたんです。
これがこれが「心のモヤモヤ感」の病巣なんだ・・・。
こう思うのにも「男性あるあるの性差」が影響しています。
とかくオトコは面倒くさい生きものです。原因は「張り合う性」にあるとのこと。つまり「勝ち負け」をいつもどこか意識しているんですね。
子どもの頃なら「成績・駆けっこ・人気度」で比べ合い、中年期になると「年収・肩書・部下の数」に様変り。同窓会での名刺ジャンケンはその最たるものだ、と思います。
定年越えの高齢者だって似たようなもの。「出世ゴール(人生すごろくの上がり)・財産・健康度」で張り合っています。せめて健康度では「負けたくない」とワタシもジムやランに精を出してきました。
挙句がこうか・・・と実は後悔しているのに、本音は言いたくない。
ああ自分が面倒くさいなぁ。
健康高齢者から転げ落ちてしまった自分を「惨め」とどこかで思っているんですよね。それに気がついたのも妻さんのアドバイスでした。
「そんな風に考えるのをやめたら?それって女性にはわかんないな~」
妻さんに一笑に付されてしまいました。
ムカッとしました。でも、やめる?こんな考え方を・・・?
実はこのひと言でモヤモヤ感がスッとはがれ落ちたんですよね。
「そっか、張り合うことから降りればいいんだ」
「負けた感」な自分から卒業するには、競い合うことから降りればいい。
たとえ負けてても、いいじゃないか。
弱くってもいいじゃないか
そう思えると心のハードルは消えていました。
一週間後、Facebookに病名をカミングアウトしました。
約2カ月間、かかっちまいました。
※カミングアウトするのが「正義」や「善」「勇気」だとは思いません。それぞれいろいろあっていいし、「しない強さ」も私はすごいと思います。
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