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【オリジナル『僕のお稲荷くん』】1話
「おい、葉壱斗(はいと)!! マイクラしよーぜ」
ニヤニヤと笑いながら僕を誘うのは部留(ぶる)と湯宇(ゆう)と丸(まる)。通っている中学校の同級生で、僕は学校でもゲームでもこいつらにいじめられている。
マイクラは楽しいのにな……。
僕はクリエイティブモードで遊んでいるんだけど、部留達は「学校でのいじめをもっとひどくする」と脅して強引に僕の世界に来て僕が作ったものを壊す。今日は同じ脅しで部留の世界に来るように言われた。
イー「今日はネザーに行くぜ」
ベル「俺、黒曜石集めといた」
MAL「楽しみww」
イーが部留、ベルが湯宇、MALが丸。僕はツァールトでやっている。部留はサバイバルモードでやってるみたい。
ベル「ネザーゲートでーけた」
MAL「葉壱斗が先に行けよ」
イー「逆らったらもっといじめてやる」
いつもの脅しで僕はネザーゲートに入る。ネザーに着くと、部留がベッドを置いた。
イー「そのベッドに寝ろ。逆らったらどうなるかわかってるよな?」
ベル「10秒寝てろよな」
言われるまま僕はベッドに寝る。
10秒後、起きると、部留達はいなくて、入ってきたゲートの一部が壊されていた。僕は当然何も持ってない。通常の世界に帰れない。
ツァールト「あの…世界…出てもいい? ネザーから出れないし…」
MAL「オレたちが遊び終わるまでそこにいろ。勝手に出ていったらいじめグレードアップな」
言われるままネザーで待つ。部留達から何かメッセージが来たらちゃんと返事しないといじめが酷くなるから、画面見てないと…。
しばらくして、『ソーロ』という人が部留の世界に来た。誰だろう…。あいつらはいつも3人だけど…。新しい仲間だろうか…。僕をいじめる人が増える…そう怯えていると、壊されたゲートが直され、けも耳で和服っぽいスキンの人が入ってきた。『ソーロ』だ。
ツァールト「えっと…君が直してくれたの?」
ソーロ「うん。あの子たちが離れてる間に早くここから出よう」
ツァールト「わかった」
ソーロと一緒にネザーを出る。1時間ぶりの通常の世界だ。
ツァールト「ありがとう。ソーロは部留くん達の友達なの?」
ソーロ「違うよ」
ツァールト「えっと…じゃあ僕と同じ…?」
ソーロ「うーん……まあ…そんな感じ」
その頃、廃工場で3人の少年のケラケラとした笑い声が響いていた。
丸「葉壱斗のやつ、おかしくなってやんの」
湯宇「1人で喋ってんぜ。ソーロって誰だよ」
部留「知らねぇよ。んな奴入ってきてねーし」
ソーロ「この世界を出よう」
ツァールト「でも、そんなことしたら、いじめが酷く…」
ソーロ「大丈夫。僕がいる」
その言葉に何故か安心した。イーとベルとMALがクリーパーにやられた表示が出る。スポーン地点は近くかもしれない。ソーロとのやりとりはあいつらも見てる。またネザーに閉じ込められるかも…ソーロも一緒に。
ツァールト「わかった。ソーロも早く出てね」
僕は急いで部留の世界を出た。
ドカンとものすごい音がした。驚いて僕は自室の窓から外を見る。遠くに火が見えた。火事だ!!
僕は慌ててスマホで消防に電話をしながら、1階に居るお母さんのところへ向かった。
その夜、お母さんとお父さんに聞いて判ったこと。火事があったのは最近廃工場になった場所。明日撤去する予定だったガスボンベが爆発したらしい。そして部留と湯宇と丸がその爆発で死んだ。その工場は入れないようになってたみたいだけど、3人は壊して入ったようだ。もういじめられないけど……人が死ぬのは…悲しい。
数日後。僕のクラスに転校生がやってきた。金髪のとても綺麗な男の子。
「僕は京 狐拍(かなどめ こはく)です。悲しい出来事があったばかりらしいけれど、よろしくね」
京くんは空いている僕の隣の席に座ることになった。京くんは隣の席に来て優しい笑顔で僕に言う。
狐拍「よろしく」
葉壱斗「よろしく…。えっと、僕は都剣(とつる)…都剣 葉壱斗。あ、あの、もしかして、学校の近くの稲荷神社の人の親戚? 名字一緒だから…」
狐拍「そうだよ。狐榊(こさか)さんは僕の大伯父なんだ」
葉壱斗「そうなんだ。僕、学校に行く時、いつもあの神社にお参りしてるんだ」