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1996年4月8日(月)《BN》

【富田邸:富田 剛・本田 仁】
「酒もつまみもなくなってきたな。吉田イレブンに買いに行くか」
「良いっすよ」
 すでに大量のアルコールを消費していたが、もう少し飲み足りなく感じた富田 剛は、追加品の購入に行く提案をし、その提案に本田 仁は軽く了承の返事を返した。ここは富田邸。本日は本来探索日であるが、前田 法重が入院中のため、午前中は探索ではなく鍛錬場で鍛錬を行う。そして鍛錬後に合流し、『北食2階』→『スタジオ』の黄金連携を決めて、21時ぐらいまで遊んだ後、富田の家で飲むことにしたのである。大量にお酒とつまみを買い込んだ後、富田邸で乾杯し、飲み始める。いろいろなビデオを流しつつ、つまらない話で盛り上がりながら、楽しい時間が過ぎていく。すると大量に買ってきていたはずのお酒とつまみがなくなっていることに気付いたので、追加を買いに行くことにしたのである。2人は富田邸を出て『吉田セブンイレブン』へと向かう。距離はそこまで遠いわけではないので、歩きながらのんびりと進んでいくと当然の如く『吉田セブンイレブン』は営業していた。そして店内に入り、物色を始める。カゴを片手に本田はお酒コーナーに向かい、富田は惣菜コーナーへ向かう。そしてそこに陳列してある商品を見て富田に衝撃が走った。
「どうかしましたか?」
 何か鳥の手羽先らしき惣菜を手にして驚愕の表情を浮かべている富田に本田が話しかける。すると富田の口から驚くべき言葉が発せられた。
「本田くん。これすごいよ。ネーミングが秀逸。中にシーチキンがこっそり入っているんだろうけど、スパイシーチキンって名称は思いつかんよ」
 興奮気味に話しかける富田の手には“スパイシーチキン”と書かれた商品が握られている。今の話が聞こえていた周りの客が何となくざわついているのを感じた本田は大きなため息をつき、小さな声で富田に耳打ちする。
「富田さん。これはスパイ・シーチキンではなくてスパイシー・チキンですよ。シーチキン入ってないです」
 それを聞いた富田は急に冷静な表情になり、無言で手に持っていたスパイシーチキンと他にもいくつかの惣菜を本田が持っているカゴに入れる。
「じゃあ行こうか」
 かなり恥ずかしいはずなのだが、ポーカーフェイスを装ったまま、富田はレジの方向へと歩いていき、本田も何も言わずその後をついていく。そして会計が終わり、店を出た瞬間に2人は大爆笑するのであった。

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