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1999年8月17日(火)

【南地区レストラン:諸岡 和隆・宮代 隆博・嵐 一朗・辻井 冬実・根木 真季子・若本 尚人】
「あー美味しかった」
「奢りだと気持ち的に余計美味しいよね」
 ランチを食べ終えた後で発した辻井 冬美の言葉を聞いて、根木 真季子も感想を口にした。ここはお昼過ぎの『南地区レストラン』。冒険者や職員たちがたくさん訪れて美味しい食事を楽しんでいる。もののけ姫部隊のメンバーも一緒にランチを食し、ほとんど食べ終わっている状況だ。もののけ姫部隊は本日の午前中は第一迷宮地下5階を探索しており、ボスであるどさんぴん戦を行っていた。先週までに諸岡はクリアしていたので、宮代 隆博と嵐 一朗が順番に戦っていたが、宮代が3回目、嵐が4回目のカエルの彫像移動でどさんぴんが戦わなくなったので、これで無事に地下5階をクリアということになったのである。そこで地下5階クリアを祝して、隊長の諸岡が今日のランチを奢ることと相成ったのだ。
「何だかんだでここのランチは量もあって美味い」
「大盛りにすればちょうどお腹いっぱいになるよな」
 ランチの美味しさと量について宮代が口にし、それに若本 尚人も言葉を続けた。『南地区レストラン』は利用客のほとんどが冒険者職員か冒険者となるので、ランチの量については通常だと一般的なランチの量であり、これは職員や女性冒険者向けの量となる。そして男性冒険者用には大盛りがあり、これは普通の大盛りよりもかなり多めの量が出てくるのである。なので、よほどの大食漢であれば足りなく感じることもあるかもしれないが、普通の冒険者であればこれで十分なのである。ちなみに辻井と根木は女性であるが、大盛りをぺろっと完食している。
「ねえねえ諸岡くん。デザート食べていい?」
「パフェ食べたい」
「まだ食うんすか。まあいいっすけど」
 ある程度の満腹感を感じてコーヒーを飲んでいた諸岡に辻井と根木がデザートを注文すると言って来た。正直自分はランチ大盛りでお腹いっぱいであり、もう何も食べる気はしない。だが甘いものは別腹という言葉もあるので、まだ食べれるということなのだろう。この後、しばらくして通常より大きめのパフェが2つ運ばれてくる。そしてそれを美味しそうに食べている辻井と根木を見て、思わずため息が漏れる諸岡であった。

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