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2024年5月14日(火)《GB》

《冒険者のひとりごと部隊が始動。個々の能力は非常に高いですが、ちょっと個性的な集団です。》
【試験棟会議室:有村 藤花・財津 彩斗・澤口 恭平・高村 莉糸・結城 香純】
「では協議の結果、探索曜日希望は火曜日、部隊名は冒険者のひとりごと部隊となります」
 何故か司会進行をさせられている有村 藤花が全員を見渡しながらこのように話をした。ここはお昼過ぎの試験棟会議室。本日は午前中オリエンテーションと能力解放の儀式が行われ、無事に午前中の予定を終えている。その後、ここにいるメンバー達は一緒に生協食堂でランチを食べ、その後ここに戻ってきたのである。本来はここに黒瀬 舞人もいるべきなのであるが、今日も気がつくといなくなっており、財津 彩人と澤口 恭平が探しに探したが消息が掴めなかったのである。そこで仕方なく、黒瀬抜きで初の部隊会議を行うこととなった。
「意義なしですー」
 元気な声で高村 莉糸が発言する。これを聞いて、他のメンバーも頷いているので、この件はこれで問題なしということになる。昨日の懇親会である程度顔見知りになっていた隊員たちであるが、本日改めて部隊会議を行い、まずは自己紹介から始まり、今後の予定について話し合っているのである。ここに黒瀬がいないことについては、全員何となく納得しており、今後もこのような感じになるのかなとの思いを持っている。ただ、財津の言によると黒瀬は自分があまり重要視していなことに関しては極端に関心が薄いが、やる時はやる男だとの説明を受け、同じ部隊の隊員として認めることにしている。
「では最後に、隊長を決めないといけないです」
 最後の議題を有村が口にする。今までの雰囲気だと誰も隊長はやりたがってないような感じであり、今も全員が何か発言をためらっている状況だ。
「えっと、有村さんやってもらえないですか?年上ですし」
 現在司会をしている有村が一番隊長に向いていると判断した財津がこのように発言する。すると他のメンバーもこの意見に賛成のような気配となる。すると有村は軽くため息をついた後で返事をする。
「年上だから隊長ってことであれば、年下の皆さんは全員私の後輩であり部下ということになります。私の意見は絶対であるし、全てにおいて逆らうことは許しません。それでいいのであれば」
 これを聞いて他の隊員達は流石にそこまで言われて隊長をさせるのはと思い、有村は候補から外れる。その後は誰が良い、誰が良いとお互いを進め合う状況が続く。このままだといつまで経っても隊長が決まらない様子になってしまっている。
「藤花さん。これ声に出して読んでもらって良いですか?」
 こう言って高村が自分のスマホを有村に渡す。
「何これ」
「良いから大きな声で読んでみてください」
 よく意味がわからなかったが、有村は書いてある文字の意味を理解することもなくそのまま声に出した。
「恭平大好き」
 声を出して読んだ有村は内容を理解してしかめ面をする。いきなりの有村の発言に財津と結城 香純は少し動揺した表情を浮かべている。
「フフ、フフ、フフフフフフフフフフ」
 すると澤口が不気味な雰囲気を醸し出しながら、笑い声をあげだす。そしてその笑い声はだんだんと大きくなり、その後澤口は立ち上がって大声で叫んだ。
「オッケー!グンマ様ー!!!」
 大好きと言われてよほど嬉しかったのであろうが、叫んだ言葉の意味は全員理解ができなかった。ただオッケーという言葉を使ったので、結果澤口が隊長になることになったのである。

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