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【アニポケ雑談】結局何の為にバトルするの?

ようやっと梅雨に入った雑談☔

HZ55話からリコロイドット達テラスタル研修生と四天王とのバトルが始まった。明らかに格上の相手との戦いがどのように展開されるか注目が集まっている。

思えばHZで試合形式のバトルが連続するのは珍しいことかもしれない。リコロイドットが経験してきたのはEXPや六英雄との実戦形式のバトルがほとんどであり、それ以外はバトル以外の日常・冒険の描写が大半を占めていた。

実際のところ、サトシが主人公だった時代と比べるとバトルの比重は下がっているはずだ。それ自体はシリーズの特色の違いとしか言いようがないが、そもそものポケモンにおけるバトルの意味について今日は考えてみたいと思う。


<ゲームとして>

言うまでもなく原作の「ポケットモンスター」シリーズにおいてバトルはゲームの重要な要素として組み込まれている。RPGとして次の街に進むためにバトルは避けられず、図鑑収集や殿堂入りなどの目的を達成するためにもバトルは欠かせない。

ただし、注意しなければならないのは「バトルをすること」そのものがゲームの目的ではないということだ。バトルは目的を達成するための過程に過ぎない。これは対人戦やバトルタワーなどのバトルコンテンツがシナリオの外に置かれていることからも察せられる。

ポケットモンスター スカーレット・バイオレット(2022)

ゲーム上の構造的な問題だけでなく、ポケモンをバトルの為の存在として「割り切り」させないようにする為の演出は至るところに埋め込まれている。ポケモンは戦う為の道具なのではなく、我々とともに生きる生き物なのだと強く印象づけられている。

だからこそのアンチテーゼ(ポケモンマスターズEX ゲーチス ポケモンセンター会話)

しかし、それを差し引いてもポケモン同士を戦わせるという習慣はポケモン世界において当たり前のように根付いている。一部の例外を除けば、バトルすることそのものには肯定的な立場をとるキャラクターがほとんどだろう。

一つにはスポーツ的な興行として受け入れられているという側面はあるかもしれない。特に第八世代の「ソード・シールド」の舞台であるガラル地方ではポケモンバトルは興行として推進されているという背景が強調されている。

ポケットモンスター ソード・シールド(2019)

しかし、全てのバトルが見世物としてカテゴリされるかといえば勿論否だ。元々の源流を考えればポケモンも人間も生き物として生存競争していかなくてはならない存在。生きる為にバトルしてきた歴史もあるだろう。

Pokémon LEGENDS アルセウス(2022)

このようにざっくりと考えるだけでもポケモンバトルには多様な側面がある。何のためにバトルをするのかというのはシリーズによっても、キャラによっても変わってくる。ただし、ストーリーの焦点がバトルそのものに当てられていないのはゲーム側の一貫した姿勢として留意すべきかもしれない。


<アニメとして>

さて、ゲームから派生した物語コンテンツのアニメとしてはどうか。当然バトルはアニメの中でも重要なポジションを占めており、またターン制コマンドバトルをアクションとして描くという映像的な仕事が加わる。

ポケットモンスター(2019) EP112: 凱旋! アローラチャンピオン!!
(画像はコロコロオンラインより引用)

映像コンテンツにおける華といえばアクション。キャラクターが自在に動き回るだけでエンターテインメントになるのが小説などの物語媒体との差別化点となる。

ただし、ポケモンというコンテンツがバトルそのものをゲームの目的としなかったようにアニメにおいてもポケモンバトルに限定されることがないように展開されてきた。

前主人公のサトシの目標である「ポケモンマスター」は「ポケモンバトルが最も強いトレーナー」ではなく、「世界中全部のポケモンと友達になる」存在として最終的に位置づけられた(長いシリーズの中で揺れ動きがあったことは推察されるが)。

ポケットモンスター(2019】EP147:虹とポケモンマスター!

HZの主人公であるリコとロイはどうか。リコは現在「テラパゴスをラクアに連れていくこと」、ロイは「黒いレックウザを追いかけてゲットすること」を目標に冒険している。

上:ポケットモンスター(2023) EP26:テラパゴスの冒険
下:ポケットモンスター(2023)EP6:いにしえのモンスターボール

リコは運命的に出会ったテラパゴスの為の動機だし、ロイもバトルに近いところにあるが根本的な動機は「いにしえの冒険者」への憧れである。両者とも目的達成のためにバトルをする必要はあるが、それ自体が動機となっているわけではない。

実際、ポケモンでなくともバトルそのものを物語に組み込むのは中々に難儀なことだ。試しに好きなアニポケの話を一つレビューしてみてほしい。そこにバトルの詳細をどれだけ盛り込めるだろうか。

バトルの中で起こったキャラクターの情動はストーリー的にも重要だが、バトルにおけるほとんどの情報を捨象することになるのではないだろうか。少なくとも私が書いたレビューではそうなりがちなので、他の人の意見を聞いてみたい。

先にも述べたように映像コンテンツにおけるアクションは華なので、ゲーム以上にバトルは重要なポジションを占めている。しかし、それ自体を目的化するのは実はポケモン的にも物語的にも難しい。微妙な塩梅でこの長寿アニメは生き続けている。


皆さんがアニポケのバトルに期待することはなんだろうか。

映像的な華やかさ、戦術的な奥深さ、トレーナーとポケモンの一体感…どれもが非常に魅力的な要素だが、かなりの部分が感覚的なセンスに左右される。人によっては好きなキャラが勝てばいいという感覚もあるだろう。

ポケットモンスター(2023) EP55:対決! パルデア四天王

エンターテインメントに答えはないが、その中でもバトルは非常に難しい。微妙なバランス感覚で仕事をしている皆様に敬礼しながら〆させていただく…To Be Continued

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