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多摩川の生き物とヒト その6 その他 筑波実験植物園  22/05/7

日本の絶滅危惧生物展が行われていたため、見学に行った。筑波までは遠いし、交通費もかさむが、JAXAなどの施設が多く、他の施設の見学も兼ねてもよいだろう。

園内は広く、海外や日本の珍しい植物や園芸種のコレクションを集めている植物園ではない。植物の分類などを研究する名の通り、研究用の植物園である。だから、園内もバイオーム(サバナなどの生物群系)などに分かれている。

絶滅の生物展で興味があったのがカンアオイの分布だった。カンアオイは日本各地で、タマノカンアオイのように地域ごとに分布している。ミヤコアオイのように、日本中のカンアオイの花を採集し、それをアクリル標本として固定し、見やすくした。日本各地には様々なカンアオイがあるがほとんど網羅してある。集めたのもすごいし、さらに標本化したのも努力のたまものだろう。DNAをもとにし、全国と朝鮮、中国のと比較した表があった。すると、朝鮮、中国から移動してきたことが分かった。帰化生物のように多くの花をつけず、しかも成長が遅いカンアオイが地道に花をつけ、島を渡り、もしくは島が地続きの時に移動し、定着し、その地域の固有種となった。この表を見ていてイリオモテやツシマヤマネコと似ていると思った。ヤマネコ達は対馬や西表まで来たが、一部の島が沈んで本土には渡って来れなかった。これが本土には野生ネコがいない理由だろう。植物のほうが移動が速かったのだろうか。このような疑問点が次々と湧いてくる。

絶滅した動物としてニホンオオカミ、二ホンカワウソ、トキ、などが展示されていた。もっと、亡くなった藤原英二(虫けらにも命が・・という絶滅動物の本を執筆。)さんのように、もっと人の影響を出してもよいだろう。国立なので、忖度しているのだろうか。2階から3階にかけて生命の発生順のパネルがあった。地球全面凍結やカンブリア大絶滅などの生命の歴史がよくわかる。ここでも、現在、人による大絶滅期に入っていることも入れてもよかっただろう。最後のパネルとして、スーパーグループによる動物などの位置付けのパネルがあった。さすがに、展示の植物でAPG分類に変え、科博の植物展でも同じようにスーパーグループを使っていただけに、もはやスーパーグループは分類にとって当たり前のことなのだろう。高校ではスーパーグループを習わないのに(高校はエピジェネティクスやスーパーグループなどをまだ扱っていない。どうして遅いのだろうか。)  でも、植物や動物の扱いが大きすぎて、誤解を招きやすい。動物界はオピストコンタというグループの一つに過ぎない、もともと、スーパーグループはハテナなどの原生生物を分類するために出てきた。昔と今を比較するとこのようになる。                               昔  動物界  脊索動物門  哺乳綱                今  ドメイン(原核生物 真核生物)  スーパーグループ   動物界最後は正門近くにあるメタセコイアとセコイアの並木である。1983年の開園当初から(なぜ、ホームページでは和暦だけなのだろう。せめて、遡りやすくするため、西暦も併用にすべきだろう。)40年ぐらいが立ち、20m近くに成長したメタセコイアとセコイアが交互に並木になっている。近くにはトチノキとアカバナトチノキ(マロニエ)が植えられ、つぼみもあった。やはり、広い場所にはこのような巨木が似合う。                分離の確認などのためにも、このような植物園の利用をお勧めする。

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 新緑の美しいカツラとサンショウバラ サンショウバラはノバラなどと並ぶバラの原種。写真は妻。未承認。また紛争が勃発か。                            

 



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