見出し画像

【アニポケ雑談】全地方舞台は逆リストラの温床?

アニポケは前世代のJN(2019年版)から全地方舞台を採用している。SMまでは原作ゲームの最新世代の舞台を踏襲するのが通例だったが、JNで突如その流れは打ち破られた。

全地方舞台と一口にいっても、JNとHZではそのスタイルは異なる。JNではサトシとゴウがカントー地方のサクラギ研究所に下宿して、各回ごとに遠征するというスタイル…すなわち拠点型の全地方舞台だった。

HZではリコとロイを含むライジングボルテッカーズはブレイブアサギ号という飛行船に乗って地方間を移動する。大がかりな旅型の全地方舞台といえるかもしれない。

JNは日帰り旅行のような感じで拠点と地方を一話で行き来していたが、HZでは飛行船の進行によって連続的に地方を移動する。パルデア編は9話の「パルデア到着!」から16話の「クワッスとなら、できるよ」の8話分に該当するのでこれが今後の目安となるだろうか(移動間の話ももちろんある)。

ただ、JNとHZでスタイルは違うと言っても全地方舞台ならではの共通点もやはり存在する。最も顕著なのはやはり登場ポケモンの出演の仕方だろう。

無印~SMの頃までのような一つの地方に焦点化(一地方舞台)されたシリーズの場合、その地方の新ポケモンを一体ずつ順繰りに出していくのが基本だ。タイトルに新登場のポケモンが入っているのが一つのテンプレだった。

一方で全地方舞台のJNとHZの場合、それぞれの世代の新ポケモンを順繰りに出すことは難しい。もちろんガラル/パルデアポケモンを他地方で登場させる場合もある。JNはワンパチ、HZはホゲータがそれにあたるがこれは例外的な措置だ。

全地方舞台ではそれぞれの地方を特徴的に描く必要性が高まる。ジョウト地方を舞台とする回ならジョウトポケモンをメインに登場させなければならない。そうしなければ視聴者が舞台をジョウト地方として認識できなくなるからだ。

ポケットモンスター(2019)「あの日の誓い!ジョウト地方のホウオウ伝説!!」

結果として現行世代のポケモンの出番が一地方舞台と比較して少なくなる。JNにおいては特に終盤で未登場ガラルポケモンが雑に消化されたのが物議を醸しており、個人的にも残念なポイントだった。

ポケットモンスター(2019)「ゴウとエースバーン!はじまりの場所!!」

現在HZではガラル編が展開されており、JNでは未登場だったガラルファイヤーがメインに据えられた。個人的にはこのような登場を歓迎しているが、一方で前シリーズの尻ぬぐいをさせられていると感じる人もいるようだ。

ポケットモンスター(2023)「もえあがるガラルファイヤー」

いずれにせよ、限られた尺の中で破綻なくストーリーを展開するには登場ポケモンの数は絞らざるをえない。「尻ぬぐい」と批判する声も、現行のパルデアポケモンの出番が減ってしまうのを危惧する心情あってのことだろう。


そもそもどうして全地方舞台を採用するのか…ということを考えると、どうしても本編の「リストラ」事情を考えないわけにはいかない。すなわち「ポケットモンスター ソード/シールド」から登場ポケモンが絞られ、全ポケモンが登場しなくなった一件である。

当時のファンダムは荒れに荒れて公式が声明を出す事態にまでになった。それほどまでにポケモンにおける「全員登場」は当たり前のことだったのだ。

ここでは「リストラ」騒動の是非について語るつもりはない。公式側の事情も理解できるしファンの痛みも理解できる。ただ、ここからアニポケの展開も変わってきたのは実感としてある。

拙い推測になるが、ゲームで会えないポケモンにもアニメでなら会えるという構造を公式は作りたかったのではないだろうか。ゲームに登場しないポケモンが忘れられてしまったとき、一番困るのはポケモン公式だ。アニメに限定されないが、「ポケモン」そのものに興味を持ち続けるための施作は当然打っているはず。

しかし、その為の全地方舞台だったのであれば現状は皮肉な結果になっていると言わざるを得ない。全てのポケモンに出番のチャンスがあるということは全てのポケモンに「リストラ」の可能性が付きまとうということ―いわば「逆リストラ」ともいえる状況を産み出してしまった。


結局のところ、ポケモンというコンテンツが成長を続ける限りこの問題とは向き合い続けなければならない。長い歴史の中で埋もれてしまうポケモンも残念ながら生まれてしまうだろう。

個人的には初登場世代のポケモンは下駄を履かせてもらってもいいんじゃないかと思ってしまうが、これもナイーブな考えかもしれない。虻蜂取らずになるくらいなら、ストーリー上必要なポケモンを厳選するというのも作劇上の必然かもしれない。

現状のHZの流れをみるとサトシ編で拾えなかった要素を積極的に拾っているように見える。たとえ初登場世代ではなかったとしても、今輝けるポケモンやキャラがいるなら積極的に応援したいと思っている。そう、カブさんのように…To Be Continued

ポケットモンスター(2023)「カブさんのバトル修行」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?