見出し画像

1999年4月27日(火)

【熊大第3迷宮:ウィンドウズは98部隊】
「特に変わった作りではなさそうだな」
 マッピング用紙に記入をしながら坪田 晃平が言葉を漏らす。ここは熊大第3迷宮。ウィンドウズは98部隊は本日も地下2階を訪れて探索を実施している。現在階段から降りて南西部分の探索を行っており、このエリアの探索はある程度終わったようである。マップに関しては18期で探索を行っている部隊が一応作成しているので、本来であればそれを利用することでわざわざマッピング作業を行う必要がない。だが、この部隊は地下1階もそうだったが、自分たちでマップを作成することにしている。
「今更なんだけど、何でわざわざマッピングしてるんだっけ?」
 ふと思った疑問を村田 恋歌が口にする。探索を開始した時からマップはすでに出回っていた。それを使用するかどうかを協議した記憶はあるが、結果的に使わないと決めた経緯を覚えてないのだ。これを聞いて、全員が互いに顔を見合わせる。確かに話し合いをした記憶はあるが、全員がその結論を覚えていないのである。場が少し変な雰囲気になったので、菅原 泰造が仕方なく口を開く。
「まあ、覚えてないけど、自分たちでマッピングしないと面白みがないからじゃないかな」
 この言葉を聞いて、全員が納得の表情を浮かべる。理由としてはこれで問題がないと考えたからだ。すると何かを思いついたらしく、遠山 華蓮が口を開く。
「それなら知っているわ。昔お蝶夫人が行くわよしろみーって」
 これを聞いた全員が何とも言えない表情を浮かべる。急に何か関係のないことを話し始めたからだ。先程までの会話とどこが繋がっているかもわからず頭を悩ましていると、宮内 純香が大きく息を吐いて口を開く。
「それは岡しろみね」
「正解!」
 自分の振りに答えてくれた宮内の回答に満足した遠山は満面の笑顔で返事を返したが、他の4人は全く意味がわからず、微妙な表情を浮かべるのであった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?