NO44 春樹、あかねの家に同居
修平とあかねが帰った後、春樹は主治医に呼ばれた。
先生の話では昨日 転んだ時に肋骨当たりが内出血をしたらしく
しばらくは痛みが増してくるらしい
また、 骨折した部分は約3週間で仮骨が作られるので、
それまでは入院された方がいいと言っていた。
春樹は、その事を玲香に伝えて
「玲香、おれもそろそろ仕事しようと思うけれど、どうかな」
「いいけど、2日に一回は来てよ、来る前に電話をして、
その時、欲しいもの頼むから」
「わかった 今18時出勤だから仕事に出たらすぐに来るから、
面会時間って20時までのはずだから、
もし、来られない時でも電話を入れるよ
それにお姉ちゃん・・・なんか言い方がへん あねきって呼ぼうか、
それに姉貴が着替え持って来るだろうし・・大丈夫だな」
「春樹 ご飯はどうするのよ、
また、インスタントものばっかり買ってきて
部屋をゴミ屋敷にしないでよ」
玲香はとっさに春樹の豚小屋を思い出してしまった
「はいはい、吉野家もあるし、すき家もあるし、
部屋はよごしません・もう~」
「でも、春樹
私、あのマンションに帰りたくない」
「どうして?」
「だって、平和公園、すぐ、そばでしょう
通るたびに思い出してしまいそう」
「そうだよな、言われてみれば・・・まずいわ
何処か探そうか、あねきの近くで探せばいいか
そうすれば、何かと都合がいいし・・・そうだな
ちょっと修平に相談してみるか」
その日、春樹は家に帰ったが、玲香の事を考えると、
やはりマンションの事が引っかかる。
姉貴に相談をしようと、店が終わる頃に迎えに行った。
「姉貴、玲香がマンションは平和公園の側だから
戻りたくないと言っている。それで何処かに引っ越そうと思うんだけれど、勝川にいい物件ないかな」
「あら、姉貴って・・・呼ばれても・・」
「今日から 兄貴と姉貴になったから、そのつもりでよろしく」
「まぁ、何でもいいけど、そうね
だったら、うちに来なさいよ、お父さんも老人ホームに移ったし、
丁度、いいわ そうよ
それがいいわ そうしなさい それが一番いい方法よ」
勝川橋を渡った頃
「ちょっと、春樹 道 違わない」
「いいの、あの公園の前 通りたくないし」
「ウフフフ! あ,そうね、そんな事もあったわね」
あかねは思い出すと笑いが止まらないのか抑えながら、
いつまでもクスクスクスクス笑っていた。
午前0時 勝川につくと、
朝5時には仕事に向かう修平も起きてきて、その話に賛同してくれた。
春樹はその日から姉貴の家に居候することになったのだ
翌日、ソファーで寝ていた春樹は物音で目が覚めた
「春樹 起きたの もう、昼よ
顔を洗ってきて、歯ブラシもタオルも出してあるから」
姉貴の声がする。春樹は言われたとおり化粧台に行って顔を洗った
キッチンでソーメンをゆでていたあかねはテーブルに並べると
春樹に昼食を勧めた。
テーブルには冷やしソーメン 漬物 唐揚げ
ソーメンのめんつゆ 薬味はネギとショウガとミョウガが添えてあった。
「めんつゆにこのミョウガも入れるの」
「あら、知らなかったミョウガは夏バテ防止にいいのよ おいしいわよ」
「もう、10月だけど、確かに暑いよね」
そう云いながらソーメンをすすると
「春樹 ソーメン 熱くないでしょう」
「え、もしかして また、やってた?」
「フーフーして食べるの くせ?」
「ぜんぜん、気がついていないけど、玲香にもよく言われる」
「おもしろい、くせなのね かわいい」あかねが笑う
「昼から、家に戻って、衣類 持ってこれるだけ持ってきて、
それから、お父さんの部屋を使うとして、全部片付けなきゃね
タンスも2つくらい、いるからニトリも行きたいわね
あと、なにかしら 必要なこと・・・ひとつひとつしていけばいいわね
れいちゃんが来るのはまだ、一ヶ月先だものね」
あかねは愉しそうである
「昨日、れいちゃん 喜んでいたでしょう」
「なにが?なんで?」
「春樹 れいちゃんのお体を拭いてあげたんじゃないの」
「あぁ その事 うん 喜んでいたよ」
「でしょう また してあげなさいよ
春樹の休みの日はれいちゃんの身体を洗ってあげなさい」
「冗談だろ そんなの 大変だよ ああしろ こうしろって
犬じゃないのに、それで終わったかと思ったら、
今度はもう、たいへん 病院でする事じゃないと思うけど・・・」
「病院でしちゃ、まずい事ってな~に」
「いや、なんでもない」
「病院でしちゃ、まずい事ってなによ 教えなさいよ」
「もう、姉貴の好きな事だよ!」
「そう、私の好きな事をしてあげたの?
じゃ、私もお願いしようかしら」
「ちょっと待ってよ。やっぱり、姉貴と一緒に住むのはまずいよな!」
「ちょっと、からかっただけでしょう 冗談よ冗談」
あかねは、四人で住むのがとても嬉しいみたいだ。