見出し画像

2024年5月8日(水)《GB》

《見えないものが見える能力。素敵です。私は常時耳鳴りで聞こえないものが聞こえます。不要です。》
【魔術師試験場:高村 利糸・大林 睦美】
「高村さん、そんなこと出来るんだ!凄いね!」
「そう言ってもらえると助かるっす」
 驚きの表情を浮かべながら言葉を述べた大林 睦美に、軽い笑顔を浮かべて高村 利糸は返事を返した。ここは魔術師試験場。本日は2次試験の5日目である。高村は試験3日目に魔術師としては最初の課題クリア者となり、そして4日目に大林が課題をクリアしている。他にはクリア者はまだいないので、現在魔術師の課題クリア者はこの2名だけと言うことになる。他の8人は必死に課題クリアに向けて鍛錬を行っているが、高村と大林はほぼほぼ合格が決まっているので、特に必死に鍛錬を行う必要はない。もちろん光を灯す精度を上げるということをやれば良いのかもしれないが、特に指示もされないので、他の8人の鍛錬を横目に、軽いストレッチを行うぐらいで時間を潰している。ストレッチをしながら話をする中で、2人はお互い仲良くなり、いろいろな話もするようになった。その中で、高村は自分の持つ能力について大林に話をしたのである。特に人に話すようなことでもないのだろうが、どうせおそらくいずれバレることでもあるので、大林の反応も楽しみに話をしてみたのだ。すると思いの外、大林は好印象の反応をしてくれたのである。ちなみに高村の能力とは大きく分けて2つあり、1つは自分の未来を予知する能力と、もう1つは他人の思念を見る能力である。ただ、他人に教える能力は思念を見る能力の方であり、予知能力については誰にも教えたことはない。これは亡き母親からの教えに基づくものであり、この教えを守っているのである。
「でも私の思念が普通の人よりも弾けてるってのは嬉しいわね。信用しちゃうわよ」
「まあ、弾けてるってのが良いかどうかはわからないんだけどね」
 自分が判断した思念の状況について大林は非常に喜んでいるが、その勝手な判断に高村は少し動揺する。人と違う思念を持っているのは、それが良い影響を与えることもあるが、その反対の場合もあるのである。特に弾けてると言うのは思念が何かしらの強い反応をしているということなので、その反応の原因がわからないとどちらとも判断がつかないのだ。
「まあ、なるべく気をつけて大林さんの思念を見るようにしておくから、何か気づいたらすぐ教えるね」
「わかった!お願いします!」
 このような話をしながら、全体的な休憩時間となったので、2人もベンチまで移動し、休憩を取ることにしたのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?