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1999年4月28日(水)

【熊大第2迷宮:>>1さん部隊】
「何か俺らも出来ることはないもんかね」
「うーん。ないんじゃないですか?」
 退屈そうに森下 翼が発した言葉を聞いて、宮崎 藍が返事を返した。ここは熊大第2迷宮。本日も地下2階のトレーニングルームを訪れた>>1さん部隊であるが、戦士3人が順番に亜獣との戦いを行っている間、後衛の3人は暇を持て余している。もちろん今までに遭遇したボス戦でも同じような状況があったのだが、ボス戦は一応負ける可能性があるので、きちんと戦いを見守る必要があった。だがこのトレーニングルームは負けるという概念がなく、同じような戦いの繰り返しになる特性上、後方から眺めていてもつまらないのである。
「何かすることないかな」
 こう言って考え始める森下を宮崎と細川 舞美は静かに見つめている。しばらく考えていた森下は何かを思いついたらしく口を開いた。
「エアダウトやろうぜ」
 これを聞いて宮崎と細川は理解ができず、そのエアダウトとやらが何なのかを聞いてみる。
「ダウトって知ってる?トランプでやるゲーム。それをエアでやるってこと」
 ダウトのルールは知っているが、それをエアでやるとはどういうことなのか。疑問は晴れてなかったが、とりあえず森下がやってみようということだったので、一緒にやることにする。
「1」
「2」
「3」
「ダウト!」
「3でしたー。ってこれ面白い?」
 森下、宮崎、細川の順番にカードを出すフリをし、森下のダウト申告にカードは3であることを説明する。これは面白いのだろうか。宮崎と細川には疑問しか湧かないが、森下は面白がっているようだ。
「じゃあ次また俺からね。1」
「2」
「3」
 3人はまたエアダウトを始めるが、それに気づいた大島 清吾と飯島 桜が怪訝そうな表情を浮かべている。
「退屈の極みやな」
 ため息混じりに大島が声を発したが、それに気づいた森下が言葉を返す。
「退屈は好まないからね」
「パーラーエンペラーのCMだよね」
 森下が発したCMで良く流れるセリフを聞いて、宮崎が何のCMなのかをきちんと説明するのであった。

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