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2024年4月19日(金)《GB》

《長いニックネームはコメ欄とかに書くときに面倒ですよね。私なんですけどね。申し訳ないです》
【文学部棟:高村 莉糸・坂村 静江】
「へー、毎日記事を更新してるんだ。すごいね」
 スマホを眺めながら坂村 静江が言葉を漏らした。ここは熊大文学部棟。先程3限の講義が終わり、一旦教室から廊下に出たところだ。高村 莉糸と坂村 静江は同じ文学部の歴史学科であり、出身が同じ宮崎県であることや、ガイダンス等で席が近かったことで仲が良くなり、一緒に行動することが多い。坂村は趣味がスマホゲームであり、高村に一緒にやろうと誘ったが、ちょっと忙しいということで勧誘は断られる。そこで忙しい理由を聞くと、noteというコンテンツに毎日記事をアップしているということなのだ。坂村もSNSはXやインスタなど一応やってはいるが、主に見る専門であり、何かを投稿するということはほとんどない。なので、それを毎日行っている高村に対して、賞賛の感を持ったのである。
「いや、大した記事を書いているわけでもないし、別にすごくはないよ」
 自分のスマホを触りながら、高村が返事を返す。3年ほど前にnoteというプラットホームを見つけてからは発信活動のメインをここに置いている。Xやインスタよりもこちらを選んだ理由は本人の口からは特に語られてはいない。ちなみに高村のnoteのニックネームはミヤコのジョーという名前であり、宮崎についてのいろいろな情報を発信するようなページになっている。また、あまりはっきりとではないが、その日の運気や特異点など、何かスピリチュアルやまじない的な記事を書くこともある。ただ、普段の記事が宮崎の情報を明るく楽しく発信するものなので、そのスピリチュアル系の記事は冗談に取られることが多く、コメント欄なども常連noter達の洒落た突っ込み合戦になることが多い。
「ニックネームも変えたから、熊本の情報をいろいろ集めないといけないんだ」
 軽くため息をつきながら高村が言葉を漏らす。熊大に来たからにはしばらくは熊本で暮らすことになる。そうなると、今までみたいに宮崎の情報を発信し続けることは難しい。そこでニックネームをミヤコのジョーからクマモトジョーに変更し、内容も熊本の情報を発信するものに変えたのである。ちなみに元々のニックネームであるミヤコのジョーについてであるが、高村は宮崎市に住んでいたので、別に都城とは縁もゆかりもない。ただ単にその時に思いついた名称をニックネームにしていただけなのである。

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