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1998年6月29日(月)

【旧熊大赤門前付近:富田 さやか・富田 穂樽・宮崎 桃・宮崎 藍】
「あ、さやかさんこんにちわ」
「穂樽ちゃん寝てる。かわいいー」
 ベビーカーに富田 穂樽を乗せて散歩をしている富田 さやかを見つけて、宮崎 桃と宮崎 藍が声をかけた。ここは旧熊大赤門前付近。今日も朝から雨が降っていたが、10時ぐらいになって少し晴れ間が見えてきたので、そのタイミングを見計らって富田は散歩をすることにしたのである。家を出る時はニコニコしていた穂樽だったが、今はすやすやと寝顔を見せている。
「二人はどうしたの?こんな時間にこんな所で」
 ふと思った疑問を富田は尋ねてみる。本来ならこの時間は鍛錬を行っている認識なのだが。
「いや、さっきまで鍛錬してたんですけど、ちょっと桃が忘れ物をしちゃって」
「桜ちゃんに漫画貸すって約束してたのー」
 藍と桃が現在ここにいる理由を端的に説明してくれた。それを聞いて富田は一見いい加減にも見える桃が以外としっかりしているのだと感心する。約束をしたからと言ってわざわざ取りに帰るのは中々出来るものではない。
「私、全くのとばっちりだったけど穂樽ちゃんの寝顔見れたから良しとします」
 そう言って藍は再度穂樽の寝顔を見つめ、優しい笑顔を浮かべた。この後、2人と別れた富田はもうしばらく散歩を続けることにした。ちなみに、宮崎姉妹は富田のことをさやかさんと呼ぶが、実は年齢は一緒なので、さん付けする必要はないと富田は思っている。ただ、入隊したのが1期先なのと、宮崎姉妹が入隊した時にはすでに大先輩である富田 剛の彼女だったので、さん付けになってしまったのだろうと考える。考えた末、仕方がないなとも思うのであった。

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