『勇者の幼馴染という職業の負けヒロインに転生したので、調合師にジョブチェンジします。』 コミカライズ 適当な評価、感想

※好き勝手に筆者の趣味嗜好、独断と偏見を書き散らしているのでご注意ください。多少のネタバレを含む場合があります。

良かった点
・絵柄が可愛く、安定している
・露骨に悪い人間や胸糞展開が無いので、最後まで穏やかな気持ちで読める
・転生後の世界やそこに生きる人々が作り物ではないと実感させる描写

微妙な点
・胸糞展開が無いというのは良い事でもあるが、物語として大きな波乱はあまり無いので人によっては退屈かもしれない
・7巻まで出版されており、かなり切りの良い所まで続いたが打ち切り作品であること

総評:★★★★☆ 4.5


主人公の少女であるラウラは、ある日運悪く魔物に襲われ、幼馴染の男の子に助けられる事で、自分が前世でプレイしたRPG作品の”負けヒロイン”である事。そして、助けてくれた男の子が世界を救う勇者である事を思い出す。
ラウラは本編では幼馴染である勇者に想いを寄せるが、勇者は別のヒロインと結ばれる為、ラウラの想いが実らない未来を知った主人公は勇者から離れて自立する為に村の調合師に弟子入りをする…という物語。

良かった点は最初に書いた通り、絵柄が最初から最後まで安定しており、主人公であるラウラがとても可愛い。個人的には絵のクオリティだけで継続するかどうか、最終的な満足度にもかなり関わるので、ここはとても大きかった。

次に、この作品は全編を通してかなり優しい物語であり、基本的に悪い人間というものが出てこない。主人公であるラウラは一生懸命な良い子だし、周りの人達もラウラの事を大切にしてくれる優しい人達ばかりなので、終始心が暖かくなる様なやり取りが続く。
私はきらら作品の様な日常ものやキャラクター同士の暖かいやり取りが好きだし、むしろ胸糞展開は苦手な節があるのでかなり好みの物語だった。

そしてここも大きく評価を上げたポイントなのだが、主人公の転生後の世界やキャラクター達への認識の変化が良い。
最初は「前世のゲームでやった世界」と言う認識で世界を見て、自分はいつか旅立つ幼馴染の背中を見送ることしかできないからと、その幼馴染と距離を置こうするのだが、その幼馴染と関わり合っていく中で「この子もこの世界を生きている1人の人間なんだ」と思い直し、以前の様に仲良く接する様になっていく。
ただ、それからも長いこと前世でプレイした知識で問題を解決しようとしたり、自分の行動が先の物語に影響を与えてしまわないか不安になったり、色々と前世の知識に振り回されてしまうのだが、コミカライズ版の最後では「自分は”ラウラ”であって、自分の生きる現実はここにある」と、転生後の世界で生きていくことを本当の意味で受け入れることになる。
転生後の世界がプログラムされただけの世界ではなく、そこにちゃんと生きる人達がいて、沢山の人々と関わり合うことで、みんな笑ったり、泣いたり、苦しんだりしている1人の人間なんだという事を実感した末の言葉だったので、つい感動してしまった。

また微妙な点としては、これは上に書いた通りだが、胸糞展開というものが無いので大きな波乱が起きず、人によっては読んでいて退屈かもしれない。

そしてこれが微妙な点で個人的には一番大きい所なのだが、この作品は打ち切り作品である。
打ち切りにしては区切りも良いし、その区切り方もしっかり描ききった上での終わりなので、終わり方に違和感は無いのだが、ただただ残念だとしか言えない。
まだ物語としての正ヒロインも登場していないし、魔王復活の予兆も強くなってきていて、これからラウラ達がどうやって魔王の脅威に立ち向かっていくのかも楽しみだったのに終わってしまっていて本当に残念だった…。
仕方ないので、私は原作版に移行して続きを読んでいこうと思う。

とにかく、優しい物語が好きな人、かつコミカライズ版を読み終わった後は原作に移ることに抵抗が無い人には自信を持ってオススメできる作品だった。

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