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一日一占『思い出の占い師』

私が小学生のころ、家族で旅行に行きました。
旅先の神社の境内に、テントのような、小屋のようなものがありました。
占い師さんは年配の女性でした。

父は「面白そうだな」と言って
母は「やめなさいよ」と言って。
結局、ぞろぞろと、父の後について小屋の中に入っていきました。

占い師さんは、父について占い始めて、過去、現在と話していきます。
すると父が「すごいね、当たってるよ」と言います。
私は子供だったので、当たっているのかすごいな、と思いました。
「当たってる」を父が言い続けるので、
占い師さん自身、自分の占いの技術にびっくりしていました。

お金を払って、4人でその場を離れていく途中で、
「ぜんぜん当たってなかったな」と父が笑って言ったんです。

『えっ? 当たってなかったの? どうゆうこと?』

父のことをよくよく知っている母は、側で呆れていたんでしょう。
「当たってないのに、なんであんな嘘言うのよ」と母は父に言うのですが、
「占い師も喜んでたからいいだろ」と。
父のサービス精神なのか、
当たってないけど「当たってるすごいね」を連呼していたようでした。

あの占い師さんは、自分の占いの技術に自信を持ったかもしれませんけど。
まるっきり外れていたんです。

あの記憶は、占いをする側の私には大事な教訓になりました。
占われる人によっては、かすりもしなくても、
御愛想で「当たっている」と言ってくれることもあるんだと。

占いの対象になる人物を知らないと、占いの勉強にはならない。
知らない相手をどれだけたくさん占っても、
占う手際の良さとか、トーク力はつくかもしれないけど、
本当の意味で、
占う技術は身につかないんじゃないのかなと思ったりもするんです。

私が成人して、お見合いをするような年齢になって。
見合い相手について占ってもらったことがありました。
プロの中年男性の四柱推命の占い師さんでした。

見合い相手なので、出生時間まではわからず、
三柱で占うことになりました。
その命式に並ぶ通変星がちょっと特殊だったんです。
占い師さんご自身が「え? なんか・・・あれ?」みたいなことで、
もう一度、万年暦を見直したんですが、
やっぱり間違いないと思ったようなんです。
結局、その時作成した命式で占断したわけですが。

その後、四柱推命に詳しい友人に会う機会があって、
アマチュアの友人に、占い師さんが書いた命式を見せたところ、
「なんかこれ間違ってないかな」と言い出しました。
何度見直しても結局
「これ、どうやっても、こんなのおかしいよ」と。

あの当時、私はそれほど四柱推命には詳しくなくて、
プロが間違うわけないと信じていて。
そんなものかなと思っていたんですが。

ネットの無料サイトで気軽に命式を作れるようになって、
ウン十年ぶりに、ふと思い出して、作ってみたんです。
プロの占い師さんが作った命式には、どうやってもならない。
蔵干の問題は流派によっていろいろあるのはわかりますが。
無理やりその「干」をひっぱり出すのかと、謎が残ります。

プロの占い師さんの思い出は、
占いをする私の戒めになっています。





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