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1999年4月1日(木)

【AXIS:大塚 仁・本田 仁】
「そう言えば俺彼女出来たよ」
「いやいや、冗談はシカゴブルズ!」
 ランチ後のコーヒータイム中にふと思い出したように発した本田 仁の言葉を聞いて、ノータイムで大塚 仁が突っ込みを入れた。ここはゲーム&喫茶『AXIS』。いつも通り落ち着いた雰囲気の店内である。午前中はいつも通り鍛錬を行っていた大塚と本田は、鍛錬後に落ち合って、ここで一緒にランチを食べることにした。いつものように富田 さやかが作るランチセットを食して、のんびりとコーヒーを楽しんでいたところである。
「否定早すぎん?」
「だって、普段そんな話せんやん」
 あまりもの突っ込みの速さに少し不満気に本田が言葉を漏らしたが、それに対して大塚は笑いながら返事を返す。本日は4月1日でエイプリルフールであり、1年で唯一嘘をついてもギャグで済ませることが出来る日である。午前の鍛錬中も各所でいろいろなホラ話が聞こえ、それに対して完璧な突っ込みを行ってきた大塚にとって、先程の本田の振りは初級も初級レベルなのだ。それに普段女性関係の話をほとんどしない本田が、よしんば彼女が出来ていたとしても、あのように簡単に漏らすようなことは絶対にないという確信がある。
「そう言えば子供2人目が出来たよ」
「え、マジで?おめでとう」
「嘘やん」
 逆に大塚が何気に漏らした言葉に、本田は素直に祝福の言を述べたが、これは真実ではなかった。本田の彼女の話に比べて、大塚に子供が出来たというのは可能性的に十分あり得ることなので、本田も思わず信じてしまったのである。

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