ストラクチャーから書く小説再入門:要約
著者:K.M.ワイランド
知人から勧められたから読んだ。訳はちょっと難があって、感情論的で矛盾してる箇所もある。でも学びはあった。
■以下要約■
掴み(フック)
物語の始まりより前から書き始めない方がよい
オープニングで人物が登場する、主人公ならなお良い
対立、摩擦、ぶつかり合いで幕が開くとヒキが良い
動きのある描写で始める
舞台設定、場面設定、作品全体のトーンを伝える
初めの一行を魅力的にさせる五つの要素
疑問を感じさせる
人物を登場させる
舞台設定を伝えている
何かを明確に言い切っている
作品全体のトーンを感じさせる
物語をどこから始めるべきか
お膳立てが4分の1以上にならないように(プロットポイント25%のさらに4分の1、7%くらい)
登場人物、アクション、舞台設定だけを説明する
アクション
幕が開くと同時に、人物は懸命に何かをしているべき。その人ならではの姿を描く。後にはっきりと想起でき、なおかつ人柄を表すアクションが必要。
舞台設定
真のオープニングにふさわしいのは、連鎖反応が起き始めるタイミング。
そこまでの前置きは削除、残った文章でストーリーは成立するか?人物紹介と性格描写はあるか?核心に切り込み、エキサイティングならOK。
ドラマ的な疑問
オープニングで強い疑問を投げかけ、フィナーレまで追う。これは掴みに提示した疑問とはまた別。
読者に抱かせてはいけない疑問
この人誰?何者?
どんな外見か?
舞台設定
人物がやり取りしている相手は誰?
語り手と他の人物の関係は?
何がしたいの?
プロローグについて
プロローグは絶対必要でない限り省略、または重要情報だけ提示する
フラッシュフォワード
作品の後の方で緊張感が高まるシーンを見つけたら、そのシーンをオープニングで少し見せて好奇心を煽る手法。
バックストーリーについて
物語に影響する部分だけを描く
プロットが必要とするバックストーリーは物語に組み込んで書く。
第一幕
最初の25%までに人物や舞台設定、危機を紹介
ストーリーに出てくるものは全て登場させ、50%.75%で転機を起こす
人物について
悪者含め、どの人物にも等しく愛を注ぐ
(人物作りの方法)メモ用紙に好きな人物をありったけ書き出し、好きな理由と印象に残る特徴を書き出す。
なんの役目も果たせていない人物は消さなくてはならない
人物とともにその人物の「大切なもの」も紹介する。それを脅かす「敵」も登場、あるいは存在をにおわせておく。
「大切なもの」はストレートな言葉で表現したり、動きの描写で表現する。平穏な日常生活に「失いたくない大切なもの」を織り交ぜると、メリハリがつく。
家族や仕事、名誉などに対する思い入れを描写すればするほど、後でテンションを高められる。
主人公が旅先を転々とする場合は、「過渡的な舞台設定」をする。人物が移動することを読者に知らせ、隊商やジープを本質的な舞台設定とする。
プロットポイント1
掴みがうまくいったら、後はスローダウンして人物紹介を深く行っても大丈夫。特徴、信念などはしっかり作り込む。
作品でメインとなる舞台設定は第一幕で提示。第二幕で説明すると作品ペースが落ちてしまう。
危機感を高めるためには、人物に対する読者の感情移入を図ること。
プロットポイント1に達するまではドミノのような連鎖反応が起きるようにシーンを並べる。
状況説明が終わると人物は行動に駆り立てられる。
プロットポイント1まとめ(第1ターニングポイント)
物語開始から全体の25%を過ぎたあたりで起きる
状況を一変する出来事が起き、主人公の転機となる
物語が後戻りできないようになるので、環境が大きく変わる
主人公は影響を受け、強く反応する
インサイティングイベント
物語の出発点。主人公を取り巻く状況が一変し、ストーリーが進み始めるところ
キーイベントとともに、プロットポイント1より前までに入れる
インサイティングイベント→キーイベントの順にする
過去に起きたインサイティングイベントを受け、1P目が始まる設定も可能
キーイベント
人物を事件に巻き込む出来事。
インサイティングイベントによって動き始めた者が立ちに主人公をくっつける役目がキーイベント。
例)冒頭で事件(インサイティングイベント)発生→舞台設定の説明→人物紹介→主人公が事件に巻き込まれる
ピンチポイント1(=サブプロット→お楽しみ)
第二幕前半の終わりごろに遭遇する
人物の暮らしや将来の計画がひっくり返る
敵対者からの圧力がかかる
ミッドポイント
第二幕のど真ん中で大転換を起こす
主人公は自らの意志で行動し、敵対勢力に対抗する。これまでのやり方を変える必要に迫られる。
ミッドポイントまでに人物像とジレンマ、内面の弱さを描き、後半50%で決着へ導く。
新鮮でドラマチックな出来事を選ぶ。論理的な流れに沿いつつ、全く新たな展開を引き起こさなくてはならない。
第幕幕の後半
「これではいけない、何かせねば」と主人公が考え始めるので、変化、あるいは成長をさせていく
第二幕後半は準備期間ととらえ、のちの人物が直視せねばならない欠点を伏線として書いておく
ピンチポイント2(50~75%、迫る来る悪い奴等・すべてを失って・心の暗闇)
最終決戦の前に敵がいかに強いかを見せて、危機感を盛り上げ
サブプロット
テーマに関連した主人公の小さな側面。
サイドラインの物語であり、小さなプロット。
利点はメインプロットとの対比で息抜きができること、メインプロットで描けないシチュエーションで、より深い人物描写ができる
第3幕(第2ターニングポイント)
本最後の4分の1,全体75%地点
全ての登場人物を集結させる
サブプロットにオチをつける
伏線の展開を明かす
主人公と敵対者の両方に最終計画を実行させる
主人公に内面の弱さを直視させ、最終バトルで成長、変化を遂げさせる
全ての物事をうまくまとめてエンディングに治める
プロットポイント2(第2ターニングポイント)
人物がどん底に落ちる。そこから再び戦う力を起こし、クライマックスへ。
人物に手加減せず、絶望の淵に叩き落とす。厳しい局面に遭遇させる。
努力の甲斐なく愛も希望も壊れていく、主人公の新たな理想を行動で表現する
始めの方で物事のオチをつける
クライマックス
「伏線」と「複雑化」の2つが必要。パズルのピースをあらかじめ見せておくこと、多くのピースを与えて複雑にみせかけること
主人公と敵対者が対決する瞬間がクライマックス
主人公はクライマックス近くで何かを悟り、これまでの考え方を捨て去り、敵にぶつかっていく。
最強の武器を出す。ただ殴り合うより、走り列車の上で、など。
怒りや悲しみなどの感情は抑えた表現をする方が引き立つ。
解決
登場人物に別れを告げ、読者にもさようならを言うチャンスを得て貰う
要約、テーマにあう感情表現、終結を意識したペース。
人物が変化した実例を見せる。
よりよくするために
ありきたりでないか確かめる
しばらく寝かせる。
主人公を死なせる場合は、意味のある死にする・伏線を張る・肯定的な調子で終える
やばいクライマックス
何かを出して一瞬で片付けてしまえという考え方はまずい。主人公が無力に感じ、物語が無意味になる。
トリックは難易度高い
解決せずに終わる(クリフハンガー)
エピローグをつける
シーン(アクション、出来事や行動を描く)
第1ブロック=ゴール
第2ブロック=葛藤
第3ブロック=災難
人物がしたいことをできなくするようなシチュエーションを考える
原稿がだめなときは、人物の動きが止まってないかチェック
シークエル(出来事に対するリアクション、人物の反応を描く)
第1ブロック=リアクション
第2ブロック=ジレンマ
第3ブロック=決断
リアクション描写が抜けがち(人物にどっぷり感情移入して)
リアクションに関する表記順:地の文(~は驚いた)→心の声/モノローグ→ドラマタイズ/激化(爪を噛む、震える)→トーン(舞台設定、天候)
刺激を受けた人間のリアクション:感情や思考→アクション(汗をかく)→発話(英文原本なので微妙そう)
ジレンマの推移について:振り返り→分析→計画
気を付ける事
わかりきっていることは書かない
同じことを繰り返さない
受け身の文(~される)は回りくどいので、能動的(~する)で刺激的な表現にする
曖昧な書き方をしない(ほとんど、およそ)
修飾語句を削る(「どんな」「何を」「どのように」「どこで」)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?