映画　「人斬り」雑感

○ ずっと見たかった映画。
ようやく配信で観れた。司馬遼太郎の描く人斬り以蔵でも、勝新の演技でもない。

この映画の三島由紀夫を長年、見たかった。人斬りの田中新兵衛役である。
酒場のシーンから裕次郎と勝新を食っている。というか別次元の存在感、そして光る目。期待を上回った。

○岡田以蔵は佐藤健君のイメージだったので粗野でガサツで馬鹿で小太りな勝新以蔵にイライラしたがやがて後半に向かい、人を斬る事でしか存在意義を持てない人間の哀しみを描いていることがわかり切なくなった。それにしても三島の田中新兵衛の潔い切腹は格好良かった。冷酷な仲代の武市も良い。

○展開や人物の描き方がもっさい映画ではあるが余韻が残る作品である。