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2024年4月16日(火)《GB》

《スマホに流れるCMを見ていると、お絵かきAIもいろいろありますね。日進月歩を感じる》
【立田山展望台:結城 香純・島津 舞美・島津 奏音】
「うーん。ここ気持ちいー」
 大きく背伸びをしながら結城 香純は思わず言葉を漏らした。ここは15時を過ぎたぐらいの立田山展望台。他に人は誰もおらず、この空間を独り占めにしている。今日は午前中大学の講義を受け、友人と一緒に昼ごはんを食べた後、自宅のある黒髪地区に戻ってくる。のんびりと竜田口駅から歩いて帰る途中、ふと立田山に登ろうと思い立ったのである。もちろん以前から気にはなっていた場所なので、いつかは行ってみようと思っていたのだ。県道337号線から大学の手前側で右に曲がり、立田山方面へと向かう。もともと歩くことには抵抗がないので、ピクニック気分で歩を進めていく。すると次第に勾配が急になり、いかにも山に登る感じになる。そしてしばらく歩くと、目的の展望台に到着したのである。
「やっぱり自然は良いわよね」
 こう口にしながら新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。そして大きく息を吐くと、周りの自然が自分に何かを働きかけてくるのを感じた。
「誰もいないわよね」
 周りを見渡して人の気配がないことを確認し、結城は精神を解放して、自然と一体化する。流石に生まれ育った人吉の自然ほどの共有は出来なかったが、この立田山の自然が持つ雄大な力を感じることが出来た。このことに喜びを感じた結城は少し油断してしまい、近くに人がやって来たことに気づくのが少し遅れる。自然との共有を解除し、何くわぬふりをして熊本の街並みを眺めていると、2人の女性が展望台に登ってきた。
「こんにちは」
 笑顔で声をかけてきたのは40代ぐらいの美しい女性であり、その横には高校生の娘であろう女の子がこちらを見てぺこりを頭を下げている。
「こんにちは」
 こちらからも返事を返すが、結城はこの女性2人から醸し出される特異な雰囲気をひしひしと感じる。おそらくただの女性ではないはずだ。そのことがすごく気になったが、先ほど自分の能力を見られた可能性があることが気になり、この日はこの挨拶だけで別れることとなった。後にわかることであるが、この日に出会ったのは元冒険者の島津 舞美とその娘である島津 奏音だったのである。

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