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「大きくなんなよ」〜子熊と爺ちゃんの物語④

爺ちゃんは、以前、家で飼っていた犬と同じようにトイレの躾をしてみた。

何度も何度も
失敗ばかり。

そりゃ仕方ない。

でも、爺ちゃんは大きな声で叱る事は、なかった。

「大丈夫、大丈夫、覚えるさ」

と笑い、毎日続けた。

上手く出来たら
一さじ、ハチミツがもらえた。

3ヶ月すると
ようやく、決められた場所で出来るようになった。

一度も失敗しなかった日には

「賢い、賢い」爺ちゃんが頭をなでて褒めてくれて、ハチミツを2さじもらえた。

ある日、爺ちゃんは
子熊に、婆ちゃんのブラウスを着せてみた。

秋田犬くらいになった子熊に、なぜかぴったりだった。

「お、似合う似合う、

なぁ、母さん」

婆ちゃんも
まさか自分の花柄ブラウスを
熊が着るとは思わなかっただろう。

爺ちゃんは、久しぶりに声を出して笑った。

笑い続ける、じいちゃん

涙まで出てきた。

ここは山のそのまた奥

笑い声がひびいていた。

ブラウス姿の子熊は
丸い目で、じーっと見ていた。

つづく

アレルギーっ子が主人公の絵本を出版し、それを全国の園児や低学年のお友達に読み聞かせをしたいという夢があります。頂いたサポートは、それに使わせて頂きたいと思います。よろしくお願いします。