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2024年5月3日(金)《GB》

《スーパー、ドラッグストア、ディスカウントショップ。名称はいろいろあれど、あまり変わらない》
【ロッキー:富田 正継・新熊 芽衣奈】
「あれ?俺の記憶のロッキーとは違う」
 目の前に見えてきた建物を見つめながら富田 正継がこのように口にした。ここは水前寺近辺のグラウンド通り。本日富田と新熊 芽衣奈は朝からドライブがてら天草まで海を見に出かけた。ただ特に行きたい場所があった訳でもないので単に車でウロウロしただけである。そして存分に海を堪能した後はのんびりと帰路に着くことにした。
「まさくん。どこかで買い物する?」
「そうだね。帰り道にどっかスーパーに寄ろうか」
 今日はこのまま富田家にお邪魔する予定だったので、新熊が何か食べ物を仕入れることを提案し、それに富田は了承の言葉を返す。現在国道3号線の富合あたりを走っているが、帰り道に寄れるスーパーを富田は頭の中でいろいろと思い浮かべる。その時に特に理由はないが、かなり昔に1度行ったことがある『ロッキー』水前寺店に寄ることを決める。国道3号線を右折して国道57号線を進み、グラウンド通りを左折する。そしてしばらく進むと右手に『ロッキー』の建物が見えてきたのだが、その建物は富田の記憶とは全然違うものであった。
「新しくなってる?」
 以前来た時の『ロッキー』は広い敷地の半分ぐらいが駐車場であり、残り半分が店舗の建物であった。だが現在は敷地全体に建物が立っており、駐車場はメインの屋上駐車場と、手前にある臨時駐車場になっているようだ。
「屋上に行くねー」
 こう言いながら富田は建物の手前を右に曲がり、屋上へ登るスロープを上がった。そして車を止めた富田は新熊と一緒にエレベータを降り、1階の買い物スペースへと辿り着くことができた。
「ロッキーバルボアー♪」
 カートとカゴを取りながら何やら口ずさんでいる富田を見て、新熊は苦笑いを浮かべている。ここに限らず、どこかの店に入るときに何故か富田は歌を歌う習性があるのだ。この前も『ヤマダ電気』に行った時に“ヤーッマダッ”とコジマ電気のCMのフレーズで店内に入って行き、それに気づいた他の客から少し笑われていたのである。これを新熊はやめて欲しいと思ってはいるが、何せ無意識で反射的に行っているものらしいので、止めさせるのは無理であると諦めている。このあと買い物を済ませて再度車を走らせる。『ロッキー』を出て水前寺駅前通りから県立劇場方面に進んで子飼橋を渡り、無事に黒髪へと戻ったのである。ちなみにどうでも良いことであるが、先ほど富田が歌った“ロッキーバルボアー♪”の音階は"日清サラダ油ー♪“の音階である。

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