1998年7月10日(金)
【戦士鍛錬場:井上 貴志・栗原 慎・松 美由紀・山田 由紀】
「ふー、疲れたな」
「結構全力で鍛錬したからな」
ベンチに座ってペットボトルのお茶を飲みながら井上 貴志が言葉を発し、栗原 慎が顔をタオルで拭いながら答えた。ここは午前中の戦士鍛錬場。本日もたくさんの戦士が鍛錬を行っている。いつものように絶対運命黙示録部隊の井上、栗原、松 美由紀の3人と、イナバウアー部隊の山田 由紀の4人で鍛錬を行っている。今まで井上と栗原が模擬戦を行っており、途中からヒートアップしたのもあり、かなり気合を入れた模擬戦を行ってしまったのである。探索を開始し、実際亜獣と直に戦うようになったので、鍛錬時もどのような動きをすれば良いかなどの課題点がわかりやすくなっている。また、井上と栗原、松は全員武器が違うので、お互い自分ではわからない点を指摘し合えるような感じになっているのだ。ちなみに山田は両手剣なので、井上とかぶっている。
「お疲れー。私らも休憩するー」
そう言いながら松が近づいてきて、栗原の隣に座り、その隣に山田が腰掛けた。2人もかなり息を切らしており、飲み物を飲んだり、タオルで首筋を拭ったりしている。しばらく各自息を整えたり水分を補充したりしながら静かに時間が過ぎていく。だいぶん落ち着いてきたので、井上が山田に聞いてみる。
「山田さんって彼氏いるの?」
いきなりのことに山田は飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。井上からすれば前回の飲み会の流れで聞いているのだが、山田がそのことを知る由もない。
「えっと、いないですよ。何でですか?」
何でですかと聞かれると返事の返しようがなく、井上は少し困ってしまう。少し変な雰囲気になったので、島がフォローを入れる。
「いや、井上くんも栗原くんも彼女いないみたいだから気になったんじゃないかな」
「その言い方は誤解を招くぞ」
フォローに対して、瞬時に栗原が突っ込む。一瞬場が変な雰囲気になったが、山田が何か笑いだしたので、それに合わせて乾いた笑いをするのであった。
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