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1996年4月4日(木)《BN》

【新迷宮:湘南爆走隊】
「あ、何か久しぶりに、良さげな収納がありますよ~」
 新迷宮1階で遭遇した亜獣を殲滅した後、部屋を探索していた罠解除士の沖本 蓮香が、嬉しそうに部屋の隅へと脚を進めた。明らかに大きめの収納にはもちろん罠が仕掛けてあるのだが、自分の力量で解除できることが一見してわかるほどの罠ということをすでに認識している。
「さてさて、罠解除・・・・・・・・・・・・完了!じゃあ布川君お願い~」
「了解!おまかせあれ!」
 収納に近づき、布川 和人がふたを豪快に開ける。中にはいろいろな物が入っているようなので、一旦すべてを宝箱から出すことにした。
「まず、武器が両手剣1本と片手剣が2本。プレートメールが1つと盾が2つ。あとは良くわからないアクセサリーが4つほどあるね」
 隊長の桜庭 敦子がすべてのアイテムを確認する。まず両手剣は特に変わったところは見られず、一般的な両手剣のようだ。片手剣は1本はかなりの魔力がこめられているらしく、とても軽く切れ味も相当に良さそうである。そしてもう1本は普通の片手剣と使い心地は変わらないようだが、何かしらの秘められた魔力があるように感じる。プレートメールは一般的なものよりは軽くて丈夫のようだ。盾は非常に大きい盾は何やら禍々しい魔力がこめられているようで、通常の大きさの盾は、少しだけ軽い感じがする。アクセサリーに関しては、どのような効果を持っているかはここでは判断がつかないので、地上に帰ってから鑑定士に頼むこととなる。
「じゃあ、分配します。まず私がこの片手剣と、プレートメールをもらって、裕美がもう片方の片手剣と、普通サイズの盾。蓮香と可南子と高松君はアクセサリで、残りが布川君で良い?」
「はんたーい、はんたーい!」
 この提案を聞いて、平山 裕美、沖本、島 可南子と高松 準也はある程度納得顔で了承したが、布川だけがまるで予算配分がなく、海軍大臣のチップをもらったかのような状況なので、急進主義者のように右手を上に挙げ反対と叫ぶのであった。

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